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天罰と言われたけど、全く身に覚えがない

悪魔と契約していそうな女優第一位!

月延 真帆

恋多き悪女と言えば?

月延 真帆

裏で新人を虐めていそうな女優第一位は!?

月延 真帆

悪役が似合う女優といえば?

月延 真帆



「ふざけるなよ」

思わずそう零し、雑誌アーンアーンを放り投げた。

そう、泣く子も黙る悪役代表女優月延 真帆がこの私だ。

「まあまあ、落ち着いて。」

「そうは言うけどさ」

今は出演している舞台の千秋楽の打ち上げ会場へと移動中。

因みにその舞台での配役も悪役だ。

車を運転するのは私のマネージャーにして幼馴染の永友 有起哉だ。

彼の勧めで芸能界に入った。

まあ、成功した部類といえるだろう。

何せ今年いっぱい休みなく働く程度には仕事がある。

でも、でもね?

「なんで私には悪役しか回ってこないのかな!?」

「そういうキャラだからとしか…」

子犬のような可愛らしい顔をくしゃりと歪めてそう呟く。

「酷い!私そんな事ないよ!?」

「世間でのイメージが…」

困ったなぁと苦笑い。

完全に癇癪を起こした妹を宥める兄の図だ。

まあ、実際私達の関係は幼馴染とか女優とマネージャーとかより、兄妹の方がしっくりとくる。

「知らないよ、そんなの…」

デビュー作で悪役として名を馳せたのが良くなかったのか?

それとも外見がケバケバしく既婚者からの愛人への誘いが多いのが原因か?

はたまた、中途半端に正義感が強いせいか新人への指導に熱が入りすぎるのが不味いのか。

或いはその全てが原因か。

ともかく私の世間でのイメージは壊滅的に悪かった。

悪役、悪女、魔女。

そんな二つ名が似合う女として月延 真帆の名前は世間に示されていた。

「まあ、無名より悪名って言うし」

「いやいや、私、悪名なんかいらないよ?

無名の方が絶対いいよ?」

何もしてないのに悪く言われる苦しみを少しは理解してほしい。

不倫どころか彼氏の一人も出来たことのないのに

何故見知らぬ女に『泥棒猫!』なんて叫ばれなくてはならないのか。

何故、ちょっと注意しただけで『もう虐めないでください!』と泣かれなくてはならないのか。

そして世間から冷めた目で見られなくてはならないのか。

まったくもって理不尽である。

「さあ、そんな事よりも着いたよ」

車が停まった。

打ち上げ会場の地下駐車場。

ドアが開き、私は車から降りる。

「あ、そうそう打ち上げが終わったら少し話さないといけない事が…」

急に視界が眩しくなって、私達はそちらを向いた。

車のライトが私達を強く照らしている。

「何?」

「ちょ、スピード…!」

猛スピードで近づいてくる車。

運転席には……見知らぬ女。

嫌な予感がした。

「え…まさか、工藤公子…!?」

「え!?」

誰それ?

まさかあんたの彼女の名前とかいうオチじゃないでしょうね!?

しかし私にそれを問い詰める時間はない。

「「危ない!!」」

私達は揃って言葉を吐き出し、互いを突き飛ばして守ろうとした。

けれど、その行為は一足遅くて。

私達の身体は宙を舞った。


何故?


どさりと落ちる私達の肉体。

意識があるような無いような曖昧な世界。

遠くでドアが開く音。

車から降りたのだろう、近くに女の足を見た。

公子の足なのだろうが、顔は確かめられない。

「よくも…私の………を…!」

え、何言ってるんだ?

「この….悪女!天罰だ!」

それが最後に聞いた言葉だった。

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