表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼっちデイズ  作者: シュウ
一章
6/128

きょうはく

席替えの次の授業の政経。

それは突然の出来事だった。

授業に集中していた俺の手元に、消しゴムのカスが飛んできたのだ。

飛んできた方向を見ると、隣の席の人がじーっとこっちを見ていた。


「あ、あの・・・」

「シーッ」


口元に人差し指を当てて静かにするようにというアクションを見せられた。

そうかわかったぞ。授業中というこの機を狙って俺の口封じをしようというのか。

無駄なことを。俺が誰かに言うとでも思っているのか? 言う相手が居ないわ!


「お兄ちゃんの隣の席の人なー、超リア充なのに筆箱にあのマンガのストラップつけてるんだぜ!」

「ふーん。で?」


弟に言ってもなんとなく会話が想像できてしまう。

だから俺には口封じは通じないぞ!

心の中で一方通行なテレパシーを送るのだが、相手は回線をシャットアウトしているらしく、まったく動じない。こりゃまいった。

そんなことを考えていると、口元に当てられていた人差し指が動いて、机の上にあるノートを指さした。

うわぁ。真っ白じゃん。なんか書けよ。金払って学校来てんだろ。友達よりも大切な学力向上とか頑張れよ。

さらにその人差し指は動いて、ノートの片隅を指さす。

そこには丸っこい文字でなにやら書かれていた。


「えー・・・さっきのイデッ!!」


別にイデオンが見えたわけじゃないからね。

足を思いっきり蹴られたんですよ。ふくらはぎですよ。脛なら弁慶は号泣してるよ。

再度口元に指を当てる。

そういうことですか。筆談をして欲しいわけですね。

よし。断る。


「ちょっ!」


心の中で断って、黒板のほうを向くと、隣から小さく声が聞こえた。

そして再度ふくらはぎに痛みが走る。これが股間なら一撃死ですよ。

もうこの子なんなの?

俺がリア充と話すわけ無いじゃん。しかも筆談? あとでどうせ仲間内でネタにされるんでしょ? わかってますよ。リア充ってそんなんだもん。

中学校のころに書いたラブレターだって朗読CDのごとく丸読みされたんだから、そのぐらいは予想つきますって。あーあ。過去に戻れるならあの頃の自分に『ラブレターだけはやめとけ』って言いたいわ。

さらに2回続いた痛みに耐えて黒板を見続けていた。

するとようやく諦めたのかケリのラッシュが止まった。

やっと落ち着いたか。

そう思ったのもつかの間、チラリと横を見ると、あれ以来机に入れっぱなしの筆箱からカッターナイフを取り出してそれを俺の手に近づけてきた。

ちょ、マジで怖い! リア充とヤンデレ怖い!!

俺は両手の平を胸の前に出して、抵抗しませんのポーズをとった。

これで政経の成績落ちたらお前のせいだからな。このクソリア充! だからカッターの刃をこっちに向けないでください!!

仕方なく、机の中からルーズリーフを一枚取り出してそこに自分が言いたいことを書いていく。


『何?』


色々言いたいことはあったが、これ以上言って傷物にでもなったら困る。お嫁に行けない。

相手も自分のノートにカキカキしていく。


『さっきのキーホルダーに気づいた?』


やっぱりウッドキューブのことか。やはりあれには世界を統べる力があったのか。


『見てません』

『ウソつかないでよ』

『誰にも言わない?』

『言わないし』

『見た』


何が悲しくて授業中の筆談でこんな会話をしなければならんのだ。

内緒の筆談と言えば好きな人の話をしたりするもんでしょうが。

これはただの尋問だよ。今後の展開が超怖いもん。


『何かわかった?』

『ハイ』

「マジかー・・・」


小さくそう言って頭を抱える隣の人。

このリアクションはアレだな。多分この人はオタクなんだろう。

で、誰にも言ってなくてバレたくないんだろう。いわゆる隠れオタクというやつだ。

そんなにバレたくないのかねぇ?

今や日本はオタクの国と認識されていて、人口の約1割ぐらいはオタクらしい。さらに10~40代にしぼるともっと割合は増えるらしい。

だから学校単位で考えると一学年が35人×9クラスだから、315人×3学年で、945人。

だいたい950人だとして、その一割だから95人。

つまりこの学校の中には95人以上のオタクが健在しているわけだ。

さらに言えば一学年に1クラスはオタクがいる計算になっている。

だから別にオタクを恥じるようなことはないのだ。もっと誇れ。

くだらない計算をしていると隣の人のペンが動き始めた。


『誰にも言わないで』


やっぱり隠れオタクか。

ここでこのことをネタにエロイことを・・・する勇気は俺にはないので、素直に肯定っと。


『ハイ』


ホッと息を吐いたのがわかった。

そんなにオタクって露見するのが嫌ならオタクやめちゃえばいいのに。俺は無理だけど。

すると急に俺のルーズリーフをひったくって何かを書き始めた。

まさか今の内容を全部自分のノートに書き写すつもりか!


「見てみてー! ちょっとちょっかい出したら調子に乗ってきたー!」

「うわー! ハイ、だってー! キモー!」

「キャハハハハ!」


うわー。死にてー。だから筆談は嫌だったんだ。

今度は俺が頭を抱えた。

ルーズリーフが目の前に戻ってきて、のそのそと視線を移動させてそこに書かれている文字を見た。


『ちょっと話したいことがあるからここに連絡して』


その文章の下にはメールアドレスが書かれていた。

メールじゃ話せませんよ? だって文章だもの。

ってゆーかこいつのアドレス!? 超怖いんだけど! 

メールしたら変なサイトに繋がるとかないよね?

うわー。リア充こえー。

隣の人はすでに一仕事終えたようで、黒板に書かれている文字をノートに書き写していた。

俺はルーズリーフをとりあえず机の中にしまって、黒板の文字をノートに書き写した。

今日のノートはダメだな。

貸してーって言われても過去最大級に酷いノートだ。

友達が居れば『先生なんか重要なこと言ってた?』とか聞けるんだろうけど、友達いないし。

まぁ気にしてもしょうがないな。

とりあえず授業を受けよう。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけるとウルトラハッピーです。


どうなってしまうのやら。

リア充こわい


次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ