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ぼっちデイズ  作者: シュウ
三章
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ホイホイ

協力すると言った以上、猫型ロボット並みの協力はしないといけないだろうとは考えた。

考えたのだが、やはり相手の戦力には及ばなかった。

今回、相手が保有しているモビルスーツのドムは、当時はホバーを利用した機動力で、なかなかの高機動型として3機の連携で攻めてくるジェットストリームアタックなんかが有名だが、今回は1機だけである。しかしそれでも機動力は抜群で、ことあるごとにこちらが反撃に出たところを、ことごとく潰しにかかってくる。まるで本当に3機いるかのような機動力だ。

そしてさらに厄介なのが、あの重量感だ。横幅がデカイということもあって、プレッシャーがハンパない。

機体の性能の差は戦力の差ではないというが、モビルスーツ相手に生身の人間だけでは勝ち目はない。誰かマスターアジアかマチルダさん連れてきてください。それか連邦の白い悪魔を譲ってください。

現在、渡辺と戦域の隅で作戦会議中。


「さっきから言ってる白い悪魔とかなんだ?」

「こっちの話だ。気にするな」


こういうのをさりげなく話して、全然通じなかったときって、めっちゃ恥ずかしいよね。もしかして俺もまだ中二病の精神が残ってるのかもな。フッ。どうするよ。もう一人の僕。


「どうするんだよ。手伝ってくれるんだろ」

「協力するとは言ったけど、お前も何か考えろよ」

「考えたけど無理だったから協力を求めたんだろーが」

「お前もう付き合っちゃえよ」

「投げないでください」


なんかめんどくさくなってきた。

だってもう渡辺が中島と付き合えば丸く収まるってことだろ?

だったら他人に迷惑かけないで、付き合って速攻で別れりゃいいじゃん。

他人と警察に迷惑かけないなら何しても良いわよってお母さんに言われなかったの?


「そうだよ。付き合って速攻で別れれば?」

「俺にそんなチャラ男的なことをしろと?」

「いや、すんませんでした」


渡辺のマジな顔に思わず謝ってしまった。

俺って謝り癖でもあるのか?


「本気で振ってもいいんだけどさ、あとあとめんどくさくなるのが嫌なんだよな」

「じゃあ嫌いになってもらうようなことすればいいんじゃね?」

「例えば?」

「例えば・・・テストの点数悪くしたり、他人からの評判悪いぜー的なこと言ったり」

「テストなんかここ数日の間に無いし、中島に嫌われるためだけに他人からの評価を悪くすのはリスキーすぎないか?」

「そんなこと言ってたら、何も解決しねぇじゃん」


もう何もしないで学校祭の開催中、逃げ回ればいいんじゃないかな? リアルで逃走中すればいいじゃん。リアル鬼ごっこでも可。でもこいつ佐藤じゃないや。

そんな先の無い話をしていると、我々に連邦の白い悪魔たんが現れた。


「あんたたち何してんのよ」

「ハッ!」

「き、木村!」


俺と渡辺は同時に背後から聞こえた声に驚いて振り返った。

俺はドム子が来たのかと思ったし、渡辺は中島辺りが来たのかと思ったのだろう。

しかし、まさかの木村だった。いろんな意味で驚いた。

こいつも結局は間接的に絡んでる訳なんだから、ちょっとは協力してもらってもいいんじゃないか? ってゆーか、木村がいなければこんなことにはならなかったんだ。俺の穏やかな人生にこんなことが起きることは無かったんだ。俺はただ静かに暮らしたいだけだったのに。


「さっきから連邦の白い悪魔とかモビルスーツとか聞こえてくるから気になるじゃない」


なんという木村ホイホイ。


「木村はさっきのわかるのか?」

「ハッ!」


ピュアボーイ渡辺の質問にバカガール木村は実に驚いた顔をした。

こいつ完全に忘れてたな。


「べ、別に意味がわかったとかじゃなくて、気になったから来てみただけだし。バッカじゃないのっ」


木村が目線を逸らしながら誤魔化しているのをニヤニヤしながら俺が見ていると、隣の渡辺から『へへっ』というヘラヘラした笑いが聞こえた。

顔を見てみると、緩んだ顔をした渡辺がいた。

・・・こいつ、あんなツンデレワードに反応してやがる。このドM・・・早くなんとかしないと!


「じゃあ木村にも手伝っでっ!!」


俺が渡辺に『木村を仲間に加えますか?』と質問しようとしたところ、渡辺からの鋭いビンタが飛んできました。

俺がキリッとした鋭い視線で渡辺を睨むと、俺のからだをクルリと反転させて、木村に背中を向けさせました。


「・・・痛いんだけど」

「お前、バカじゃねぇの?」

「お前と違って、罵られても体力は回復しねぇんだよ。ふざけてんのか?」


頬をさすっている俺のことなんかお構いなしに、渡辺はマシンガンのように言った。


「おま、俺が木村好きなことどうやって説明する気だよ。マジで馬鹿なんじゃねぇの? だいたい、俺が『好きな人がいるから断るの手伝ってくれ』なんて言えると思ってんのかよ。そのまま告っちゃうっての! それに、お前の前で木村に告白とかマジで出来ねぇわ。ハズいわー」


渡辺は、饒舌に語りながら、俺にストレスを与える攻撃を繰り出してきて、精神的にムカつかせた。

マジでムカついてきた。


「もう好きにしろよ。適当に告白して振られて、傷心のまま中島の野球チームにでも入ってろよ。どうせ中島だって、お前なんか居なくたって他の友達居るんだから野球できんだよ。ヴァーーーーーカ!!」


立ち上がった俺は、渡辺にそう言うと、カバンからラノベを取り出して、一番最初に用意しておいた椅子に座って続きを読んだ。

渡辺は少しの間ポカンとしていたが、すぐに気を取り直すと俺のほうにトコトコと歩いてきた。


「ごめんなさい」

「・・・い、意外と素直だな」


自分でも言いすぎた自覚あったってことか?


「木村が近くにいたから舞い上がってました。すみませんでした」


どんだけ自分のこと制御できないんだよ。お前は好きな子にイタズラしちゃう小学生か。

あの頃って、どうして好きな子の前で大きいこと言っちゃうんだろうな。

『昨日ヘラクレスオオカブト見つけたさ!』って言ったら、『虫とかキモイ』って真顔で言われたの思い出したわ。めっちゃテンション下がった。


「ほっぺ痛いなぁ」

「マジでごめん」


・・・本気で悪いと思ってるみたいだな。


「・・・明日は塩ラーメンにしようかな」

「奢る奢る! 超奢るし! なんならうどんも付けるから!」

「そんなに食えねぇよ」


機嫌を取り戻した渡辺。

めんどくさい奴と仲良くなってしまったもんだ。

なんだかなぁ。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


ガンダムネタ満載でした。

間違ってたらごめんなさい。


次回もお楽しみに!

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