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ぼっちデイズ  作者: シュウ
三章
60/128

りはーさる

作戦を考えるとか言ったものの、特に進展はなく、渡辺が中島に絡まれーの、ドム子が乱入してきーの、俺が渡辺に奢られーの、教室が真っ暗になりーの、配置がほとんど終わりーの、という感じであっという間に学校祭前日になった。

教室は真っ暗になってお化け屋敷特有の薄暗さが怖い。

ホラーゲームで慣れているとはいえども、青白い光というのは怖いものがある。

青白い光には人を沈静化させる効果があるとかで、駅のホームとか街灯とかに使われ始めてるらしいけど、どう考えてもなんか出てきそうで怖いよね。変態とか自殺志願者とか通り魔以前に、人ではない何かに襲われそうで怖いよね。誰かファブリーズで除菌してください。

そんな沈静化が働きまくっているお化け屋敷と化した教室の出口付近で、俺はラノベを読んでいた。

俺の役は二宮金次郎なのだが、どう考えても普通の格好にしか見えない。

役目としては、さんざん怖がらせた客が出口に向かって歩いていく時に、最後に視界の端にいることで怖がらせるんだとかなんとか。金次郎先輩に申し訳ないので、俺の中では二宮『銀』次郎役だと思い込んでいる。

とりあえず懐中電灯で下から照らされながら、椅子に座りながらラノベを読んでいるのが俺の仕事らしい。机も置いているので、机に懐中電灯を固定させて、うまい具合に設置するのが俺の仕事。

ホント仕事してないわー。これだけで筋肉痛になるぐらい本気出しちゃったわー。

というわけで、5分もかからずに完成。なんだかなー。

俺から教室の内部はほとんど見えないけど、なにやらワイワイと談笑したりする声が聞こえる。

俺がこうやってステンバーイしてるのは、このあとお試し会が開かれるのだ。ようはセットの見直しとオバケ役の練習。

服は衣装を着てるけど、メイクはしない。周りのクラスにネタバレしないためだ。

俺は今日も制服なんだが、衣装はないらしい。渡辺曰く『普通が一番怖いんだよ』とのこと。なんだかなー。

もっと俺もアピールするべきなのかと考えたんだけど、めんどくささと恥ずかしさの同時攻撃を受けたので、俺は黙って本を読んでることにした。

でも心の中ではアピールすることを忘れないことにした。

『カラテッケンジィー』とか『ミルクでももらおうか』とか『全速前進だ!』とか『俺は悪魔だ』とか言うことに決めた。決めただけで、心の中だけの仕事だから聞こえないんだけどね。こんなの聞こえなくていいんだよ。グリーンダヨ!

俺が本気出したら、客なんかあっという間にデストロイしちゃうから、本気は出さないでおく。


「んじゃはじめるぞー」


仕切り屋渡辺の声が聞こえて、パチパチと拍手が鳴った。

教室のドアが締め切られて、青白い光に照らされた教室の中で、俺は懐中電灯の明かりを頼りにラノベを読んだ。目悪くなりそう。

変に脅かさなくて良いということなので、ラノベに集中する。うん。面白い。

中から『キャー』という声が聞こえてくる。

そんなに怖いのか?

と思っていたら、今度は違う感じの『キャー』が聞こえてきた。

・・・黄色い声援?

今度は『カワイイー!』。

うん。おかしいよね。ここお化け屋敷だよね? お化け屋敷喫茶じゃないよね?

そして他にもいろんな声が聞こえてきて、ついに最初の組が俺の前を通過した。

俺は二宮銀次郎になりきってラノベを読んだ。


「うおっ。ビックリした・・・」


先頭を歩いていた女子がおっさんみたいな声を出してボソッと呟いた。

どうやら3人1組で歩いているみたいで、他2人はその声に驚いただけで、俺のことには気づきもしなかった。

なんか・・・俺の時だけマジなトーンだったよね。

いや、怖がってくれるのは嬉しいしオバケ冥利に尽きるってもんだよ。でもこれってなんか違うよね。学校祭のお化け屋敷のノリじゃないよね。心霊写真見つけちゃった時みたいなノリだったもんね。

そしてそんな感じでリハーサルが終わった。

俺の前を通る人は、俺に気づいたり気付かなかったり、気づいたとしても最初のマジなトーンで驚いたりといった感じだった。

途中で木村が通ったのだが、木村は気づきもしなかった。オレアイツマルカジリ。マミってやる。

そして全行程が終了し、渡辺が俺のところに来た。


「どうだった? 結構怖がってたろ?」


俺は笑顔で『俺の作戦完璧だろ?』と聞いてくる渡辺に言ってやった。


「どうだろうか?」

ここまで読んでいただきありがとうございました。

感想とか書いていただけるとニヤニヤしながら読ませていただきます。


今回、大変短くなっております。

キリ良くリハーサルだけ書いた結果がこれだよ。

ゴペンナサイ。


次回もお楽しみに!

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