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ぼっちデイズ  作者: シュウ
三章
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焼きそばと黒歴史

学校祭当日。

初日から一般客も入ることができるということと、学校内で唯一のお化け屋敷ということもあって、なにかと繁盛していた。

入場料を10円払うだけで意味不明のコマンドが入力されたかのような空間に足を踏み入れることが出来るのだ。ぼったくりだろ。

そのくらいカオスなお化け屋敷だった。

入口から入ってすぐは悲鳴が聞こえていたのだが、それが中盤まで差し掛かってくると、吉川さんを奥州筆頭に始まるカオスゾーンでの歓声、そして後半のもうオバケの概念が無くなっているゾーンでの笑い声、そして油断した頃にやってくる最後の砦の俺。

これをお化け屋敷と言わずしてなんと言うのか。なんて言えばいいのかわからないので、俺に教えてください。

そもそも渡辺にリーダーを任せたのは間違いだったと思う。だからと言って、俺がやるのは変だからやらないけど。あいつ、どう考えてもセンス無いもん。勘だけど。

俺は最後の砦らしく普通にラノベを読んでいた。

今読んでるのは、半額弁当を取り合うバトル小説。ラノベの中ではクリスマスの話してるけど、こっちは秋が始まったばかり。これから10月になって11月になって12月になって1月になって2月になって3月になって学年上がるのかー。結構長いな。あと半年もあるじゃん。

俺は秋が好きだ。だって涼しくて過ごしやすい。四季が秋だけならいいと思う。春は桜に狂乱しそうになるし、夏はリア充がテンション高いし、冬は寒いし雪かきが大変。秋が一番だ。


ぐーーー・・・


腹減ったなぁ。

そういえば交代とかってどうすればいいんだろ。

ってゆーか抜けてもバレなくね?

ということで、もう抜けてしまおう。どーせお客さんも全然気づいてないし。

机の中にラノベを入れると、食べ物が売っている玄関前のエリアに向かった。

校門から玄関までの間に、食べ物を販売してる屋台がたくさん出ている。もちろん販売は生徒が行なっている。

焼きそばにたこ焼きにクレープにかき氷にフライドポテトに生徒の生写真にわたあめなどいろんな屋台が並んでいる。

そしてなぜか値段がバカみたいに安い。

焼きそばが1パック100円だったり、たこ焼きが6個で100円だったり、クレープが一つ100円だったり。なにこれ? ワンコインセールでもしてるの?

どうせ価格戦争にでもなったんだろう。

価格戦争なんて今じゃもう流行らんっての。いろんなコスパを計算して買い物をするんだ。安すぎると何入ってるか分かったもんじゃないしな。肉とか言って虫とか小指とか入ってたらたまったもんじゃない。

そんなことを考えながら、一番近くにあった100円焼きそばを購入して、体育館へと向かう。

さっき体育祭のパンフを読んだら、今の時間は有志の演目が繰り広げられているというのを確認した。

どうせ人は少ないんだろうし、隅っこのパイプ椅子で食べようと考えた。

体育館に到着すると、よくわからないバンドのコスプレっぽいのをした連中が、観客席に向かってダイブをしていた。よくやるわ。

案の定人が少なくて、前の方にしか人がおらず、他にいたとしてもちらほらとそのへんに座っているだけだった。

俺は入って右側に進み、最後尾の最端の席をゲットした。

バンドが終わって、少し静かになった体育館のパイプ椅子でダラダラと焼きそばを食べていると、ステージ上に完全にコスプレをした連中が出てきた。見た感じ、あの『無ければ作ればいいじゃない!』で有名なハルヒっぽいの|(無駄にそっくり)が出てきた。そして他にもメイドのコスプレをした女子|(胸が残念)と、魔女のコスプレをした女子|(背がデカイ)と制服を着た男子一人|(普通)が出てきた。全部で四人。ふもっふの人はいませんでした。

妙な胸騒ぎがする。

これはヤバイと俺の中の何かが告げた。

そしてイントロが流れた。

聞き覚え・・・というかこの曲って結構古いよな。

その曲に合わせて踊り狂う4人。

イタタタタタタ・・・これは黒歴史に出来る。中二病は中学校に置いてこないと、邪王真眼とかダークフレイムマスターとかに目を付けられるぞ。

そして曲が終わって袖に引っ込んでいった。

さすがに恥ずかしかったのか?

と思ったらまさかの早着替え。

そして4人でお揃いでところどころ色の違う例のプリンス様達の衣装になって再登場。

なんと・・・南斗獄屠拳(なんとごくとけん)

マジでやばいって。

そして流れ出すイントロからのカウントダウン。

俺は焼きそばを食べるのを忘れて見とれていた。

たった4人でそれぞれのプリンス様達を演じていく残念な様に。


こ れ は ひ ど い 


プロデュースする前にボイストレーニングから始めたほうがいい。

これなら俺の方が上手いわ。

一瞬だけ悪い意味でマジLOVE1000%してしまうかと思った。

きっとこのことは黒歴史として本人達の記憶に封印されることだろう。

だから俺もこのことは口外せずに、焼きそばと一緒に飲み込んでしまおうと決めた学校祭のお昼ごろだった。





「では次でラストでーす!」

「まだやんのかよ!」


ここにまた新しい黒歴史が誕生することになろうとは、本人たちは気づかないのであった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


オバケ担当をサボったぼっちくんでした。


次回もお楽しみに!

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