プリン
オニオンサーモンを四つ、と女は言った。サーモン好きなん? と聞くと、照れ臭そうに笑った。初デート。
帰り道、コンビニでプッチンプリンを買った。俺はあんまりプリンが好きじゃないんだけど、こういう時は一緒のものを買ったほうが、よくない? なくなくなくない?
俺びっくり。だって、女は、プッチンプリンをプッチンして食べちゃった! ここ外だよ。しかも初デートだよ。俺、ナメられてんのかな? あんたの前でプッチンすることなんて、へっちゃらよ、って。ということは、もしかして、俺はセックスができるかもしれない。この女は大胆だ。俺は段階を踏むべきだと思っていたけれど、今日、できるかもしれない。俺は気持ちが昂り、女と同じようにプッチンした。口からプリンがこぼれて、服が汚れた。あの女は相当プッチンに慣れているのかもしれない。だとしたら、チャンスだ。
こ、この後どうする? と俺は聞いた。
無粋ね、と女は答えた。ぶすい、の意味が俺にはよくわからなかったが、女はヒラリヒラリした。ヒラリヒラリしているということは、誘われているのかもしれない。女が何も言わず歩いていくので、俺は黙ってついていった。女は自動販売機の前で立ち止まり、小銭ある? と俺に聞いた。俺は、あるよ、と言って、二百円を渡した。女は何も言わずに小銭を受け取り、水を買った。それを一気に飲んで、ペットボトルをペシャンコにした。俺はちょっと恥ずかしかった。女はドヤ顔でこちらを見ていた。
俺たちは、決まっていたかのようにラブホテルに入った。俺はドキドキしていた。女が慣れた手つきで部屋のキーを手に入れる。俺は今から、この女に食われるのだと思った。
部屋に入るなり、女は服を脱ぎ出した。まるで相撲取りのようだと俺は思った。脱がないの? と言われ、俺も服を脱いだ。服を脱ぐと、俺の気持ちは最高潮に達した。女に飛びつきキスをした。
ゔぉぇええええええ、というのは、俺の悲鳴。女の口の中は、魔界だった。この世のありとあらゆるものをごちゃ混ぜにした臭いがした。俺は逃げようとした。まずい、と思った。ピーヒャラピーヒャラ、パッパパラパー、という音がした。それは、女のスマートフォンから鳴っているようだった。女がこちらにやってくる。乳が揺れている。違う、乳を見ている場合じゃない。俺はもう一度だけ試してみようと、女にキスをしてみた。ゔぉぇえええええええ。次の瞬間、俺は金玉を握られた。堪忍するしかなかった。
俺はもうダメかもしれん、朝、俺はお袋にメールをした。