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ぼっちデイズ  作者: シュウ
一章
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攻めと受け・・・あ、守り

『ゆとりゆとり』とか言われてるけど、実際はゆとり教育が原因で『若者の馬鹿化』が進んでるわけじゃないと思う。

だってゆとり教育じゃなかった世代の親達や政治家達を見ててわかるように、こんな環境にした大人達が悪いのだ。

子ども達は巻き込まれただけなのだ。

だから体育の授業でペアを組めと言われても無理なのは、こんな授業形態を作り上げた大人達が悪いのだ。

ぼっちに光を! 教育省のバカヤロー! 教育省なんてあったっけ? わからないんだよバカヤロー!

そうなんだ。体育って必ずペアの準備体操ってあるじゃん?

あれってたいていは2列に並んで隣の人と組んでねーとかって言われるんだけど、なんで俺の隣だけ誰もいないわけ?

さりげなく好きな相手とペアになりたいからって、前後に一つだけズレるのって酷くない?

俺、誰と組めばいいの?


「おっ? 余ったのか? じゃあ先生と組もうな!」

「えっ、ちょっ・・・」


そして無理矢理先生と組まされて、全員の前で先生とペアで準備体操をさせられる羽目に・・・

先生熱っ! からだの温度が熱いっ!

触れたところがドンドン熱くなっていってだんだんと汗が滲み出てくる。

なんで準備運動なんかでこんなに熱くならないといけないんだよ。

なにこの人! 人間カイロなの!? 夏にカイロとかマジでやめて欲しいんだけど!!

炎天下のグラウンドでの夏の暑さと、先生の体温の熱さに耐えきってなんとか準備体操を終えたものの、これからさらに嫌な展開になるのは承知の上だ。

今日の授業はサッカー。ボールは友達。でもボールのほうはそう思ってないかもしれない。一方的な片想いです。あーたのし。

2クラスをそれぞれAチームとBチームの半分に割り、その2クラス合同のAチーム対Bチームって感じでやるんだけど、


「なぁ、俺と変わってくんない? あいつと違うチームがいいんだ。 なっ! お願い!」


『ならば俺の要求をのんでもらおうか! 頼んでいいのは、頼まれる覚悟のある奴だけだ!!』

なんて言えないから、黙って首を縦に振って了承する。


「はぁ? なんでこいつこっちチームにいるんだよ」

「マジだ。勝てねーじゃん」

「お前守りな」


チーム内でも孤立する俺。もう孤高のストライカー目指せるんじゃね? 雷獣シュートの練習しよっかな。

チーム内でも結構上層部のやつらが攻めて、受け・・・じゃなくて守りは俺を含めた下僕層の奴らが担当する。


「ヘイパスパス!」

「俺のドリブルくらえー!」


ドリブルって攻撃技じゃねぇから。


「バカ! 何取られてんだよ!」

「あとちょっとで抜けたんだけどなぁ」

「俺にパスくれればマジで同点に出来たのにさー」


同点の前にちゃんと守れや!!

負けてんのに気づいてるなら本気で走って戻ってこいや! 長友見習えっ!!

まぁ俺ら下層部の人間だけで、相手チームの調子こいてる攻めを止められるわけもなく、余裕の追加点。

『あきらめんなよっ!』とあのテニスの人なら言いそう。でも最近、あのテニスの人ってテニスしてなくね? 息子役の人と一緒にベッドの消臭に励んでるよね。

まぁそんな中でも救いの手というものはあるようで、


「じゃあこれ以上は点を入れられたくないから、俺本気で守るわ」


サッカー部の一年の守りの要を務めているらしい、川崎が俺たち下層部ディフェンスチームの味方になってくれた。川崎くんマジイケメン! 抱いてー!

そこからは川崎の独壇場で、ボールが飛んでくる→川崎競り勝つ→大きくクリアの繰り返しだった。

今度から川崎のことはプジョルって呼んでやろう。スペイン魂を持ってそうだしな。日本人だけど。

そんなわけで、プジョル川崎のおかげで、相手チームの点数が増えることは無かった。でもこちらの点が増えることも無かった。

まぁわかってたことなんだけど、サッカーってゴールの枠内に蹴らないと点数にならないんだよね。

そんな思いっきり蹴ってバーの上ばっかり狙ってても点数にならないんだよね。

悲しいけどこれってキックベースじゃないのよね。キックベースならウチのチームの圧勝なんだけどなぁ。競技の変更は無理ですか?

そんなわけで、負けた。

しかしサッカーの授業なんて、参加していればとりあえずは大丈夫なのだ。

これはリア充達が仲間と俺たちのような下層部の境目をくっきりとつけるための、心理戦なのだ。

だからいくら負けようが、点数を取られようが、キックベースをしようが、俺たち下層部の人間には関係がないのだ。

無理に点を取りに行って、決めようものならば、クラスの奴らからからは冷たい眼差しで見られること間違いなしだ。

俺たち下層部の人間は、空気を読む能力に長けていないとダメなんだ。

もしも空気を読むことが出来ないならば、それはそれで辛い現実が待っているに違いない。

すれ違いざまに『あいつキモッ』とか言われるに違いない。

俺も心にATフィールドとか貼ってみたいなぁ。俺の力だとサランラップ程度の強度が限界だもん。

ぼっちは大人しくしているのが一番。

周りに害を与えず、自分も害を受けない。これこそが完璧なノーリスクノーリターンだ。与えなければ与えられないのだ。

そんなことを考えながら、リア充達の後ろを歩きながら更衣室へと向かう俺であった。

この距離感こそが大事なんだぜ。

今良いこと言ったよ。テストに出るかも。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

そしてごめんなさい。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


プジョルはサッカー選手です。



次回もお楽しみに!

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