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ぼっちデイズ  作者: シュウ
二章
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さぼりっち

結局、自販機の横でじっとしていて、一時間目をサボってしまった。

人生初サボリだ。

あんなことがあったんだから、有給使ってでも休みたい。学生には有給休暇は無いのですね。知ってました。

そんなわけで、静かになった校舎にはチャイムの音が鳴り響いていた。

これはこれで新鮮ではあるが、ちょっと怖い。

高校に入学してからは、遅刻らしい遅刻もまだなく、それなりに勉強が出来る真面目な高校生だった。

帰るのも帰宅部内では1位2位を争うレベルだったから、こんなに静かな校内を見るのは初めてだった。

俺は自販機と壁の隙間に挟まれたまま、からだを圧迫されているのが妙に心地いいなぁと思いながら、教室に戻った時のことを考えた。もしかして定助もこんな気分でベッドのマットレスに挟まって寝ているのだろうか?

とりあえず今ここで戻ると、クラスの全員の視線を受けてしまい、いたたまれなくなるから、ここで圧迫待機は絶対条件だ。

問題は戻るタイミングだ。

一時間目が終わってから戻ってもいいんだけど、それで変に質問攻めにあっても困る。それになにより木村と渡辺に見つかるのがめんどくさい。見つかったりでもすれば、まためんどくさいことになるのは目に見えてる。

だがしかし木村が隣の席である以上は、木村に見つかるのは確定と言えよう。逃げ出す術はないものか・・・

俺にステルス迷彩並みの透明力やミスディレクション並みの透明力やシーステルスver.Ⅱの時のフィッシャーマン並みのステルス能力がない限り、回避することは難しい。よって、回避は不可能と言うわけだ。

こんなときに友達でもいれば、助かりまくりなんだけど、俺にはその友達がいない。

こんなところで友達の重要性を思い知らされるとは・・・だが後悔はしていない。

自分の未来は自分で切り開くものなのだ。どっかの主人公が言ってた。

よし考えるんだ。まずは状況確認だ。

カバンは教室に置きっぱなし。ケータイはカバンの中。財布もカバンの中。

・・・これは教室に行かないと帰れないではないか。

サボってこのまま帰ってやろうかとも思ったけど、こんな状況じゃ家に帰るどころか電車にも乗れやしないよ。

こんなことなら家の近くの高校にでも進学すればよかった。

俺が近所の学校ではなく、この学校を選んだ理由は、近所の高校だと、ランクが低すぎてバカが多いのだ。バカが多い学校というのは、必然的にリア充の率も高くなる。リア充はバカだからな。

バカじゃなかったら、あんなに夜中に大騒ぎしたりしねぇよ。

前だって、近所の大学生が夜中の3時頃に


『『『『イェーーーーェイ!!』』』』


って叫び始めた。

そのあとも日本コールは鳴り止まず、素晴らしいまでの模範解答のような近所迷惑が繰り広げられた。

あの時期は、サッカーの日本代表が夜中に試合してたはずだから、その勝利の雄叫びだったんだろう。

おかげで、録画して見ようと思ってた試合が台無しだよ。公共の場でのネタバレはやめてください。ホントにマジで。

思考が反れた。

どうやって戻るか、だったな。

もう普通に戻ってやろうか。どうせ俺のことなんて認知すらされてないんだから、戻っても話題の中心になることはないだろう。

それに木村と渡辺も、ものすごい自分の犯した罪を数えているかもしれない。

うん。そうだ。そうに決まってる。

いつも変にネガティブに考えすぎるのは、俺の悪い癖だ。

すこしはポジティブに行こう。前向きに行こう。そしてダメだったらひきこもろう。

ぼっちに対しての過剰なお節介は毒となるんだから、それでひきこもっても文句は言えないだろう。

よし。この作戦で行こう。

もう作戦が何かよくわからなくなってきたけど、それはそれでいいじゃないか。

俺はそう心に決めると、一時間目が終わりそうだということを近くにあった時計で確認し、自販機と壁の圧迫空間からの退避をした。

そしてものすごい遅い足取りで教室へと向かう階段を登った。

そして高鳴る鼓動を押さえつけながら、教室の前へとたどり着いた。


「ふぅ・・・」


一度深呼吸をして落ち着かせる。


キーンコーンカーンコーン・・・


チャイムがとてもいいタイミングで鳴る。ナイスチャイム。

そしてそれと同時に教室のドアを開けた。

そして俺に全員の視線が集ま


「・・・あれ?」


・・・らなかった。

教室には誰も居なかった。

あれれー?と思った俺は、自分の席に目をやると、一枚のルーズリーフが置いてあった。

そこには見慣れた丸っこい字でこう書いてあった。


『移動教室だって。LL教室』


・・・・・・

俺はカバンを持って、教室をあとにした。

そしてそのままの足で学校をもあとにした。

明るすぎる通学路を駅へと歩きながら、横目で校舎を見た。

悩んでた俺がバカだったよ。悩んでる俺なんかまるで道化師だよ。ピエロだよ。ヒエログリフだよ!

クソッ! 意味わかんねぇ!!

俺はその辺に転がっていた石ころを思いきり蹴飛ばした。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


大学生のくだりは実話です。

ネタバレ厳禁!


次回もお楽しみに!

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