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ぼっちデイズ  作者: シュウ
二章
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諦めと罵られ

「な、なんだよ」

「俺に言うことあるんじゃないのか?」


学校で毎朝恒例となってきた『渡辺からの呼び出し』によって、俺はいつもの人気のないところにやってきた。

これが恒例になるっていうのはなんだかなぁ・・・

昨日の事があったにもかかわらず、クラスの連中はあまり気にしてないようだった。

やっぱり俺のことは見えていなかったのかもしれない。俺は最初から居なかったことになっているのか? ここって夜見山北中学校だっけ?

そんなことよりも教室を出るときにクラスの女子二人が、


『あの二人デキてんのかな?』

『さぁ?』

『・・・あたしちょっとついてく』

『やめなって。二人の邪魔する気?』

『はぅ! 危なかった。あたしとしたことが・・・』


みたいな会話をしてた。

間違ってもそんな関係じゃないです。

あんなところでそんな会話をされるのは大変嫌だ。

第三者なら楽しんで見れるけど、当事者となればいろいろと来るものがある。特に吐き気とか嫌悪感とか。

ってゆーか、ホントにこいつモテてんの?

クールって言われてるらしいけど、陰湿の間違いじゃないの?

こいつなんかストーカー予備軍みたいなもんだよ? おまわりさーん。こいつですー。


「なんも言うことなんか無いって」

「嘘付け。昨日、木村と会っただろ」

「それか・・・」


確かに木村には会った。家にも来た。

でも昨日は、俺の枕を粉砕玉砕して、俺に怒られて、片付けて、そのあとはすぐ帰った。

あいつ何しに来たんだ?

それ以外にしたことと言えば、ちびっ子とケンカしてたな。

ホント何しに来たんだ・・・


「何もしてねぇよ」

「何もしてないのは当たり前だ」

「じゃあいいじゃねぇか」

「良くない。具体的にだなぁ・・・」


何これ。

毎回こうやってこいつに尋問されないとダメなの?

報告の義務って国民の義務の一つだっけ?

うわーめんどくせー。


「よし、決めた」


俺は今決めた。さっき決めた。地球がたくさん回った時の今日の朝8時30分ごろに決めた。


「何を?」

「俺、木村にお前が木村のことを好きだって言ってくる」

「ちょっ! それはマズいって! もっと仲良くなってからだな・・・」

「だってめんどくせぇんだもん」

「めんどくさいとか言うなって。俺の恋路がかかってんだよ」

「そんなの知らんし」

「そんなことしたら友達無くすぞ?」

「元々居ねぇし」


ぼっちなめんな。


「俺とも絶交だぞ?」

「望むところだ」

「俺が木村と仲良くなれないんだぞ?」

「自分で頑張れよ。そんなに好きならもっと積極的にアピールすればいいじゃん」

「俺にそんなことできると思ってるのか!?」

「できるできるお前なら出来る!」


修造さん! 俺に力をォォオオオ!!


「頑張れ頑張れイケルイケルお前なら出来るあきらめんなしじみだって頑張ってんだから頑張れそこであきらめんな諦めたらそこで試合は終了だぞお米食べろ頑張れあきらめんなお前なら出来る諦めんな! ネバーギブアップだ!」


言い切った。頑張った、俺。もう一年分の励ましを一気に使った気がする。後半は諦めんなしか思いつかなかったのは内緒な。


「まさかお前にそこまで励まされるなんて思わなかった・・・」


あれ? なんでこいつ涙目なの?


「お前・・・いい奴だな・・・」

「は?」

「俺、もっと頑張ってみるよ。絶対に木村と付き合ってみせる。そして夢の罵られ生活を成し遂げてみせるよ!」


何言ってんだ。馬鹿じゃねぇの。

そんな生活ストレス溜まって死ぬわ。即死だ即死。

円形脱毛症からの胃がんで死ねるわ。


「・・・そっか。頑張れよ」


これ以上絡まれてもめんどくさいので、一番の爽やかな笑みを浮かべて渡辺に微笑みかけた。


「おう! ありがとな! 色々と報告するわ! じゃあ先に戻ってるな!」


そう言って教室へと戻っていく渡辺はとても生き生きとしていた。

なんて美しい青春なんだ。

そして俺は迷える子羊を、一人救ってしまったのかもしれない。

それが茨の道だったとしても、渡辺は進んでいくのだろう。バカだから。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


渡辺くんがドンドン残念な方向に進んでおります。


次回もお楽しみに!

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