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ぼっちデイズ  作者: シュウ
二章
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キャベツ

まだ登校してから3時間ぐらいしか経ってないのに、ドッと疲れたからだを引きづりながら帰宅した。

学校にいる時間より登校時間のほうが長いってどうなんだろ。

玄関の鍵を開けて、中に入る。


「ただいまー」


とりあえず誰もいないけど、あいさつだけはしておく。


「あれ? おかえり。どうしたの?」


するとリビングのほうから母さんが出てきた。

あれ? 仕事は?

ってゆーかこれやばいんじゃね?

変な汗が背中に流れた。


「あんたどうしたのよ。忘れ物?」

「あ、いや、ちょっと具合悪くて・・・」

「ふーん・・・」


どこか疑うような目で俺をつま先から頭のてっぺんまで見る。めっちゃ疑われてるし。

俺は何か言われるのではないかと思ってビクビクとして斜め下をじっと見ていた。


「まぁいいや。どうせ仮病でしょ」

「ちっ、ちげーし。ちゃんと具合悪かったんだし」

「じゃあどのへんが悪いのよ」

「こ、このへんが・・・」


そう言って右の下腹部を手のひらでさすった。


「あら。じゃあ盲腸じゃないの? 大変! 病院に行かないとね!」

「あっ! 逃げた! 今痛いところ逃げた! 左側に移ったかも!」

「・・・・・・」

「・・・・・・」


いたたまれない・・・

ジト目で俺のことを見てくる母さん。

目線を合わせまいと、下を向き続ける俺。


「まぁいいや」

「へ?」

「あんたがサボるなんてなんかあったんでしょ。今日はゆっくり寝てなさい。そのかわりパソコンはしちゃダメね。病人なんだから。それじゃあ帰ってくるまでにキャベツだけ買っておいて」

「あ、はい」

「それじゃあいってきます、と」

「お、い、いってらっしゃい」


この時間になってから出勤する母さんを見送った俺は、なんとも言えない気分でリビングへと向かった。

ソファの上にカバンを投げて、キッチンの冷蔵庫からお茶を取り出してコップに注ぎ、ソファに座ってぐびぐびと1杯飲んだ。

コップをテーブルの上に置くと、ちょっと落ち着いた。

そして思った。

なんで帰ってきてしまったのだろうか、と。

途中で帰るのが恥ずかしいからと言う理由で、早退はしたことが無かった。

というよりも、休んだこともなかったかもしれない。

そう考えると、この時間帯に家にいるのはとても珍しい。ちょっと前まで夏休みだったけど、その時期とは雰囲気が違う。

今日はホント疲れた。最近いろんなことがありすぎた。

そんなことを考えてると、ウトウトとしてしまって、ソファで寝てしまった。


「はっ! 寝てた!」


目を覚ますと、窓の外ではちびっ子達がそのへんで遊んでいるのか声が聞こえていた。

時計を見ると時刻は午後2時半ぐらい。


「やべっ。キャベツ買いにいかなきゃ」


母さんからの言い付けを守らないと、あとあとめんどくさい。

キッチンに置いてあった財布を掴んで、制服のまま家を出た。

近所のスーパーへは、歩いて5分ぐらいだ。自転車で行ってもいいのだが、駐輪所がスーパーの入口から離れたところにあるので、買うものが少ないときは徒歩が一番早い。

そんなこんなでキャベツをささっと買い、スーパーを出た。


「あ、お兄ちゃん」


スーパーを出たところで、弟と会った。


「おう。今帰りか?」

「うん。お兄ちゃんは何してたの?」

「母さんにキャベツ買ってこいって言われててさ。って友達か?」


弟の後ろに並んで立っている二人を見て言った。

一人は小太りなマンガに出てきそうな男の子。もう一人は黒髪おかっぱのブチャラティをちっちゃくした感じの女の子。


「うん。友達。これから家で遊ぼうかと思って」

「そうかそうか。じゃあな」

「あのっ! 幸人くんのお兄さんですよね?」


先に家に帰ろうかと思ったときに、ちびブチャラティが俺に向かって声を上げた。いきなりスタンドとかは出してこないよな? ジッパーとか付けられないよね?


「そうだけど・・・」

「お話は幸人くんから聞いてます!」

「はぁ」


こいつは何の話をしてるんだ?


「お兄さんはオタクなんですよね?」

「違います」


俺はスタスタと家の方に歩いていった。

あいつは何を言ってるんだ。俺がオタクなのをバラしてどうするつもりなんだ。

どうせあいつには悪気とか悪意はないんだろうけど、その『噂のオタクのお兄ちゃん』という名称がつきそうな内容のことは自重してほしい。


「カリンもオタクなんです!」


そんなカミングアウトはいらん!

隣を小走りでついてくるちびブチャラティは笑顔でそう言った。

どうしてこいつといい木村といい、俺にかまってくるんだ。

俺は静かに暮らしたいの。吉良と同じ考えを持った人間なの。邪魔しないで大人しく蚊帳の外にでも放り投げておいてください。


「カリン、お兄さんに会ってみたかったんです! 幸人くんがいつもお兄さんの話してくれて、かっこいいなぁって思ってたら、つい最近、オタクだって教えてくれて、それから会いたくなっちゃって!」

「それで弟にまとわりついてたのかよ」

「そんなことないです! 幸人くんもカッコイイんですけど、お兄さんのほうがもっとカッコイイです!」


カッコイイって・・・ちょっと照れるじゃないか。

だからってそんなに大声で言わなくてもいいのではないかい?


「はぁ・・・お兄さんと会えるなんて夢のようですー!」

「今日はあいつと遊びに来たんじゃないのかよ?」

「違いますよぉ。お兄さんに会えるかなーと思って連れてきてもらったんです!」


目を輝かせながら隣を歩くちびブチャラティの目は、とてつもなく輝いていた。

家の前まで早歩きで到着すると、玄関の前に見知った顔があった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


弟くんのお友達登場。


次回もお楽しみに!

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