4話_ゲームクリアに向けて
本日四話目です。
現状の確認も終わり、今後この世界でどうしていくか考えているのはSDS内とのステータスの乖離に驚いていた私である。選択肢は主に二つ。SDSのゲームシナリオに向けて動くか、スローライフを目指しつつのんびりと過ごすか。前者だと失敗したときに死のリスクがあるし、そもそもこの世界がSDS6周目までの世界であった場合、私が行うのはシナリオクラッシャーであり、私の行動で他の主人公たちが魔王を倒すことができなくなるかもしれない。後者では死の危険も少ないけど、7周目の世界だった場合に魔王に対抗する存在がライラスだけとなり世界が詰んでしまう。
「ん~。結局はやることは同じかな?」
結構悩んでいたが、魔王を倒しに行くにしてもスローライフをするにしても身の回りの安全確保のためにも、せっかくゲーム世界に来たから世界を見て回るためにも、まずは体を鍛える必要がありそうだ。いや、決して問題を先送りにしたわけではない。やるべきことをやるだけだ。
平和な世界で社畜をしていた私に戦い方などわかるはずがないので、基礎体力や筋力をつけるところから始めよう。鍛えながら師匠となってくれそうな人を探して弟子入りしてから戦い方を身に着けよう。いや、決して問題を先送りにしたわけではない。やるb…(以下略)
「というわけで体をきたえることにしたよ。」
「ん~。だめよ~。なにがあっても私が守るから一緒にのんびり暮らしましょ。」
お布団で母さまに報告してみたら即お断りされてしまった。守るといわれても普段からのんびりしている母さまは戦えないだろうし私がしっかりしないと、と決意を固める。
「あらあら、私が守るって言ってるのに信じてないわね~?」
「ん~、信じてるよ?でも私も母さまを守りたいの。」
「嬉しいこと言ってくれるわね~。でもまだ巣立つのには早いと思うわ~」
ぎゅっと抱き着いてきて嬉しいが息が詰まるとかはなさそうだ。私も大人になっても大きくならなそうかな?どこがとは言わないが。
「なにか失礼なこと考えてな~い?」
笑ってない笑顔で言われた。温度も気持ち下がった気がする。抱き着いる腕の力も気持ち強くなってる気がする。
「いや?やっぱり私が守る側がいいなっておもってただけだよ?」
こうなったときは気をそらせるのが一番だ。もちろん元男として大切な母さまを守りたいのも本心ではあるけれど。
「ふふふ、そしたらお母さまがサクラを守るからサクラがお母さまのことを守ってくれる?」
「もちろん!はやく体を鍛えて強くならないと。」
「ん~。そんなところまで私に似なくてもいいのに。」
「ん?何か言った?母さま。」
「何でもないわよ~。強くなるためにもしっかり寝ましょうね~」
小声でよく聞こえなかったが問題なさそうだ。母が頭を撫でてくれてだんだんと眠気もやってきた。
「はーい。おやすみなさい。」
「ええ、おやすみなさい。」
「やっぱり血は争えないのかしらね~」
すでに眠りにいざなわれていた私に母のつぶやきは届かなかった。
―――
よく眠り次の日、さっそく体作りを始めた。まずは腹筋から。
「1、2、3、4、…。はぁはぁ…。」
わかっていたが三歳児のこの体。体力がまるでない。
少し休憩した後、腕立て伏せ。
「いーch」
一回もできなかった。やはり筋力もなかった。分かっていたことだが長い道のりになりそうだ。
―――
「…17、18、19、20」
最初はどうなるかと思ったが数週間も続けると腹筋も腕立ても少しはできるようになってきた。我ながら単純だができる回数が増えていくときつい特訓も楽しくなってくる。
「もうそんなにできるようになったのね!もう十分鍛えられたと思うし、特訓は終わったらどうかしら?」
母が無理に止めてくることはしなかったが気持ちとしては反対らしい。ことあるごとにやめたらどうかと進めてくる。
「まだまだやめないよ。母さまを守るにはもっともっと強くならないとだからね。」
「もう十分よ~。特訓よりもお母さまと遊びましょう?」
「ん~~。分かった。今日は母さまと遊ぶ。」
「ふふふ、ありがとう。」
これではどちらが子供か分からないが私のことを考えてのことだと思うし今日は言葉に甘えるとするかな。
*****
Tips サクラ・トレイル(桜庭龍馬)
本編主人公が転生した姿。龍馬の記憶のおかげでとても優秀。種族制限が少し開放されており、ステータスの限界値がやや高め。SDS内のサクラは翠眼だったが…。
ステータス
名前:サクラ・トレイル(桜庭龍馬)
種族:ハーフエルフ(制限開放“小”)
生命力:500 (3000)
魔力:50000(300000)〈適正:天〉
体力:A
物理攻撃力:G
魔法攻撃力:S
物理防御力:C
魔法防御力:A
器用さ:C
素早さ:B
運の良さ:G
特殊スキル:ステータス、アイテムボックス、鑑定
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