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ぼっちデイズ  作者: シュウ
二章
28/128

帰ってください。

「んで、何すんの?」

「ん。気にしないでネトゲでもなんでもしてて」


そう言って勝手に本棚を漁り始める木村。

気にしないでって言われても、逆に気になるわ。

特に変な本とかは置いてないから大丈夫だけどさ、他人が部屋にいるとどうしても変なことしないかどうかが気になっちゃうじゃん?

木村は本棚からシリーズもののマンガの一巻目を取り出して読み始めた。

取り出した本は『あひるの空』というバスケ漫画。

個人的意見だけど、スラムダンクよりも面白いと思う。これぞ青春って感じがしてリアリティがハンパない。主人公補正とかも特に無いし、流川とかみたいな天才っていうのは見当たらない。全員が努力の天才だ。

そんなバスケマンガを黙々と読み進めている木村。壁に寄りかかって足を抱えて読んでいる。もしもスカートならばパンツが丸見えの座り方だが、あいにく半袖の黒いシャツに薄い色のカーゴパンツを履いている。残念だったな!

こうやって黙っているとそれなりに可愛い・・・のだろうか?

あんまり木村の外見を気にしてみてなかったので、改めて見るとそれなりの顔立ちだ。

まぁ茶髪は俺の恋愛対象外だからダメだな。

日本人ならお米と黒髪ですよ。でも長すぎる髪はちょっとNGだ。せめて肩ぐらいまでが限界。黒髪ショートでしかも前髪パッツンなら素晴らしいと思う。

というかこんなことを考えているけど、俺の部屋に誰かがいるのもそうだけど、女子がいるのもおかしい。

これまでの16年間、一切女子との関わりをシャットアウトしてきた俺だが、別に男が好きな訳じゃない。そして女子が嫌いなわけでもない。

もちろん付き合いたいと言われれば考えないこともないが、俺のネトゲの邪魔をせず、俺と全く趣味範囲が同じで、何を話していても楽しい人じゃないと俺は認めない。

そんなやつがこの日本国内にどれほどいるのだろうか?

少なくともこの学校には居ないだろう。だって告白されたことないもん。

俺だって黙っていればそこそこモテるはずなのだが、いかんせん俺が周りに興味が無さ過ぎる。だから周りからの好意を無意識に遮断してしまっているのかもしれない。なんて罪な男なんだ。

ふと気がつくと、木村がこっちをガン見していた。

こいつ、俺のことガン見する癖でもあるの?


「何見てんのよ」

「お前こそ何見てんだよ」

「あんたが見てるからでしょ」

「お前も黙ってたらいい奴なのになって思ってたんだよ」

「い、いい奴って何よ」

「えっ、いい奴はいい奴だろ。それ以上もそれ以下もねぇよ」

「いい奴・・・」


何かを考え込む木村。

なんか俺まずいこと言った? 


「いい奴ってどのくらいのポジション?」

「えっ? サッカーでいうところのボランチって感じ」

「なにそれ。意味わかんない」

「別に分かってもらおうなんて思ってねぇよ」

「伝わるように言ってよ」

「えー・・・」


いい奴ってなんて言えばいいの?


「んー・・・いてもいなくてもいい存在?」

「それは悪口と取ったほうが良かったってこと?」

「違う違う! そーゆー意味じゃない! えーと・・・黙ってれば可愛いのになー的な意味! 悪い意味じゃない!」

「可愛い・・・ふーん。あんたもなかなか良いこと言うじゃない」


フフンと上機嫌にマンガを読む作業に戻る木村。

こいつの考えてることがわからん。意味不明。理解しようとも思わないけどな。

こいつ、可愛いって言われて上機嫌になったのか? 自分に都合のいいところだけ聞こえるなんて、都合のいい耳をお持ちのようだ。

少なくともこいつは可愛くなんてない。めんどくさいの分類に入るような女が可愛いはずがない。

少なくとも俺の辞書に載っている『可愛い』の中に木村は入っていない。

まぁいいや。もう関わるのは止めよう。ネトゲに集中しよう。

というわけで、パソコン起動。

そしてネットの世界にダイブする。いつになったら人間の脳は電脳化されるのだろうか?

テレビでそんな研究も進んではいるそうだが、それが一般社会に出回るのはまだまだ先のようで、笑い男とかが出てくるにはまだ時間がかかるということだ。


「それなんのゲーム?」

「これか? これはな、モビルスーツウォオオオオオ!?」

「ん? 何?」

「な、何ってお前っ!」


こ、この、こいつ、俺のベッドに上がってきやがった!

しかも後ろから跨ってやがるっ!

これで俺が仰向けだったら『これ絶対入ってるよね』状態。

いやいや、こんなんで冷静になれる男子高校生とかいるの?

少なくとも俺は無理だねっ! 限界だっ!


「で、これってなんてやつ?」

「いいからそこから離れろ!」

「なんで?」

「なんでって・・・」

「・・・ははぁーん。もしかしてドキドキしてるのぉ?」

「ドキドキなんてしてねぇし!」

「もう・・・からだは素直よ?」

「ちょ、何言ってんだ!」

「ハハハ。冗談冗談」


そう言ってベッドから降りて不敵に笑う木村。

俺はなんか・・・ドキドキなんてもんじゃなかった。

女子に触れたのが初めてだったのもあるけど、緊張して緊張しすぎた。

もう何を言っているのかもわからないかもしれないが俺もよくわかってないんだ。

そのくらい頭が回らない。


「あんたも一応は男なんだねー」

「ぐぬぬぬ・・・」

「油断大敵よ」


ご機嫌そうな木村。

そして・・・


「穴があったら入りてぇえええ・・・」


な俺。

早く帰ってください・・・

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


さりげなく漫画の宣伝してました。

大好きだから仕方ない。


次回もお楽しみに!

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