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ぼっちデイズ  作者: シュウ
一章
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席チェンジ

そうだ。席替えをしよう。

学校へ行くと担任が急に言い出した。

朝のHRから1時間目が担任の受け持つ国語なのをいいことに、そのまま席替えをすることになった。

入学から3カ月もたったことだしということらしい。

今の俺の席は窓側の列の前から4列目。結構気に入ってたんだけどなぁ。

ハッ! そうだ。この機会に友達というものを作ってみよう! これで俺もリア充の仲間入りだ!

まずは席替えで隣の席の人に話しかけてみよう。そう決めたんだ。

担任がくじ引きを作り終えて、廊下側の列から順番に引かされていく。

すごいドキドキする。

窓側とか最後すぎるでしょ。

そんなこんなで俺の番。

ビニール袋の中に入れられたくじを引くために手を突っ込んだ。

さわった感じだとあと3枚。俺を含めて残り3人なんだから当たり前か。

慎重かつ適当かつさも興味無さげに引く。興味無さげに引くのがコツだ。ここで「よーし!」って感じで引くと「なにあいつ・・・いつもはやる気無さげなのに張り切っちゃって。キモい」などと思われてしまう。「キモい」が「気持ち良い」の略ならいいんだけど、大抵は悪口のほうだ。

番号は20番。

番号から席を予測することは不可能だ。なぜならこのあと、先生が黒板にランダムに番号を書いていって、それが各々の席になるからだ。

全員がくじを引き終わり、先生が黒板にランダムに番号を書いていく。

なん・・・だと・・・?

結果、俺の席はなんとど真ん中。

クラスの中心だった。愛でも叫べばいいのか?

いやいや。叫ぶのはともかく、隣の人に声をかけるというミッションをコンプリートせねば。

心の中で準備をする。

バスターズ! レディ・・・ゴー!

ってちょっと待った待った待った!!

男女の席はくっつけられているわけなんだけど、俺の席の隣に先に誰か座っている。

うわぁ・・・ちょっとマジかよ・・・

隣の席の女子はいっつも一緒にいる友達と自分だけ離れてしまってムスーっとしている茶髪の女子だった。

化粧はしてるわ髪は染めてるわ制服はゆるゆるだわスカートは短すぎてパンツ見えそうだわで、いかにも不良(リア充)の分類に分けられてそうな女子だった。

名前は・・・わからん。コミュニケーション能力が低すぎる俺が、女子の名前を覚えているはずがなかろう。冗談にもほどがある。

そうだ。これは冗談だ。夢か。また起きたらいつもの席に


「何してんの? キモイ。早く座りなよ」

「は、はぃ・・・」

「キモッ」


今の会話文だけで『キモイ』って二回も言ったよ。口癖なの?

俺はおっかなびっくりで席に着くと、とりあえず国語の教科書を取り出した。

授業になってしまえばこっちのものだ。

こんな怖い人がノートを俺に貸してくれなんて言うわけないし、教科書も見せてくれとかも言いそうにない。だから授業に集中していればなんの問題もないのだ。


「意外と時間かかっちゃったな。今日はもう授業しないで自習にするわ」


はい終わったー。俺の逃走経路絶たれたー。

なにこれ。死亡フラグなの?

それともこの席に選ばれたのは何かの拷問か何かですか?

隣の人の顔をチラッと見るとものすごい機嫌が悪そうだった。

席替え一つで人ってこんなに怒りを覚えることが出来るんだねー。勉強になりました。

することがなくなった俺は、隣の人に気づかれないように、横目で観察を始めた。

俺の趣味は人間観察なのだ。特に助言も何もしない。というか勇気が無くてできない。観察するのが好きなのだ。

常日頃から観察をしているといざというときに役に立つかもしれない。

プロファイリング能力を鍛えているのだ。そうなのだ。

というわけで観察を開始する。

さっき服装とか見た目関連はサラっと見たから、次は持ち物だ。

まずはケータイ。なんかもうこれはケータイと呼んでいいのかどうかもわからないぐらいに小さい石が付いていて、ケータイよりも大きいストラップ達の塊がぶら下がっている。

これじゃあストラップじゃなくてスクラップだよ。ストラップさんが泣いてますよ?

次に筆箱。一応出してはいるけど、チャックは閉まっている。チャックのところには小さなキーホルダーがついている。木目の立方体に青い毛玉がついている。

・・・って、あれ? このキーホルダーどっかで見たことあるような・・・


「何見てんのよ」

「ヒィッ!」


いつの間にか俺の方を向いていた隣の人が、ドスの聞いた声で言った。

その口調やめてくれませんか? 超怖いんですけど。

あ。思い出した。今の恐怖体験で思い出した。

あれ、マンガの応募者の中から抽選で当たるストラップだ!

最新刊の前の巻で応募出来るやつだ!

俺も応募したけど当たらなかったんだよなぁ。ってゆーかこいつ当てたの!? マジスゲー!

登場人物の女の子のおさげをモチーフにしたストラップで、ウッドキューブとポンポンだっけかな。

うわー。実物って結構青いんだなぁ。

・・・いやいや。問題はそこじゃない。

コイツってあのマンガ読んでるの?

超意外かも。


「だから何見て・・・おい」

「あっ・・・」


どうやら俺が見ているものに気づいたようで、ゆっくりゆっくりと筆箱に手が伸びて、とてもさりげなーく机の中へとしまわれていく。

俺は一部始終を見ていたので、時すでに遅し。

鋭い視線を向けられる俺。

さっきの死亡フラグはこれのフラグだったのか。これで俺もフラグ建築士1級の取得に成功しそうだ。


キーンコーンカーンコーン


試合終了のコングが鳴り響いた。

隣の人はすぐに席を立って友達が集まっている方へと向かっていった。

どうやら俺の命は守られたらしい。

フラグ建築士への道のりはまだまだ遠いようだ。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけるとウルトラハッピーです。


さて新キャラでてきました。

一応ヒロインです。


次回もお楽しみに!

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