番外編・コラボ企画『ぼっちと神様』前編
おじぃさんの『さつこい』『さつこいNEXT』とのコラボ企画になります。
作:シュウ 監修:おじぃ 言い出しっぺ:シュウ
俺の隣のクラスには変な奴がいる。
自分のことを『俺は天地創造の神だ!』とか言っちゃってる変な奴がいる。
あれは中二病としてカウントしていいのか? いや、中二病患者に失礼か。
変な奴ほど有名になるのが学校というもので、そいつのことを知らない奴はこのフロアには居ないのではないだろうかというぐらいの有名度だ。
1泊2日の校外合宿の時には、女湯を覗いてぼこぼこにされてたし、校内では今どきの小学生ですらやらないようなスカートめくりなんかもやっている。時々うっかり転ぶふりなんかもしちゃって、女子の胸なんかもタッチしちゃってる始末。あんな奴が神様だったら、俺は界王神だ。第一、神様じゃなくてあれじゃ亀仙人だろ。
「死ね!」
「ピンク!」
「朽ち果てろ!」
「イエロー!」
「はらわたをぶちまけろ!」
「ブルー!」
「消えてなくなれ!!」
「くまさんパンツ!」
「撃ち落とす!!」
「うほほーい!!」
女子たちの怒号も気にせずに、今日も今日とて廊下を走り抜けていく神様。
教室の後ろ側の扉から見えた神様は、そのまま走って前の扉から見えて走り去って・・・行かなかった。
これが全ての始まりだったんだ。
神様は、俺の教室に入ってくると、そのまま女子達を撒くために、教室内を縦横無尽に走り回った。
あまりのすばしっこさに、追いかけていた女子たちが一人、また一人と諦めて追うのをやめていった。
その時だった。
「ひゃっ!」
「うほほーい! おっ! いいさわり心地!」
斜め前の席で姉さんこと伊織ちゃんと喋っていた木村が声をあげた。
きっと木村の尻でも触ったのだろう。まだ俺も触ったことないのに。うらやま・・・けしからん。
ともかく、人の彼女のケツに無断で触るとは言語道断侍。これはお灸を据えてやる必要があると判断し、俺は立ち上がって神様を追おうとした。
「てめぇ、ぶっ殺す!!」
穏やかじゃない怒声が木村から発せられ、そこにいたはずの木村が瞬きをしたあとには消えていた。
インテル長友もビックリの素早さ。素早さ全振りのテッカニンでも追いつけないだろう。
ヤバイ。これはヤバイ。
奴はとんでもないものを呼び起こしてしまったのではないだろうか?
俺は慌てて廊下へと飛び出すと、そこでは木村と大人しそうな黒髪美人の子が対峙していた。
おー。昔の俺の好みの子だ。すばらっ。
「大丈夫? 神威君?」
「ん? あっ! 麗ちゃん!」
「ちょっとそこどいてよ。そいつ殺せない」
「やめろって。このまま殺したら刑事告訴されても正当防衛で通らんぞ」
完全に目がイッちゃってる木村の肩に手をやって、怒りを沈めさせようと試みる。
しかし木村の怒りは収まらない。
「あーゆーやつは一回消したほうが世界も幸せになるのよ。デスノート貸して。私が書く」
「どこのキラだよ。静かに暮らしておけよ」
とりあえずすぐには行動に移さないらしい。
直立ノーガードなエヴァ初号機のような構え(?)をとっている木村に対し、足を前後に開き、何か武術の心得がありそうな麗と呼ばれた黒髪美人さん。この拳法とか武術とかを知っている程度のにわかな俺でもわかる。この人は、強い。
「おい木村。あの人めっちゃ強そうだぞ。オーラがぱねぇ」
「大丈夫。刺し違えてでも殺るから」
「いい加減にせんかい」
「あいたっ! 何すんのよっ!」
スパコーンと木村の頭を叩くと、反撃のファーストブリッド(足)が俺の足に飛んできた。それを脛にモロでくらい、俺、悶絶。
そんな俺と木村のやりとりを見て、黒髪美人さんが心配そうな声を投げかけた。
「な、仲間割れ?」
「痴話喧嘩よっ!」
「痴話喧嘩のレベルを超えてるみたいだけど・・・大丈夫ですか?」
「だいじょばないです・・・」
「今だっ!」
全員の注意が自分からそれたと判断したのか、神威と呼ばれた神様は走って逃げていった。
「ちょっと待ちなさい!」
「ごめんなさい!」
神様を追おうとしていた木村ががっくりと倒れ始め、いつの間にかそばにいた黒髪美人さんが木村のからだを支えて倒れないようにしていた。
い、いったい何が起こっているんだ? ヤムチャ並みの実力を持つ俺の目でも追いきれなかった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
感想とか書いていただけると嬉しいです。
初のコラボ企画でした。
『ぼっちデイズ・論外編』に載せる予定だったのですが、あまりにも修学旅行編が長くなりそうなのと、僕が待ちきれなかったので、こっちの番外編として投稿する形になりました。ごめんなさい。
後編は28日の午前0時に更新します。
次回もお楽しみに!




