61話_幹部との戦い
少しの間ヴァニティアと打ち合う。向こうの攻撃は普通に当たるのにこちらの攻撃は当たっても陽炎のように揺らめくだけだ。
「本体は別の場所じゃねえか?」
「んんーむ…。」
「珍しくハッキリしないな。」
「情報が足りなすぎるからね。」
勘だがそれは違うと思う。こいつが本体で合ってるけど何かしらのカラクリがあると考える方がしっくりくる。
「わたくしの情報が欲しいと…。ではあなた方が勝った時にはわたくしの秘密をお話してさしあげましょうか?」
「遠慮するよ。本当に欲しい情報が貰えなくなっちゃうし、勝った時はその秘密とやらを暴いた後だからね!」
「ふふふ、御三方ともとてもお強いので保険をかけておきたかったのですが失敗してしまいましたね。」
小馬鹿にした話し方に腹が立つ。ただ、この余裕を見るに普通に攻撃して倒したとしてもその後逃げ出す算段がありそうかな?
情報を得るまでは殺すわけにはいかないから大技で辺り一面ごと葬ることはできない。足元だけ凍らせても何故か普通に動けている。…考えられる候補は二つかな?
「っ!?」
「よしっ!」
軽くだが初めて攻撃が当たった感触が得られた。タイミングが少しズレたせいで威力が低いと思ったけどヴァニティアはかなり吹っ飛んで行った。
うん、候補の一つは攻撃の瞬間だけ実体を持つこと。それだとカウンターを当てるのが一番楽な攻略法だろう。
「カウンターですか。かなり合わせにくい筈なのですが。」
「集中すれば簡単だったよ?」
派手に飛んで行った割には身体に傷一つないヴァニティア。これはもう一つの候補で確定かな?
「あいつ不死身か?攻撃が当たらないうえに当たっても無傷とか…。」
「よく分かりましたね。不死身の私に負けはありえません。ふふふ、三対一でも勝てるから勝負を引き受けたのですよ。」
二人の会話を横目に魔力の感知に集中する。あの位置かな?
「アイスショット」
「ぐはっ!」
「はっ?」
ヴァニティアが吹き飛ぶ。やっぱりもう一つの候補が正解だったね。
「ライアス、見た目に惑わされちゃダメだよ。見えてる姿は幻影だからね。」
「は?でも今吹っ飛んだだろうが。」
「うん、本体はかなり小さいんだよ。幻影で自身を大きく見せてるから普通に攻撃しても当たらないんだ。」
「実は子供ってか?それじゃあサクラが足元を凍らせてもダメだった説明がつかないだろ。」
ライアスは頭が固いな。そんなに大きかったら攻撃が当たりにくいだけで直ぐに当てられるだろう。
「そんな大きくないよ。蚊とかハエのサイズだからね。」
「そうか…。ってお前見えてない虫サイズの敵を撃ち抜いたのかよ…。」
「ふふっ。天の適正万歳だね。ついでに本体を凍らせたからもう動けないはずだよ。」
吹き飛んだヴァニティアを回収して質問に移る。
「質問に答える前に一つよろしいでしょうか?」
「あ?約束を破る気か?」
「いえいえ、決めたルールは守りますとも。わたくしの秘密が知りたかったのでしたな?」
「違うよ。こっちの質問二つに増やしていいならそっちも質問していいよ。」
正直に答えるかは別だけどね。
「ありがとうございます。では、いつ私の正体に気が付いたのですか?」
これくらいなら答えてもいいか。
「じゃ、正直に答えるからそっちも二つとも正直に答えるんだよ?」
「仕方ないですねぇ。答えてあげましょう。それでいつ気が付いたのです?」
「カウンターをした時だよ。それまでは普段は実態を持たないで攻撃する時だけ実態を持つか、小さい身体を幻影で覆っているかの二択だったんだけと、カウンターをした時の感触と吹き飛んだ距離が一致しなかったし、勢いよく吹き飛んだのに傷どころか埃一つ付いてなかったからね。」
「そうでしたか。次の機会には参考にしましょう。」
「次はこっちの質問だな。一つ目はここにいる理由。二つ目は魔王の居場所はどこか?」
ここにいる理由は魔道具の起動か攻め入るための拠点だろう。
「いや、一つ目はこの遺跡はなんの魔道具か、二つ目は魔王の居場所はどこかを聞こう。」
「ん?魔力を吸収してたのは複製体を作るためじゃないのか?」
「あれは遺跡じゃなくてエピゴーネンの鏡の能力だからね。遺跡とは別だよ。」
「いいでしょう。遺跡の魔道具と魔王様の居場所ですね。」
「ああ、頼む。」
「この遺跡は魔王様を覚醒させるための遺跡ですよ。あとはあの男が他にも用途があると言っていましたがそちらを聞きたければ質問してくださいね。」
魔王の覚醒だって?既に復活してるから魔物が活性化してるんじゃ無かったのか?そして遺跡の用途?
「おやおやおや?二つ目の質問を変えますか?三つ目は答えませんよ?」
正直、一番気になるのは魔王の復活と覚醒についてだけど…。アービシアがどう遺跡を使うのかも聞いた方が良さそう…。いや、この二つは確証は無いけど予測は立てられる。となると一番確定させたいのはやはり…。
「質問は変えない。魔王の居場所は?」
「知りませんねえ。」
「…。」
「…。」
…え、それだけ?
*****
Tips 魔王の覚醒
魔王が復活すると魔物が活性化し、魔王が覚醒すると一定以上の知能を持つ魔物が魔王に従うと言われている。また、魔王の覚醒には太古の遺跡を起動する必要がある。
サクラ「ライアスには脳トレのゲームをオススメするよ。」
ライアス「俺の頭が固いってか?」
サクラ「うん。ふにゃふにゃにするといいよ。」
ライアス「なんか嫌な言い方だな。」
次話は明日の17時投稿予定です。
誤字脱字報告お待ちしております。
コメントや高評価を頂きますとモチベアップにつながりますので是非お願いいたします。
ブックマーク、お気に入り登録もしてくれると作者は泣いて喜びます!




