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ぼっちデイズ  作者: シュウ
二章
33/128

アクシデント

木村と話そうと、覚悟を決めて家を出たのだが、やっぱり怖いもんは怖かった。

ホントこういうときってどんな顔して学校行けばいいのさ。

家を出る前に、ケータイの電源を入れた。センターでメールがたくさん貯まってるんだろうなと思ったけど、不思議と一件も来ていなかった。

少し残念だったが、普段はこれが普通なので特に気に留めないようにした。

電車内では、このまま電車が止まってしまえばいいのにとかも思ったけど、無常にも学校へ到着してしまった。

ここまで来て帰るわけにもいかないので、しかたなしに教室へと向かった。

教室へと入ると、俺の席の隣はまだ空席だったので一安心した。

とはいえどももう少しすれば木村がやってくるわけで・・・

はぁ・・・とても逃げ出したい気分です。

でも弟と約束した手前、逃げ出すわけにもいかない。

でも逃げ出したい。


「あ! 紗枝ー! おはよー!」


誰かの声が木村の名前を呼んで、俺は飛び上がりそうになった。

平常心平常心・・・


「おはよー」

「久しぶりだねー」

「だねー。元気だった?」

「元気元気! 超元気だよ! 紗枝は?」

「私も元気ー」


木村と誰かの話し声が聞こえる。

俺はなるべく聞かないようにしてるんだけど、どうしても変に意識しちゃってるせいか、その会話に耳を傾けてしまっていた。

そしてカバンを置くために木村がこっちにやってきた。

声をかけるべきか? それとも何事もないようにスルーすべきか? それともそれとも・・・

そうこう考えてるうちに木村はカバンを置いて友達のところへと戻っていってしまった。


「はぁぁああ・・・」


俺は小さくかつ長いため息をついた。

そして朝のHRが始まると思ったら、そのまま体育館へ移動して始業式が始まった。

今日はとくに授業はなく、教室に戻ってからも担任の簡単な話で終わってしまった。

そして木村と会話する暇も無く終わってしまった。

どうしようかと思っていると、ケータイがブルブルと震えた。

こんな時間に誰だ?

もしかして木村か?とも思ったけど、相手は母さんだった。

少しがっかりしながらも何事かと思ってメールを見てみた。


『本文:幸人が倒れたって。そこまで大事(おおごと)じゃないみたいだから、あんたが迎えに行ってくれない?』


幸人(ゆきと)というのは、弟の名前だ。

朝の様子から見て大丈夫かどうか心配だったが、やっぱりダメだったようだ。

母さんは仕事だろうから抜け出せないんだろう。俺にも責任はあるわけだから仕方ない。

そうなんだけど・・・

俺は木村のほうをチラッと見た。

その時、木村もちょうどこっちを見て、目が合ってしまったので慌てて目をそらしてしまった。

なにやってんだ・・・

もう今日は諦めて弟を迎えに行くことにした。


「ねぇ!」


教室を出ようとしていた俺に向かって、木村が声をかけてきた。

どうしてこうもタイミングが悪いかなぁ・・・

告白の時だってムードも何もなかったじゃん。こいつには空気を読む能力ってのがかけてるのだろうか。KY検定とか受けてくればいいのに。

いざとなると木村と話すのが怖くて、俺は無視して教室を出て廊下を走った。

こんなところで話しかけられたって何も答えられないし。

そう考えてもモヤモヤとした何かが消えることはなかったが、今はとにかく弟のお迎えに集中することにした。

何かに集中してないとやってられない。

しかしKY検定を受けていない木村は、俺の気持ちすらも理解しようともせずに追いかけてきやがった。


「ちょっと! 無視しないでよ!」


話しかけられるとやっぱり怖い! しかも追ってくる! ますます怖い!!


「もう・・・待てって言ってるでしょっ!!」

「ぐえっ!」


追いつかれたらしく背後から後頭部にグーパンチを喰らった。相変わらず暴力的である。

ってゆーか足早いな。俺が遅いのか?


「はぁはぁ・・・なんで逃げるのよ」

「そんなのこっちの勝手だろ。今はお前に構ってる場合じゃないんだ」

「どういうことよ」

「弟が倒れたから迎えに行かないといけないんだよ」

「倒れたって・・・弟くんが?」

「わかったら放っておいてくれ」


そう言って歩き出すと、木村もついてきた。


「なんでついてくるんだよ」

「だって弟くんのこと心配だもん」


必死な目をする木村のことを、断ることはできなかった。どうせついてくるんだろうし。


「はぁ・・・勝手にしろ」

「勝手にするもん」


そうして勝手についてくる木村と弟の学校へと向かった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


弟くんの名前は幸人くんです。

イケメン臭が漂いますね。


次回もお楽しみに!

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