日頃の疲れ
土曜日。
ゆとり教育のおかげで休みになった土曜日のおかげで、俺は今こうして自分の部屋で、パソコンと一緒にゴロゴロしている。
奉太郎もビックリの省エネ生活だ。電気は使ってるけど。
読みかけのラノベとかあるけど、今はそういう気分じゃない。とにかくゴロゴロしてたいのだ。
平日に溜まった疲れを休みの日に癒す。正しい休みの使い方だと思う。
せっかくの休みの日に誰かと外で会うなんて変だもん。疲れるじゃん。
精神的にも肉体的にもボロボロになった俺のからだは、完全に休息を必要としていた。
弟も浩一くんと遊ぶとかで朝から出かけてるし、母さんと父さんは仲良く買い物に出かけた。少なくともあと3時間は戻らないだろう。
つまり夕方まで、この家には俺しかいない。
『今、家に誰もいないから・・・』っていうと、ちょっとエロいことを考えてしまいがちだが、普通に考えれば、ただの引きこもりならよく言えるセリフだ。そう考えると萎えるな。やめよう。
そんなこんなで何の予定もないし、さっきのセリフをいう予定もないので、一日中ゴロリンゴロリンとベッドの上で寝転がっているのだ。
嗚呼素晴らしきかな休日。素晴らしきかな我が人生。
いや、人生はそうでもないや。
俺の人生は木村のせいで大判狂いしまくりだった。
よく蹴るけど悪い奴じゃないし変に憎めないやつなんだよなぁ。そこが厄介。
憎めるほどの嫌な奴なら、つっけんどんにして突き放すことも出来るんだが、俺もそこまで鬼になれないのか、突き放しても突き放しても木村は距離を縮めてくる。そしてついには『弟の友達』というポジションにまで接近してきた。しかも木村の中では『(弟の)友達』という認識のようで、俺のことを友達だと言ってくる。俺は認めんぞ。友達でいることを強いられているんだ!! ほらイワークさんもお怒りだよ。
そして次に渡辺。
あいつはもうどうしていいのかわからない。俺もお手上げだ。
木村のこと好きだとか言って俺のことを敵対視してた割には、俺のことを『俺たち友達だよな!』みたいなノリで関わってくる。一度話せば友達みたいなノリやめろ。いい迷惑だ。
俺はもっと段階を踏んで、それでやっと友達になるっていうのが理想なの。
例えば、10対2の絶望的状況で背中合せにケンカをして、一緒にボコボコにされて、仰向けに寝転がって
『負けたな』
『バカ。これは負けてねぇ。俺はまだ負けたって言ってねぇもん』
『なんだよその屁理屈』
『試合に負けて勝負に勝ったってやつだよ』
『アハハハ。なんか俺たちいいコンビだな』
『当たり前だろ』
みたいなノリで友達になりたい。例えだよ? 例えだからね?
こんなケンカするとか俺、ありえないし。
とにかく、友達っていうのは、互いが友達だと認識したときになるものであって、俺は二人を友達だとは認めていない。まぁ木村は弟の友達だから微妙なラインだけど、渡辺は友達じゃない。心の底から言える。世界の中心で友達じゃないと叫べるレベル。
そういえばこの間『仲良くしませんか?』と言ってきた吉川さん。
あの人なんだけど、教室に戻ってからちょっと観察していると、なんとなくどんな人か分かってきた。
吉川さんは、何人か友達がクラス内にいる。でも木村とか渡辺の友達みたいにぶっとんだ感じの友達ではなく、もっと地味ーな感じの友達だった。その友達と話している時でも頭の上に、ぼのぼのが出しているあの汗見たいのが見えてきそうなぐらいアセアセしながらしゃべっていた。
友達もそれを含めたうえで吉川さんと付き合っているようで、時々いじられながらも楽しそうに話していた。
そんな吉川さんなんだが、ふんわり系というのは、相場で『器用で家庭的なイメージ』というのが鉄板だが、その相場をぶち壊すかのように不器用だった。
衣装のボタンを縫いつけるのに、1つ10分以上かかってたし、しかも出来栄えが半端なく悪い。服の布からボタンまでの距離が拳一つ分は開いていた。それじゃあボタンを留めても中身が隠れないから意味がなくなってしまうではないか。何考えてるんだ。ドアホウが。
そんな感じで、見た目通りと言えば見た目通りなのだが、雰囲気と中身の不器用さのせいで、変な子に見えたのは言うまでもない。根本的に、俺と仲良くなろうと思う時点で変な子のレッテルを貼られてもおかしくない。
そう考えると俺の人生も結構変わってきたなぁ・・・不本意ながら。
なんかもっとマシな人らが良かったな・・・
「・・・マシってなんだよ」
『マシ』の概念が崩れ始めてきた。
もうよくわからなくなってきた。
でも一つだけ言えることがある。
根本的に友達が欲しいわけではないということだ。
だって一人でも生きていけるもん。
よしっ。ネトゲ再開っ。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
感想とか書いていただけると嬉しいです。
今までのまとめみたいな感じになりました。
主人公目線のクラスの登場人物紹介ですね。
次回もお楽しみに!




