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ぼっちデイズ  作者: シュウ
二章
27/128

夏休みなのに

夏休み。

テストが終わって数日経てば夏休みに突入するのは、学生の常識である。

我が家は両親が共働きなので、旅行などの予定はない。

よってひきこもり生活のスタートである。

ぼっちたるもの、極力外に出ないのが最低ラインだ。

そしてごみ投げでの外出を除けば、ひきこもり生活も一週間が経過していた。

一週間もすると夏休みの生活習慣というものも身についてくるもので、からだが『この時間にはこれをしよう』と自然に動いてくれるものだ。

今日もからだと本能の赴くままに動いていたのだ、ほとんどの時間をパソコン業務に回していたために、間接や目が悲鳴をあげ始めた。

間接に至っては、少し動くだけでミシミシと『あれ、これ動いたらマズイべ』と思わせるような音を出して抗議をしてくる。

また目は、肩こりなのか単なる眼精疲労なのかわからない頭痛で抗議してくる。『頭が頭痛で痛い』状態だった。痛さの二乗だ。

なので、俺はそんなからだからの悲鳴から逃げるように、実に一週間ぶりとなる外へと避難した。

どこから着いてきたのかわからないが、悲鳴をあげていた間接と目がくっついてきた。

仕方なしに間接と目を引き連れて、近くのコンビニまで散歩することにした。

痛みに耐えながらコンビニでお菓子と栄養ドリンクを買い、店を出てから栄養ドリンクを飲んだ。

翼をもらえることで有名なこの栄養ドリンクなのだが、実際に外国ではこれを飲んでから飛び降りた人がいたそうだ。ご利用は計画的に、用法用量を守ってご使用ください。

実際に翼なんか生えたところでどうしろと。同じ翼ならキャプテンのほうになりたい。

『僕には翼が生えている。だからどんなときも君のところへ飛んでいけるよ。困ったときは呼んでね』ってか? それ以前に声が聞こえる範囲なら走って行け。


「あー・・・何やってんだ、俺・・・」


歩きながら変なこと考えて、それにツッコミしてる俺って明らかに変だよな。

こんなところ誰かに見られでもしたら・・・


「・・・・・・」

「・・・・・・」


・・・あれ?

いや、ここって地元だよな?

どうして我が家の近くのコンビニに木村が立っているんだ?

しかもめっちゃこっち見てるし。


「・・・・・・」

「・・・・・・」


超無言。

これ怖いわー。

素の表情なんだけどどこか俺のことを蔑んでるってゆーかなんてゆーか・・・

そっか。これは夢だ。見間違いだ。幻想だ。

ネトゲのしすぎで疲れてるんだな。一日の19時間をパソコン業務に費やしてるから寝る時間減ってたもんなぁ。

見たくもない奴の幻をみるとかマジで怖いわー。『まんじゅうこわい』的な意味じゃないからね?

いやー我ながらどうしたもんか。仕方ないから帰って寝るとするか。

俺は家の方に向かって歩き出そうと一歩踏み出した。

すると木村(幻)が動き出して、一瞬で間合いを詰めて来た。今、時間飛んだ?

そして木村(幻)に腕を掴まれた。実体のある幻とか。月読か?

そんな能力者からの攻撃を受けた俺は、咄嗟に掴まれた腕を振り払って一歩引いた。


「ちょっと」

「シャベッタァァァアアア!!」

「古いわよ」

「マジかよ。俺もついに幻・・・いや幽霊と会話ができるようになってしまったのか・・・」

「なんなの? ふざけてんの?」


そういうと足に素晴らしい快感とは言えないような痛みが加えられた。だから足の甲はダメだって・・・


「・・・痛い」

「あんたがふざけてばっかりだからでしょ」

「ふざけてんのはどっちだよ・・・いや、マジで痛いんだけど・・・」


立ち上がれないほどの痛みだ。

その理由は木村の足を見たらわかった。

こいつ・・・ヒール履いてやがる・・・

ドMなら『なんでピンヒールじゃないんだ!』とキレているところだが、俺はドMじゃない。一般人だ。Nだ。


「ところでなんでSでもMでもないやつってNっていうの?」

「私が知るわけないでしょ」

「あー馬鹿だもんな」

「死ね」

「ヒィッ!!」


俺は、再度振り上げた足をギリギリで避けた。

次の一発を喰らってしまっては俺の足が持たない。


「・・・なんで避けるのよ」

「バカじゃねぇの? 死ぬって。痛みで人は死ねるんだぞ」

「あんたが悪いんでしょ。せっかく遊びにきた友達にひどい扱いをするからいけないのよ」

「友達? お前ってこのへんに友達いんの?」

「・・・あんたのことよ」

「・・・お引き取り願います」

「はぁ・・・夏休みなんだから遊びにきたっていいでしょ。ちょっとは付き合いなさいよ」


そんなこと言われても、俺は帰ってネトゲの続きをするという大事な用事があるんだ。

ついでに言うと、ネトゲの待ち時間にゲーム実況を見ているんだからこいつに割いている時間は無い。


「俺、今日も忙しいんだけど」

「どうせネトゲでもしてるんでしょ?」

「わかってるなら帰ってください」

「あんたの部屋で本読んでるから気にしないで」

「・・・わかったよ」


もうダメだ。ここまで食い下がってくる木村を帰す術を俺は知らない。知ってるなら誰か教えてください。

そしていつも通り、俺が折れる形となってしまった。不本意だけど。

誰だよ。こいつに俺んち教えたやつ。

・・・勝手に調べたんだっけか。これってストーカーじゃないの?

俺はそう思いながらも、木村を我が家へと連れていった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけるととても嬉しいです。


ここから第二章となります。

同じ姿勢で超時間じっとしていたあとの動き出しはちょっと怖いです。

関節がミシミシいうんですもん。あれ、なんとかなりませんか?


次回もお楽しみに!

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