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7話_師匠との出会い

新キャラが登場します!

「ローズさん、いるかー。」


 魔力の操作に慣れてきたころ、厳ついおじさんがやってきた。でも母にこんな知り合いがいるとも思えないし不審者だろうか。それか、とても綺麗で麗しい母を攫いに来た奴隷商だろうか。


「不審者め、成敗してやる!」

「おっと、誰だ嬢ちゃん。ローズさんがここにいると聞いたんだが今いるか?」


 新しく覚えた身体強化を使って撃退しようとしたがあっさりと捌かれてしまった。


「怪しいおじさんに教えることはなにもないよ。家から出ていけ!」

「サクラ~。どうしたの~?」

「あ、母さま。出てきちゃダメ。怪しい男が来てるの。母さまが狙いみたい。」

「あ?母さまってことはお前ローズさんの娘さんか?」

「はっ。情報をあた「あら~。ウィードじゃない。」えてしまった…へっ?」

「サクラ~。このおじさんは怪しい人じゃないわよ~。」


 この厳ついおじさんは母の知り合いだったらしい。母はどこでこんな人と知り合ったのだろうか。でもとりあえず注意しなくては。


「母さま、今回は知り合いだったから良かったけど、悪い人だったら危ないでしょ。ちゃんと隠れていなきゃ。」

「は?ローズさんが危ない?」

「ウィードは余計な事を話さないように。そしてサクラ?相手が不審者だったときに危ないのはあなたも一緒よ?ちゃんと隠れなさいな。」


 ブーメランだった。おじさんをチラ見したときの母に一瞬鬼が見えた気がしたが気のせいだろう。部屋の温度は下がった気がするが...。


「とりあえずウィードは入っていいわよ~。適当にくつろいで待っていてちょうだい。サクラと少しお話してくるから。」

「おう。あー、嬢ちゃんはなんだ。…頑張れ。」

「はーい…。」


 おじさんが何者か気になったけれど、その前にお説教タイムみたいだ。がっくし。


 ―――


「肝が据わっててすげー嬢ちゃんだなー。」

「そうなのよ~。危なっかしいところはあるけど、サクラは可愛くてかっこいい天才なのよ~。」

「さっすがローズさんの娘だなー。まるでばr「ウィード?」いや、なんでもねえ。」


 お説教がやっと終わったのに次は私のほめ殺しが始まってしまった。ちょっとむず痒い。


 この厳ついおじさんはウィードといい、母の昔馴染みらしい。世界を旅したときにいろいろと助けてもらったとか。その時ウィードさんは変な顔をしていたがどうしたのだろう。種族は天翼族で故郷の刀を使ってSランク冒険者まで成り上がったらしい。食卓に並んでいる日本食もどきはウィードさんの故郷で作られていて、母に料理を教えたのもウィードさんだそうだ。「ローズさん、基本なんでもできるくせに料理はまったくできなくてな…。」と、遠い目をしながら母が不器用すぎて料理を教えるのが亜竜を倒すことよりも難しかったと言っていた。


「ねえ、ウィードさん。」

「どうした嬢ちゃん。」

「刀を教えてくれない?」

「は?そんなの…。いや、そうか。でも刀は持ってるのか?」

「うっ...。持ってないです。」


 一瞬母のほうを一度みて口ごもっていたが刀を持ってるか確認してきた。もちろん刀なんて持っていない。


「ん~、そうねえ~。これ使ったらどうかしら?」

「は?ローズさん。いいのか?というか嬢ちゃんが刀学ぶのには反対しないんだな。」

「倉庫で埃かぶっていたものだから使っちゃっていいわよ~。危ないことはしてほしくないけどやりたいことは何でもやってほしいわ~。それにサクラなら反対しても一人で修行始めちゃいそうだし。独学で変な癖が付くよりはウィードに教えてもらったほうが安全よ~。」


 母が倉庫から真っ白な刀を持ってきた。さすが母は私のことを良く分かっている。断られたらウィードさんの後をつけようとか考えていたのはお見通しだったらしい。それにウィードさんのことをとても信用しているみたいだ。


「この刀の名前は氷華。魔剣の一種で、魔力を込めてふると切り口が凍り付くわ~。地面とかも凍らせることができるから罠はったりするのに便利よ~。」

「きれいな刀だね~。高そうだけど使っていいの?」

「もちろんよ~。今まで武器を扱うのを我慢していたご褒美よ~。」


 単に師匠となる人が見つからなくて武器を扱う訓練ができなかっただけなのだが結果オーライだろう。


「では、ウィードさん。あらためて、私に刀を教えて頂けますか?」

「おう。刀を持っていてローズさんが反対しないならなにも問題ねえ。筋力は低そうだが身体強化も使えるみたいだしな。」

「え…。身体強化ばれてたの?」

「見た目と動きがあってなかったからな。身体強化がないとああは動けねえ。ローズさんに魔力操作を習ってしっかりと練習してるみたいだな。」

「そうなのよ~。サクラは天才なだけでなく、とっても努力家なのよ~。」

「ローズさんが親ばかになってる…。嬢ちゃんみたいな子が娘になると思えば気持ちはわかるがあいつらが今のローズさん見たら驚くだろうな。」

「あいつらって?」

「俺たちの冒険者仲間さ。もう寿命で死んでるやつも多いがな。」

「今度冒険のお話を聞かせてもらえますか?」

「もちろんいいぜ。いやー、子供に話しかけると必ず泣かれるから嬢ちゃんとおしゃべりできるの嬉しいね。ま、でも先に刀を扱う修行を始めようか。」

「お願いします!師匠!」

「お、師匠呼びいいね。俺も嬢ちゃんのことは修行中サクラと呼ぶかな。じゃあまずは体力を見るぞ。走り込みから開始だ。」

「サクラ~。頑張ってね~。」


 こうして刀を扱う修行が始まったのだった。


*****

Tips ウィード

 Sランク冒険者。魔法はやや苦手だが、刀一本でSランクまで成り上がった。子供好きだが顔がいかついため子供によく泣かれる。怖がらなかったサクラを気に入り、剣を教えることになる。ローズの冒険者時代の知り合い。がさつだが面倒見は良いほう。


 ステータス

 名前:ウィード

 種族:天翼族


 生命力:5000

 魔力:300〈適正:火、風〉

 体力:A

 物理攻撃力:S

 魔法攻撃力:C

 物理防御力:A

 魔法防御力:B

 器用さ:D

 素早さ:S

 運の良さ:D

次話は水曜日17時投稿予定です。


誤字脱字報告お待ちしております。

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