弟デイズ
弟視点です。
ちゃんと授業を受けて、いい成績を取って、うちのお父さんとお母さんが楽に老後を暮らせるような仕事に就きたいと思っているので、良い高校へ行って、良い大学に行こうと頑張ってます。
そんな僕にはお兄ちゃんがいるのですが、そのお兄ちゃんがなんと友達を連れてきました。
僕が知る限りでは、家に友達を連れてきたのは初めてだったので、僕は驚きました。
その友達に対して、お兄ちゃんは『早く帰れ』だの『うっとおしい』みたいなことを言うので、友達がかわいそうだと思い、お兄ちゃんに『友達は大切にしないとダメだよ』と言いました。
するとそのことで僕のことを気に入ったのか、お兄ちゃんの友達と仲良くなれました。
その人は木村紗枝さんと言って、お兄ちゃんとはちょっと違うような雰囲気の人でした。
紗枝ちゃんは・・・あ、紗枝ちゃんが紗枝ちゃんって言っていいよと言ってくれたので、僕は紗枝ちゃんと呼んでいます。
その紗枝ちゃんはとても僕に優しくしてくれて、すぐに仲良くなりました。
夜は3日置きぐらいにメールをしたり、家に来たときには僕のことも構ってくれました。
お兄ちゃんがあんまり僕に構ってくれないせいか、お姉ちゃんが出来たみたいで嬉しかったです。
そんな夏休みに入ってから一週間ぐらい経ったある日の夜。
紗枝ちゃんから電話がかかってきました。
「ねぇ弟くん。私、お兄ちゃんに告白しようと思うの」
紗枝ちゃんは、お兄ちゃんの事が好きだったようです。
いつもあんなに冷たくされているのに、どこを好きになったのかわからなかったので聞いてみました。
「えー、それ聞いちゃうの? でも弟くんになら言ってもいいかなー」
そこからはノロケモード全開でした。
「あのね、最初はちょっと同じオタクとして趣味が合う友達程度だったんだけど、だんだん一緒にいるうちにコイツ意外といい奴だなーって思ってきて、私がちょっと友達とケンカしたときに助けてくれてね、あの時のあいつは結構かっこよかったなぁ。弟くんにも見せてあげたかったよ! 目の前であれこれ言われてるのを放っておけなかったのか、隣でスッと立ち上がって私の代わりに弁解してくれてさ。結局ダメダメだったんだけどね。でもあの時、私の味方をしてくれたのはあいつだけだったから・・・」
とても長かったです。
多分10分ぐらい話してました。
それにしてもお兄ちゃんが他の人を助けるなんて珍しいです。
いつも部屋で『フフフ。俺様が真の勇者だ!』ってパソコンに向かって言っていたのは、こんな時の予行練習だったんだと思います。
そういえば小さいときに、僕が野良犬に追っかけられたことがあって、その時も助けてくれた気がします。その時は、お兄ちゃんが追いかけられてるスキに僕だけ逃げたんですけど、今思うとお兄ちゃんが引きつけてくれたから僕が助かったんだと思います。
その頃から、僕はお兄ちゃんのことが大好きでした。口ではあー言っているけど、本当は優しいお兄ちゃんなんだと思っています。
お兄ちゃんは結構優しいんだと思います。
そしてお兄ちゃんと紗枝ちゃんが夏休みの宿題をすると言うことになりました。
夏休みの途中から紗枝ちゃんは、毎日ウチに来ていました。
帰ってから、僕にメールが来て『今日も告白できなかったorz』と毎日メールが届いていました。
そしてお兄ちゃんと二人きりで勉強は恥ずかしいからということで、紗枝ちゃんに呼ばれて、三人で勉強会が始まりました。
お兄ちゃんは紗枝ちゃんの質問に適当に答えるばかりで、真面目に勉強を教えてあげてませんでした。
紗枝ちゃんが聞いても適当に答えるので、僕がお兄ちゃんに注意をすると、お兄ちゃんはちゃんと答えるようになってくれました。
そして夕方になって紗枝ちゃんが帰るというので、お兄ちゃんに無理矢理送って行くように言いました。
お兄ちゃんに彼女が出来るのはちょっと寂しい気もしましたが、紗枝ちゃんと付き合ってくれるなら良いかなと思いました。
するとしばらくしてリビングでテレビを見ていると、お兄ちゃんがバタバタと帰ってきてそのまま部屋へと行ってしまいました。
そのあともお兄ちゃんは部屋から出てこず、今流行りのひきこもりというやつになってしまったようでした。
夜ごはんが出来たので呼びに行っても返事はなくて、朝になっても出てくる気配はありませんでした。
夜に紗枝ちゃんにメールをしてみても返事はありませんでした。
告白が失敗したのかとも思いましたが、それでお兄ちゃんがひきこもりというやつになる意味がわかりません。
この紗枝ちゃんがお兄ちゃんのことを好きだということを、お兄ちゃんには内緒にしておいてねと言われているので、お兄ちゃんを励ますこともできません。
一体僕はどうすればいいのでしょうか?
誰か教えてください。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
感想とか書いていただけると嬉しいです。
弟くんは純粋かつ純情です。
次回もお楽しみに!




