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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

菊の花ことばを君に注ぐ

作者: 橋の上門三郎

男は昂っていた。目の前に佇む異形のソレから目が離せずにいた。


上津オンジ…男の名であり、この物語の主人公である。

彼は今、とある雑居ビルの男子トイレの個室にて自分を含め男2人息を潜めていた。

上津(何故男2人きりで個室で対面しなあかんや…勘弁してぇ~!)

なぜこんな奇妙な事になってしまったのか、それには訳があった…



~10分前~


上津「うごぉ…お腹痛い!出勤前に催すとは…ツイてへんわ~!」

上津「駅前のトイレは行列で間に合わん!糞のクールタイムがもう間近に迫っている以上、最寄りの取り壊し寸前の雑居ビルならよっぽどじゃない限り使えるやろ!」


上津「肛門が開かないように…」ソロソロ

男は括約筋に全身全霊の力を籠め、ゆっくり…ただ着実に歩みを進めていく。

目的はただ一つ、雑居ビルにあるトイレのみ。


懐中時計の秒針の様に歩みを進め、ようやく男はトイレに到着した!

上津「神様ありがとうございます…!漏らさずに済みました…!」

上津は使い古された便座にドカンと腰を下ろし、勢いよく下半身を露わにした。

ぶりんッ!と音を立てて上津のデカマラが弾け、やがて重力に従い便器の中を覗いた。


上津「んッ・・・♡」ブリリッ


男の表情筋と括約筋が同時に緩み、蓄積された便を吐き出していく



男は極上のひと時を堪能していた…

そのときだった


ガチャッ


上津「!?」


大便の事を考えるあまり、個室のトイレの鍵を閉め忘れていた上津は個室の扉が開くのを阻止しようと

手を伸ばしたが、時すでに遅し…ゆっくりと、ただ着実に扉は開く…


そして扉の先に一人の大男が佇んでいた。



大男「・・・・・」


大男は表情ひとつ変えず、視線を上津の顏から下へ舐めまわすように移した。


上津「・・・」

大男「・・・」


数秒の沈黙が続いたが大男が沈黙を破り口火を切った。


大男「ここのビル、もうどこの会社も入居してないんだけど…?」

上津「あ…すみません…」


咄嗟に上津は目の前に立つ大男がこのビルのオーナーである事を理解し、

反射的に謝罪してしまった。


大男「すみませんって事は、アンタ部外者だな?」

上津「…!腹痛が限界だったんです…!悪気はなくてその…」オドオド


大男「言い訳はいらねえ!!!!!!」ドォン!!!

上津「!」ビク


大男「いけねぇ事をしたことには代わりねぇ。アンタには落とし前をつけてもらわなくっちゃなぁ」

上津「…」


上津「いくら払えばいいんですか…?」

大男「ふふふ」


大男「金は要らねぇ…むしろアンタは受取る側になってもらう…」ボロン

上津「受け取る…」


上津「ハッ…!」

“受取る側”その言葉が意味することを理解した上津であったが、

非常にも逃げ場はなく、突きつけられた現実とマラに為す術がない事を知った…


とあるビルの雑居ビルの中で個室トイレの扉がゆっくりと閉じていく…

錆びた金属が軋む音と男の命乞いの叫びが木霊した…

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