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ぼっちデイズ  作者: シュウ
六章
120/128

ぼっち卒業

あの後、渡辺と吉川さんと姉さんの3人が戻ってきた。

吉川さんと姉さんが手をつないでいたんだけど、家に入って思い出したかのように手を離していた。何この百合展開。そっとしておこう。番長も触らぬ神に祟りなし的な感じでそっとしておいたから間違いではないはずだ。

遅れて戻ってきた渡辺は、どこか恍惚の笑みを浮かべているようにも見えなくはなかったが、そっとしておいた。これは番長が(以下略。

手を離した姉さんが、化粧途中で顔だけ覗かせていた木村に飛びかかったのだが、木村が全力で逃げたため、家の中がプチパニックになった。

なんにせよ全体的に丸く収まってよかった。雨降って地固まった。

そして次の日も変わらず学校に登校する。

昨日とは違い、教室に入るなりの重苦しい雰囲気はなく、目が合うと挨拶もした。

いつも以上にはっちゃけている姉さんが、木村に抱きついていたが、隣の吉川さんが止めようとえんやこらしていたので、そっとしておいた。

これは番(以下略。


「おーっす」

「おう」


渡辺が席に着きながら挨拶をしてきたので、誠心誠意を込めずに挨拶を返した。

その渡辺は、机にカバンを置くと、こちらにやってきて世間話を始める。

これが普通の光景になりつつあるんだからビックリだ。

前まではこんな『学校に来てんだから勉強しろよ!』って感じの連中には虫酸ダッシュだったのだが、今は虫酸ダッシュさせてしまう側の人間になったのかと思うと、人間の成長は恐ろしい。

渡辺の話を右から左に流しながら、木村を見た。

楽しそうに笑っている木村。

全部あいつに出会ってから変わったんだ。

母さんも言ってたけど、木村のおかげで今の俺がいると言っても過言ではないと思う。だってあいつが俺を振り回してくれたおかげで渡辺というその・・・親友?っていうのもできたわけだし。

本音を言うとあいつには感謝してる。でも恥ずかしいので絶対に言いません。墓にまで持って行ってやる。絶対ニダ!

すると木村と目が合ってしまい、ニコッと微笑まれた。

俺はドキッとして目をそらした。もうね。俺、結構あいつに惚れ込んでるのかもしれない。もう恥ずかしくて死にたい。


キーンコーンカーン

「はい、席ついてー。ホームルーム始めるよー」


いつものようにチャイムの音に対して、若干食い気味に教室のドアを開けて先生が入ってきた。

それぞれが席について、今日も学校が始まった。


そして放課後。


「朝、なんで目そらしたのよ」

「目にゴミが入ったんです」

「嘘つき」

「嘘じゃないもん。ホントだもん(棒」

「うわー。嘘つくのが上手だー(棒」


こうして木村と帰るのは何回目になるのだろうか。

何回一緒に帰っても飽きることはない。むしろ楽しい。のろけ乙。


「そういえばエヴァ展見に行きたいんだけど、一緒に行かない?」

「はぁ? お前エヴァ好きだったのかよ」

「別に。一通り見ただけ」

「じゃあなんで見に行きたいんだよ」

「別にどうしてもってわけじゃないの。ただあんたと一緒にどっかに行きたいなぁって思っただけよ」

「じゃあ一緒にヨドバシでも行くか?」

「えーっ! やだー!」


なんでだよ。

一緒に高スペックパソコン売り場とか見て『何これ! 高スペックすぎる!』とかっていう会話したいじゃん。別にパソコン詳しくないけど。将来は自作パソコンとか作ってみたい。でも買ったほうが安上がりとかって噂もちらほらあるからなぁ。悩むところだ。


「どこでもいいみたいなこと言ってたじゃん」

「どこでもいいけどどこでもよくないのー」

「どこでもドア的な?」

「いや、意味わかんないし」

「で、よりによってなんでエヴァ展なわけ?」

「色々考えたのよ? 映画とか見てもいいかなーとか、一緒にアニメイトとか行ってもいいかなーとか、そのへんぶらぶらするのもありかなーとかも考えたんだけど、なんやかんやでエヴァ展がいいなーで落ち着いたの」

「そのなんやかんやの部分を教えろよ」

「そこは乙女の事情です」

「誰が乙女だ」

「ふんっ!」

「いでっ」


イデオンじゃないよ? 蹴られたんだよ?

乙女は蹴らないと思います。


「どこでもいいでしょ。まどマギの映画でもいいわよ」

「俺、まどマギの面白さ全然わかんなかったんだけど」

「マミさん超可愛かったじゃん! 杏子ちゃんもペロペロ」

「いや、どっちも死んだじゃん。しかもマミさんなんか冒頭部分で、魔女紹介するためにマミられたようなもんでしょ?」

「もううるさいな。マミさんは可愛いの! 異論は認めません!」

「あーもうわかりましたよ。マミサンカワイイカワイイ」


こうなった木村はめんどくさい成分の塊だ。困ったものです。


「クソが。それでどっちにするの?」

「エヴァかマミさん?」

「そう」

「じゃあマミさん」

「よし決定ー」


そう言ってなんかめっちゃデコレーションされた手帳を取り出して予定をカキカキしていく木村。


「やったね紗枝ちゃん。デートの約束ができたよ」

「おいやめろ」


俺と木村はずっとこんな感じなんだろうなーっと思いながら歩きなれた通学路を、二人並んで歩いた。

いつまでも俺の隣には木村がいるといいな、と心の中で思ったのは内緒である。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いて頂けると嬉しいです。


これにて本編終了となります。

今までご愛読・・・していたのかはわかりませんが、最後までのんびりとお付き合いいただきありがとうございました。

このあと番外編へと移行していきます。

まぁ実はこんな話があったんだよ的な話をいくつかと、後日談をいくつか書いて終わります。


あとがきは最後の最後に。


では番外編もお楽しみに!

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