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ぼっちデイズ  作者: シュウ
一章
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テレフォン

とにもかくにも、メールから電話へと発展してしまったわけだが、電話はちょっとなぁ・・・

別に恥ずかしいとかそういうのでもない。だって相手があいつだもん。

電話したくないという一番の理由は、会話が続かないことだ。

普通に顔を合わせての無言とかならば、相手の表情を見れば予測もできるだろうけど、電話だと相手の顔が見えない。誰だよ。長電話とか考えたやつ。

しかし明日蹴られるのは嫌なので、とても嫌々ではあるが電話をかけることにした。こんなことならMに生まれたかったなぁ。蹴られて『もっと蹴ってください! お願いしますぅー! ぶひぃー!』とか言えれば最高なんだろうけど、俺にそこまで出来るスキルがない。

仕方なくかける電話。ちょっとドキドキしてきた。

1コールで出やがった。絶対連打してただろって速さで出おったぞ。


「あ、も、もしもし」

『私と仲良くなるのが嫌なの?』


開口一番それですか。


「嫌、ってわけじゃないけど、なんていうか・・・」

『別に付き合ってって言ってるわけじゃないでしょ』

「それなら断固拒否する」

『だから違うって言ってるでしょ』

「でもなんで俺なんだよ。リア充の連中の中にだってオタクっぽいやつとかいるだろ? ほら、ワンピースとか」


そうそう。ワンピース読んでる奴とかジャンプ立ち読みしてるやつとかよくいるじゃん。

あのジャニーズのトップグループの中にだってワンピース大好きの人いるじゃん。前にテレビで熱く語ってたぞ。


『ワンピースが好きな人ってオタクじゃないじゃん』

「まぁ確かに」

『あのキーホルダーだって付けてたけど最初に気がついたのあんたよ? 前の隣の席の人なんか、そのキーホルダー可愛いね、だってさ。これの威力も知らないで・・・』

「いや、知ってたら俺みたいに巻き込まれてたってことだろ」

『そんなことないわよ。私だってちゃんと人を選んでるわよ』

「えっ、それって・・・」


もしかして外見的な意味で?


『誰にも言わなさそうな奴を選ぶに決まってるじゃない』

「ですよねー」


要は俺がぼっちだって知ってたわけね。


『話が逸れたわ。私と仲良くするのは嫌なの?』


戻さなくてもいいのに・・・忘れてくれればそれでよかったのになー


「だから嫌じゃないって」

『じゃあ仲良くしてよ』

「うぅ・・・」

『はっきりしなよ』


いつも俺に適当に言いくるめられて退散していく弟の気持ちがわかった気がする。

終わりの見えない会話で、相手が引く気が無い時って、自分が引くしかないって察するもんだな。それはいつやるの? 今でしょ。


「わかったよ。仲良くしてやるよ」

『なんでそんなに嫌そうなのよ』

「嫌だもん」

『じゃあ無理にとは言わないって』


うわー女ってめんどくせー。


「いいよって言ってるじゃん。仲良くしたいなー。俺、あんたと仲良くしたいなー」

『あんたって言うのやめてくんない? 私にはちゃんと「さえ」って名前があるんだから』


こいつ『さえ』って言うんだ。でもいきなり名前呼びはハードルが高い。ただでさえ何年か振りに長電話という高いハードルを超えたことろにいるのに、さらに高いハードルを用意するのやめてくんない? もう競技変わっちゃうんだけど。


「いきなり名前呼びはちょっと・・・」

『もしかしてあんた・・・私の名前知らなかったとか?』

「そ、そんなわけねぇし。知らないとかじゃなくて聞いたことなかっただけだし」

『それを知らないって言うのよ。よく名前の知らない人とメールとかできるわね』


電話の向こうでクスクスと笑われている。なんか腹立つわー。

自己紹介しないこいつが悪いんだろ。


『私、「きむらさえ」よ。覚えた?』

「覚えた覚えた」


きむらな。覚えやすくて助かるわー。さえってどういう漢字なんだ? 電話帳に登録するときに・・・まぁひらがなでもいいっか。


『きむらは拓哉と同じ木村で、さえはお菓子の紗々のさに木の枝で紗枝よ』


お菓子の紗々って懐かしいな。

『そちらの紗々差し出していただけたらこちらの紗々差しあげましょう』だよな。アレは覚えたわ。


「そうか。俺の名前は」

『知ってる。別に言わなくたっていい』

「じゃあ俺のこともあんたとか言うのやめてくんない?」

『無理。あんたの名前呼ぶなんてちょっとハードル高い』

「スペランカー並みの段差だろーが! もうちょっと頑張れよ!」

『つまづいたら死んじゃうから無理ですー』


なんなんだよ。自分のことは棚に上げやがって・・・

でも木村って呼びやすいな。山田の次に呼びやすい。もちろんあのマンガの影響だな。

こいつ意外と面白いやつだな。

顔を合わせてないから蹴られる心配もないし。そこが一番重要だな。

そんなことより、意外と会話が続いて安心した。


『じゃあこれからも仲良くしてくれるっていうことで』

「はいはい」

『もう。素直じゃないんだから』


ホント楽しそうだな。


『あ、でも学校では話しかけないでね。あんたと仲良いなんて思われたくないから』

「はいはい」


学校で話しかけたら足折られるんだろ。イタイノハイヤデス。


『じゃあ私寝るから。また今度メールするね』

「おー」

『おやすみ』

「おやすみなさい」


ピッ。

ふう。長かった。これで今日の任務は終了だ。あとは徐々にお互いのことを知っていって・・・

なんだこれ。付き合うまでの過程みたいじゃん。

俺はもっと可愛い子と付き合うんだ。

俺ぐらいの見た目だったらあんなリア充のビッチなんかよりももっと可愛い子と付き合えると思う。

理想は高く! 目標は遥か上を目指して!!

よし。ネトゲしよ。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけるととても嬉しいです。


えー27日の0時頃に投稿した短編がみごと27日の日間ジャンル別ランキングでみごとホラー部門1位を獲得しました!パチパチ

これもひとえにみなさまの応援と、僕の文才のおかげだとひでぶ!!


次回もお楽しみに!

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