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ぼっちデイズ  作者: シュウ
二章
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お買い物

「買い物っスか・・・」

「渡辺くんが一緒に連れてけって・・・もしかして服作れたりした?」

「本気出せば作れるけど、本気出さないだけだし」

「つまり?」

「・・・作れません」

「ははは・・・はは・・・じゃあ荷物持ちお願いね」


というわけで、俺は同じオバケ役の吉川さんと一緒に買い物に行くことになった。

買い物と言っても、衣装に付ける小物を買うだけなので、そこまで大荷物になることもないのだが、何故か一緒に行くことになってしまった。

そもそも吉川さんが買い物に行くことになったときに、渡辺が余計なことを言うから悪いんだ。本当に俺を攻略する気あるのか? 俺の中で、渡辺の友好度はマイナスだぞ。底辺以下だ。

吉川さんは、大人しめの性格なのか、いつもちょっと引いた感じの小動物のような雰囲気を醸し出している。髪は黒い肩までの髪をフワッとくねらせていて、やわらかーい感じにしている。その見た目も手伝ってか、ふんわりとした感じの人に見える。

暴力的な木村とは対照的な吉川さんだった。

でも俺はちょっと苦手だ。もしちょっと強く言っちゃって、謝り連打とかされたらたまったもんじゃない。戦術的撤退したくなるほどだ。

俺は吉川さんとは話したことがない。というか話したことがある人のほうが少ない。

道中、そんな俺に、吉川さんが話しかけてきた。


「あの」

「な、何?」

「あ、ごめんなさい・・・」

「なんで謝ったし」

「あ、ごめんなさい」

「・・・で、何?」

「あ、あの、私のこと嫌い?」


この人はなんてことを聞いてくるんだ・・・


「・・・別に普通、かな」

「そ、そっか。変なこと聞いてゴメンね?」

「別に気にしてないし」

「・・・うん」


うわぁ・・・やりづれぇ・・・

そのあとは全然話さずに、ただ道を並んで歩いた。

そんなこんなで近くの大型ホームセンターに到着。北海道ではそこそこ有名なホームセンターで、ジョイフルエーケーというところだ。ここはとにかくデカイ。迷子になるんじゃないかってくらいデカイ。

まず入口から入ると男心をくすぐるような電動ドリルを始め、工具類、業務用ボンドなどたくさんの工業品が売っているスペースがある。


「あ、あの、そっちじゃないよ?」

「・・・はい」


吉川さんに注意された俺は、仕方なしに工業品コーナーをスルーした。ごめんよ。男のロマン達。

俺達が買うのは、猫耳と猫の尻尾。

アレ? 何かおかしい。

実はここは一応見ているだけで、本命はここよりもう少し先にあるドンキに行く予定なのだ。

ドンキって微妙に遠いんだよね。

学校があって、ジョイフルがあって、ドンキがあるって感じ。距離にして学校から大体2キロぐらい。ジョイフルは大体500mぐらい。そりゃジョイフルにあれば苦労しませんよ。


「何コーナーにあるかな?」

「無いと思う」

「えっ、だってジョイフルだよ? きっとあるよ」


そう言ってキョロキョロと辺りを見回す吉川さん。

この人の中では『ジョイフル万能説』でもあるの? ジョイフルにだって弱点はあるよ? 食品とかゲーム関係とかバラエティグッズとか。


「クラッカーとかならあるかもしれないけど、さすがに猫耳は・・・」

「とりあえず探してみよう!」


意気揚々と店内の物色に励もうと気合を入れる吉川さん。

確かに渡辺は『一応ジョイフルも見てな。無いとは思うけど』とは言ったものの、『ジョイフルで絶対に見つけてこいや!』とは言われてない。

俺としてはさっさと次のドンキに行くか、工業品コーナーでカッコイイドライバーとか使わないけど欲しい六角レンチとか釘を打ち込むマシーンとかを見たいものだ。


そして30分後。


「うーん・・・無かったね」

「そうですね」

「じゃあドンキ行こうか」


首を縦に振ってから、俺は思った。

『コイツ嫌い』と。

そして特に話すこともなく、ドンキへの道のりを歩ききって、店内へと侵入。そして入店5分でお探しのものを発見。はえー。

あとで学校に請求するということで、俺が代金を立て替えるので、会計は俺が済ませた。

もちろん学校の名前で領収書を切るのを忘れない。

テクテクと学校へと戻る。相変わらずの無言だ。

ここで木村とか渡辺なら、無言を気にして無理矢理話題を作ってきたりしそうなもんだけど、吉川さんはそれをしない。変に話題を作られて無理矢理話しかけられるよりはマシだけど、この人の場合は無言の種類が違う。

常にビクビクしていて、チラチラと俺のことを横目で見てくるし、時々自分を落ち着かせているのか、深呼吸をする時もある。正直居づらい。

そして吉川さんが、ついに覚悟を決めたのか、俺に話しかけてきた。


「あ、あの!」

「・・・はい?」

「き、木村さんと付き合ってるって本当なの?」

「付き合ってません」


とびきりの笑顔で答えた。


「そ、そうなの? 最近仲良しみたいだから、付き合い始めたのかと思ってた」

「仲良し・・・だと?」


おい木村。俺らが仲良くしてることバレバレだぞ。隠そうとしなかったお前が悪いんだからな。


「うん。あっ・・・もしかして違うの?」

「微妙・・・いや、仲良しです」


もしここで仲良し宣言をしておかないと、あとで木村の耳に入った時が怖い。


「じゃあやっぱり仲良しなんだねぇ」

「不本意ながら・・・」

「なら私とも仲良くしてね」

「・・・なんで?」


なんでそうなるのっ!?


「お、同じクラスなんだし、私とも仲良くしてくれてもい、いいでしょ?」


どうしてコミュ力がすごい奴らばっかり・・・


「ほら、高校生なんだからもっと青春してもいいかなぁって思うんだけど・・・どう?」


こちらを向いて首を傾げる吉川さん。

不覚にも可愛いとか思ってしまった俺を誰か殺してください。

そして思った。


「・・・じゃあ」

「やった! よろしくねー」


最近、断る能力が低下してきてるように思えた。

これもリア充の木村の空気に当てられたせいなのか?

これ以上俺の生活時間を邪魔するのはやめて欲しい。

・・・これって俺の自業自得だよね。はぁ・・・

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけるとウルトラハッピーです。


新キャラの吉川さんです。

絡みや他は今後をお楽しみに。


次回もお楽しみに!

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