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ぼっちデイズ  作者: シュウ
三章
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オバケ?

なんだか癖になってしまって、最近ラーメンばっかり食べてしまっている。っていっても、今日は売店横に置いてあるポットからお湯を入れてのカップ麺だけど。

それを近くのベンチに座りながらズルズルと食べる。家から持ってきたカップ麺の『多菜少麺』と書かれたパッケージを見る限り、健康に気を使ってくれてるみたいだけど、そもそも健康に気を使うならカップ麺は食べないよね。おいしいけど。あとダイエットコーラとか特保のコーラとかカロリーゼロのコーラとかも同じだよな。本気で痩せるならコーラには手を出さないと思う。ヘルシア一択だ。

そういう俺は自販機で買ったパックのお茶。健康うんぬん以前に、食べ物にはお茶が一番合う。日本人に生まれてよかったと思う瞬間の一つだ。

他には、こういうオタク文化が蔓延してることだったり、水が飲めることだったり、お米おいしいって思った時だったりなどなど。

そんなことも考えながら、視界の端で他の生徒達が売店でパンやらおにぎりやら時々画用紙やらを買っていくのを眺めながらラーメンずるずる。ってかこのカップ麺ってラーメンなのか!? まぁいいや。

今日は渡辺はドム子グループにさらわれてしまったので、この昼食には不参加だ。俺も誘拐現場には立ち会っていたんだけど、邪魔しちゃ悪いかなぁって思って、ステルス迷彩着てから逃げた。なんでか渡辺に腕を掴まれた気もしたけど、全力で振り切って逃げてきた。ステルス迷彩でも見つかるんだな。優秀な渡辺だ。

木村はいつものごとくアイマスみたいな名前の友達らと一緒に弁当食べてた。

今日は母さんが寝坊して、カップ麺がテーブルに置いてあったんだよね。弟には500円。コンビニでなんか買えってことなんだろう。まぁこんなことは初めてじゃないから問題はない。

というわけで、一人でカップ麺ずるずる。うまいな。

ズルズルと日清のCMばりにカップ麺を食べていると、横に誰か座った。『半径85cmは俺の距離だ!』と言わんばかりに、ベンチから引きずり落としてやろうかと思ったけど、俺のベンチなわけじゃないから無視した。


「オバケ楽しかったねー」


隣に座った人が、本番は明日なのにすでにやりきったかのような口調で、俺に話しかけてきた。

俺に話しかけてくる人が誰なのかは予想できたけど、もし違う人だったらただの恥ずかしい人なので、一応横を見て確認した。


「あ、やっぱり吉川さんか」

「やっぱりってなにさー」


そう。吉川さんでした。

口を尖らせてぷくーっとして怒る吉川さん。

この人、いつも100%で頑張っちゃうからなー。どうせ今日のオバケ役も全力でやったんだろうなー。俺にはマネできねぇ。マネしようとも思わんけど。

そういえばマンガの中の生徒会って、どうしてあんなに権限あるの? あんなに経営とか任せてるんなら、校長とか理事長とかいらないんじゃね? 生徒の育成方針よりも経営方針に問題があるよな。

いじめを生徒に解決させたり、行事の全般を生徒にゆだねたりとかってのもちょっとおかしいよな。教師仕事しろ。まぁマンガだからいいんだろうな。

そうそう。あと会計ってすごいやつばっかだよな。自分で会社起こせよって感じの奴ばっか。まぁマンガだから面白ければいいんだよ。バクマンの編集長も言ってた。


「吉川さんは何のオバケしたの?」

「私ー? えっとねー」


テンションが上がってるのか、語尾が伸びまくりで笑顔が途切れることがなかった。


「猫娘!」

「猫娘・・・?」


それオバケじゃなくね? 

猫娘って看板娘みたいな感じの人のことを指すんじゃなかったっけ?

いや、もしかしたら怖い方の猫娘もあるのかもしれない。


「えっ、猫娘って何すんの?」

「えーと、前に買った猫の耳と尻尾をつけて脅かすのー!」


ものすごい笑顔で言う吉川さん。

絶対にあの時聞こえた『カワイイー!!』ってのは吉川さんの猫娘ゾーンだろう。

俺のもただの制服だったし、吉川さんはただの萌猫コスプレだし・・・このお化け屋敷って・・・大丈夫なのか?


「・・・それはよかったね」

「明日も頑張る!」

「ツキコー。行くよー」

「あ、うん。ごめーん、今行くー」


ツキコというのは吉川さんの名前だったらしく、友達に呼ばれた吉川さんが立ち上がって去っていった。

その後ろ姿には、取り忘れたのかわからないが、猫の尻尾がスカートの上でゆらゆらと揺れていた。


「猫か・・・」


不覚にも猫のコスプレも悪くないなと思った瞬間だった。

と、一人萌の新発見をしたところで、ポケットに入れたケータイがブルブルと鳴った。

前に強引にアドレスを交換させられた渡辺からのメールだった。


『エマージェンシー!エマージェンシー!助けて!食われる!』


内容は危なそうだったが、ピンチな時に何をしているんだと思ってしまった。

だからちゃんと俺もメールを返すことにしてやった。


『こちら作戦本部。状況はどんな感じですか? できれば心境等を交えながら繊細かつ大胆に教えてください。作戦本部は今野菜の恐怖に犯されていますが、おいしいです。頑張れよ』


俺は文章をケータイに打ち込み終わると、送る前にゆっくりと残りのカップ麺を食べることにした。

ラーメンうまうま。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


さて渡辺編も終わりが近いです。


次回もお楽しみに!

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