53話_噂の真相
母と陛下の意外な繋がりを知った。だからと言ってフランクに接することが出来るとは言わないけどね。
それにしても陛下は自由過ぎでは無いだろうか。母やガーデンのメンバーと行動してたってことは陛下もSランク冒険者なのかな?
「そうだよ。城で近衛達を撒くのに築いた隠密技術を活かして斥候役をしてたんだよ。」
うーん。凄いことだけど経緯が経緯だから褒められたことじゃないな。
「ま、僕の事はこれくらいでいいよね?魔の森の異変の報告をお願いするよ。あ、お代りどうぞ。」
陛下が入れたお茶のお代わりを貰いつつ魔の森での出来事を話した。
―――
「うんうん。報告ありがとう。それにしても神霊様もお茶目だねぇ。」
異変の原因を作ったり私達が死にかけたりしたことをただのお茶目て…。陛下の心が広いのか、神霊様の愛され方が凄いのか。
いや、セレスを責めたいわけじゃないから良いんだけどね…。
「本題も終わったし、何かご褒美あげないとね。欲しいものはあるかい?シルビアの嫁の座なんてオススメだよ。」
「要らないです。」
なんてことを言うのだ。それは褒美じゃなくて罰だろう。いや、普通の女の子なら嬉しいのかも知れないけど…。いや、そろそろ王太子妃をそんな軽く決めないで欲しい。
「…あはははは。やっぱり即答なんだね。いろんな女の子が夢見る王子様なのに。」
「先程も言いましたが私には荷が重いので。」
「そんなこと無いと思うけどね。まあ良いか、後日また機会があるときに聞くことにするよ。サクラ君みたいな娘も欲しかったからね、シルビア頑張って。」
また聞くんかい。ま、無理強いしないだけ良いのか?
「父上、サクラも困ってるのでその辺で。」
「うんうん。で、欲しい褒美は決まったかい?」
うん?今の茶番は褒美の内容を考える時間だったの?なかなかの食わせ物じゃない?
「えっと、では王都中に流れてる私の噂を流すの止めてくれますか?」
「…え?」
「私がアービシアと仲間かも知れない。とか魔境を態と作った。とかそこら辺の噂ですよ。出処は陛下か大臣周辺でしょう?」
一瞬虚をつかれた後、陛下の顔付きが面白いものを見るものに変わった。シルビアは戸惑いつつも陛下のことを凝視している。
「ふむ、今は私達しか居ないとはいえ、不敬罪になることを承知した上で言っているのかい?」
暗に取り消せば聞かなかったことにすると言いつつ脅しをかけてきた。
「ええ、王太子のシルビアや神霊の愛し子ライアス。冒険者ギルドのギルドマスターに商会ではルアードさんいろんな人に協力して貰いましたが噂は消えませんでした。最初はアービシアが裏で何かしてると思ってたんですが違ったようですし。そうなるともっと上の立場の人達が故意に流してると考えるのが自然です。」
「上手く収められなかっただけかもしれないよ?それにサクラ君の協力者の中に裏切り者が居るのかもしれない。」
「態と裏切り者なんて強い言葉を使っても無駄ですよ。この庭を報告会の場所に指定して私が契約者か確認したり、信用してると見せかけて毒殺を警戒していたり。かなりタヌk、曲者だってことは分かってますから。」
「そこら辺は王族として当然の警戒さ。今のままだと予想で僕を貶めようとした犯罪者になっちゃうよ?」
証拠を出せってことか…。これでシラを切られたら撤回するしかないか。
「一つ、普通は知りえない噂が混じってるんですよ。」
「ほう。どの噂だい?」
「私とアービシアが親子って噂ですよ。」
陛下の顔が真剣な物になった。
「アービシアは学園長をさせた後、確かに娘を見に来たって言ってました。でも、それが私だとは一言も言ってないんですよ。」
「娘を一目見に来たんだろう?アービシアがサクラ君を見てたのなら疑われても仕方ないと思うけどな。」
「凝視してたならともかく、全体を見渡しただけですよ。その一瞬で誰が娘かわかると思いますか?」
ま、元々娘が私だと知ってる人なら気付くかも知れないけど学園で父のことを話題に出したことは無いしありえないだろう。
「…うん、その通りだね。それだと特定の誰かだと気付くのは難しそうだ。」
「となると私とアービシアが親子だと噂を流せる人物は限られてくるんです。元から知っていたのがカトレアちゃん、ウィードさん、スティムの三人。それから、アービシアが来た後に知ったのが、学園長とライアス、そしてシルビアの三人。」
「なるほど、そうなると噂を流せるのはその六人かその人達が話した人物。という訳ですか。…それで父上が噂を流した人といったんですね。」
「うん、今の六人には噂を流すメリットが無いからね。陛下、どうです?」
「…。盗み聞きされた可能性は?それに僕にもメリットはないよね?」
結界を張ってたから盗み聞きはありえない。ただ、陛下のメリットと言われると…。
言葉に詰まると陛下が笑い始めた。
「あはははははは。ごめんごめん。意地悪を言ったね。まだ子供なのにそこまで考えられるのなら充分過ぎるほどの点数をあげられる。噂はもう流さないし、もちろん不敬罪にも問わないよ。」
「では、本当に父上が…?」
シルビアがショックを受けているが、陛下は曲者だけど悪い人では無いと思う。となると…。
「私のため…。ですか。」
「は?なんでそうなる?サクラを貶してるのに?」
ずっと黙ってたライアスが突っ込んできた。報告終わってから一言も話さないから寝てるのかと思ってたよ。
「おい、俺は起きてたぞ。いろいろと衝撃的過ぎてキャパオーバーになってただけだ。んで、なんでサクラを貶める噂話を流すことがサクラのためになるんだ?」
「自分で言うのもなんだけど、模擬戦と親善試合、文化祭を通して私かなり人気になったでしょ?それこそ寮の私室以外では何処でも話しかけられる程に…。」
「そんな時期もあったがそれがどうかしたのか?体育祭の時期には落ち着き始めていただろうが。」
「何もなかったら体育祭の演舞の後、どうなったと思う?」
「また、サクラの人気が再燃しそうですね…。」
「そうか。だから態と悪い噂を流してサクラの周りに人が集まらないようにしたのか…。」
「うん、また同じ状況になったら寮に引きこもるとかしないといけない感じになりそうだったよね。」
もっと良いやり方があったと思うけど、陛下からしてみれば私の評判を上げることはスタンピードの実績を表彰でもすれば簡単に出来るし、一度下げても問題無いと思ったんだろう。
「さすがだね。でもそこまでだと95点って所かな。」
「残りの5点分はなんですか?」
「うんうん、さすがに分からないよね。シルビアからの話を聞いた限り、サクラ君は貴族になりたいと思ってないね?むしろなりたくないと思っていると思ったんだけど、どうかな?」
「ええ、その通りです…。」
「うんうん。もし、サクラ君に疵が無かったら今頃、いろんな貴族達がサクラ君の後ろ盾になって貴族にしようと手を回している筈なんだよ。スタンピードを殲滅できる英雄で神霊とも、王太子とも仲良くしてる存在。利用価値がとても多そうだろう?でも、今回の噂話のせいで疵ができたサクラ君に輝を出そうとする奴はかなり減っている。一部のおバカさん達は手を回そうとしていたみたいだけど数も多くないからこちらで潰しておいたよ。あ、もし貴族なりたかったら僕が後ろ盾になってあげるからいつでも言ってね?」
「おバカさん達を潰したのがスタンピードの褒美ってわけですか。ありがとうございます。」
「シルビアの嫁に来てくれたら噂を流すのを止めるどころか否定までしてあげるけどどうする?」
「いえ、結構です。」
いや、そこは諦めて欲しいな?
*****
Tips パレード
ブルーム王国で年に2回行われる行事。題目はその時々で異なるが、たいていは陛下の思い付き。国民にとっては題目関係なくただ遊ぶだけのお祭り。平民が国王を直接見ることができる数少ないイベント。SDSでは護衛イベントなどが発生していた。
ライアス「サクラの頭がこんなに言い訳がない…。はっ偽物か!?」
サクラ「さすがに失礼じゃない?」
次話は明日の17時投稿予定です。
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