ドキッ!タケシだらけの番外編!
500ポイント突破記念
俺の名前はタケシ。
唯一にして無二なる存在。
突然だが、俺には彼女がいる。
俺の彼女、黒崎サナエは謎の失踪をしていたが、どうやら最近発見されたそうだ。
彼女の無事を彼女の友人の友人の弟の彼氏の知り合いの親の先輩から聞いた俺は彼女が搬入されたという病院に向かって駆け出した。
彼女は巨悪なる組織な誘拐されたはずだが、きっと俺たちの愛の絆が彼女を救ったのだろう。
そんなことを信じて疑わない俺は、彼女が入院している病室の扉を開けるなり叫んだ。
タケシ「サナエエエエエエ!!!!!」
そんな俺を出迎えたのは、この世界で一番愛するマイスイートハニーのサナエ………と、それを取り囲む6人の男であった。
タケシ「だ、誰だ!?。お前達は!?」
そんなタケシの質問に、サナエを取り囲む男達は順々に答えた。
武「俺の名前は武、サナエの恋人だ」
猛「俺の名前は猛、サナエのフィアンセだ」
TAKESHI「俺の名前はTAKESHI、サナエの許嫁だ」
タケシ MARCⅡ「俺の名前はタケシ MARCⅡ、サナエの将来を誓い合った幼馴染だ」
竹下「俺の名前は竹下、サナエの王子様だ」
竹石「俺の名前は竹石、サナエの配偶者希望者だ」
ビッチ「いや、誰だよ?お前ら」
タケシ「そうだよ!!お前ら誰だよ!?」
ビッチ「いや、お前もだよ、そこのうるさいの」
タケシ「…え?俺も?」
ビッチ「うん」
タケシ「嘘…だよな?。冗談はやめてくれよ…。俺とサナエはあんなに愛し合った仲じゃないか…」
ビッチ「悪いけど、記憶喪失でなんにも覚えてないんだよね」
タケシ「だけど…俺たちは愛の絆で結ばれて…」
ビッチ「は?愛の絆?。うわぁ…マジでそういうこと言うやついるんだ、引くわ」
タケシ「何言ってんだよ…サナエ…。あんなに愛してるって言ってくれたじゃないか!?」
ビッチ「あ、多分それ財布として愛してるって意味じゃないかな?。ごめんね、あんたみたいなの全然タイプじゃないんだ」
タケシ「さい…ふ…」
ビッチ「他のやつも多分こいつと一緒、ただの財布だよ。ってか、タケシMARCⅡってなに?ウケる」
それを聞いたタケシMARCⅡはショックのあまり血を吐き出してその場に倒れた。
武「おい!大丈夫か!?。しっかりしろ!!MARCⅡ!!」
MARCⅡ「ごめん、俺…サナエのプレゼントにお金を使い過ぎて…もうかれこれ3年近くもやししか食ってねえんだ…」
猛「馬鹿野郎!!。ほとんど水で出来てるもやしだけでそんな生活してたらお前…」
MARCⅡ「いいんだ…それでもサナエの喜ぶ顔が見たかったんだ。…ガハッ!!。ごめん、俺はもう行くよ。サナエをよろしく…」
竹下「MARCⅡゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!」
竹石「サナエ、お前MARCⅡがこんなになってるのに、なんにも思わねえのかよ!?」
サナエ「うん。だってこいつが勝手にやってただけでしょ?」
武「失望したぞ!!サナエ!!」
猛「最悪、俺たちはいいとして、ここまでしたMARCⅡはどうするんだよ!?」
竹下「っていうか、なんでMARCⅡがダメなんだよ!?」
竹石「MARCⅡのなにがダメだって言うんだよ!?」
サナエ「顔」
武「顔か、それなら仕方ないな」
猛「うむ、それを言われたらもうMARCⅡに為す術はないからな」
竹下「むしろ一度死んで来世にイケメンになることを期待する方がいいもんな」
竹石「それもそうだな。人生のリセットマラソンした方が早いな」
武「よし、みんなでMARCⅡが来世はイケメンになることを祈りに行こうじゃないか」
猛「お守りとか買ってやった方がいいかな?」
竹下「お守りを買うとしたら恋愛成就のお守りか?」
竹石「それよか交通安全の方がいいだろ。来世はビッチと交通事故が起きないことを願って」
そんな会話を話しながらファイブタケシーズ達は帰って行った。
…なにしに来たんだろ?こいつら。
残されたタケシは未だに現実が受け入れなれないのか、虚ろな瞳で虚空を見つめていた。
タケシ「俺は…財布…」
ビッチ「まだいたの?いい加減に帰ったら?。それとも…月7万で恋人役をやってあげようか?」
タケシ「違う…こいつはサナエじゃない…。サナエはこんなやつじゃない!!。そうだ!本物のサナエはきっとまだ囚われているんだ!!。助けに行かないと…待ってろ!サナエ!!」
そういうタケシはまるで何かから逃げるように病室を後にして、街を駆け出した。
もはやどこに向かえば良いのかもわからないタケシはただひたすらに走り続け、そして涙を流した。
悔しくて、憎くて、恨めしくて…。
タケシ「くそっ!くそっ!!」
…いや、本当の問題はそうじゃない。
本当に問題なのは…
タケシ「なんでだよ!?。なんでそれでも俺は…サナエのことを愛してるんだよ!?」
それでもサナエを愛してしまっていることだった。
力尽きるまで走り抜けたタケシは道端のアスファルトの上に倒れ、そして気を失った。
だから彼は、気がつくことが出来なかった。
自分がいま倒れている場所が…走ってきた場所が…兎歩町であったことに。
そしてそのまま夜は更けてゆき、運命の日、9月1日を迎えた。
タケシ、参戦。