中二病的こころ
これは二人が中学時代に出会っていて、二人が仲良くて、二人がとある病気にかかっていたらというもしもストーリーです。
ではお楽しみください。
『二人の契約者』
「貴様か」
「はっ!」
俺は背後から聞こえた声に素早く反応した。
しかしそれは予想していたことだ。
右手で左手の中指に巻いた包帯に触れた。
「我の封印を解いたのは貴様か」
「フッ。だったらどうしたと言うんだ。俺を殺しに来たのか?」
「そうではない。私は貴様を見込んで頼みたいことがある」
「頼み?」
「私の・・・私の・・・」
「私の?」
「私・・・だぁぁああああっ!! もうやめっ!」
「はぁあああああ?! ふざけんなよ! これから良いところなんだから頑張って続けろよ!」
「ダメだって! だって私が主人公じゃないとよくわかんないし!」
そういう木村は途中で話をぶった切ると、床にペタリと座ってしまった。
はぁ。またこれだよ。自分がメインじゃないときはいつも『声が聞こえる』とかなんとか言って、中断しやがる。今日のは素が出てたのか、普通に答えている。設定はキチンと守れよ。
「だいたいなんなの? あんたってどうしてそうやっていっつもいっつも封印解きたがるの? 封印厨?」
「はぁ? 封印解かないと、そいつから魔力供給できねぇんだから仕方ねぇだろ。お前だってその眼帯なんだよ。ギアスでも使えるのかよ」
「魔眼の存在を知らないなんて不便な世の中に育ったのね。はぁ残念残念」
「魔眼とかマジでヤバイだろ。ちょっとは自重しろ」
「あんたこそバンバン世界に魔物を解き放つのはおやめなさい」
こいつとはいつまでたっても平行線だ。
『二人の契約者 その2』
俺は授業中の暇な時間を利用して、自分の手に赤ペンとボールペンを使って特殊メイクさながらの傷を書いていた。
この赤と黒のコントラストがなんとも言えないグロさを醸し出している。
実際にカッターで傷を付けても良かったのだが、まだ契約していない状態のからだでは傷の治りが遅いため、むやみに傷をつけるのは避けているのだ。契約していれば傷口なんかはものの数秒で治すことができる。まだ時期ではないのだ。
授業が終わり、この傷を木村に見せびらかしに行く。
「ふん。これでも見てみろ!」
この傷アートを見れば、いくら木村でもこの俺にひれ伏すこと間違いなしだ!
「・・・・・・」
木村が俺の手をじっと見つめる。
「・・・ふっ」
こいつ・・・鼻で笑いおった・・・だと?
「これでも喰らいなさい」
「うおっ! すげぇ!」
木村が俺に差し出した手の甲には、同じく赤いペンとボールペンで、魔方陣が描かれていた。
今にも光り出しそうなくらいの禍々しさがそこにはあった。
正直俺の完敗だった。
「傷がなんだって?」
「く、悔しいけどこれは俺の完敗だ・・・ってゆーかマジでカッケー!」
「でしょ!? あんたにも描いてあげようかー?」
「マジで!? 描いて描いて!」
そう言って俺は木村に手を貸すと、ノリノリの木村が同じように手の甲に魔方陣を描いていった。
赤いペンで二重の円を描いて、その二つの円の間に特殊な文字を書き込んでいく。俺と木村はこの文字の解読に励んでいたりするのだが、未だに解明することは出来ていない。しかしそれも時間の問題だと思っている。
そして内側の円の中に六芒星を描き込む。
最後に黒のボールペンでペン入れのように、禍々しさを演出していく。
「はい、完成!」
「うぉおおお! カッケー!」
俺は手の甲に書かれた魔方陣を掲げて見とれていた。
「バカ。そんなに見せびらかして、誰かに目を付けられたらどうするのよ」
その言葉に、俺はハッとして手の甲を隠した。
「でもまだ帰らないだろ。どうするんだよ」
「そんなこともあろうかと準備しておいたわよ」
そう言って木村が差し出したのは、皮っぽい素材で出来ている指ぬきグローブだった。
こいつ・・・
「お前最高だよ!」
「感謝なさい!」
俺と木村は、お揃いの指ぬきグローブを履いて、残りの授業を受けたのであった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
感想とか書いて頂けると嬉しいです。
本日より番外編スタートです。
なんの脈絡もない話が続きますが、お付き合いしていただけると幸いです。
傷は描いてたなぁ・・・
次回もお楽しみに!




