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つまり養ってくれるってことですか?  作者: なおほゆよ
無人島編
34/52

GODではなくて、ODD

前回のあらすじ


自分の結婚式で小さな子供からボロクソ言われるお姉ちゃん…。




人物紹介


萩山レンジ(ニート) 苗字が萩山か荻山かどっちだったっけ?ってことがよくある。


月宮カグヤ(JK) ニートとのフラグが乱立しているが、果たしてその本心は…。


鬼塚ケイ(犯罪者) 今回は傍観役。


天城ショウタ(ショタ) 田中さん専用のネゴシエーター。



田中 作中屈指のチョロイン。





ニート「…髪の毛伸びたな」


ニートは自分の髪の毛を触りながら呟いた。


JK「私が切ってあげようか?」


JKはナイフ片手に提案した。


ニート「切るって…ナイフで?」


JK「それ以外に何で切るの?」


犯罪者「歯で噛み切るとか」


JK「いくら私でも乙女として最低限の品格は守りたいので却下」


ニート「田中さんにハサミもらえないか聞いてみるか…」


ニートは田中さんに電話をかけた。


ニート「もしもし?田中さん?」


田中「ん?ニートか?。どうした?」


ニート「田中さん、髪切りたいからハサミが欲しいんだけどさ」


田中「了解、送っとくわ…とはならんよ?、さすがのワシでも」


ニート「………」


田中「どうした?」


ニート「いや、なんか…こういうやりとりするの久しぶりだなって思ってさ」


田中「そうか?」


ニート「というか、田中さんと話をするのが久しぶりな気がする」


田中「まぁ、ここ5話くらい、ワシはちゃんと登場して無かったからな」


ニート「そういえば、実際に登場するのは久しぶりだな、田中さん。忙しかったの?」


田中「まぁな、いろいろとな…」


ニート「どうしたんだ?。奥さんに不倫でもばれたか?」


田中「不倫とか、妻が怖くて出来ない」


ニート「じゃあ奥さんに不憫なのがばれたか?」


田中「大丈夫、もうバレてる」


ニート「それで、そろそろハサミは用意してくれたか?」


田中「なんで今の流れで用意することになるんだよ?」


ニート「田中さんにしては粘るなぁ…いい加減に諦めて、ハサミを送ったらどうだ?」


田中「これで粘ってるとか、ワシのことどれだけ甘く見てんだよ?」


ニート「仕方ねえな…」


ニートはそういうと近くにいたショタを呼び出し、ショタに電話を代わった。


ショタ「田中のおじちゃん、あのね、ハサミが…」


田中「今すぐ用意しよう。10分待ってくれ」


ショタのお願いを食い気味に叶える田中さん。


ニート「やっぱりチョロいな」


犯罪者「チョロインの田中さんだな」







ハサミが到着した後…。


JK「ふっふっふ、かつてオッドハンドと呼ばれたこの私の実力を見せるときがついに来たか…」


JKはハサミをチョキチョキしながら呟いた。


ニート「オッドハンドってなんだよ?。ゴットハンドじゃないのかよ?」


犯罪者「odd…奇数とか片方とか半端なとか変なとかそういう意味だな」


ニート「オッドハンド頼りにならないんだけど」


JK「それで、お客さん、今日はどんな髪型にしますか?」


まるで美容師のように話しかけてくるJK。


ニート「えっと…なにかオススメの髪型とかありますか?」


JK「それでしたら、今流行りの左右非対称の髪型のアシンメトリーはいかがでしょうか?。他にもアシンメトリーや、アシンメトリーとかもオススメですけど」


ニート「どんだけアシンメトリーを押すんだよ?」


犯罪者「これは左右対称にする自信がないという意味なんじゃないか?」


ニート「さすがはオッドハンドだな!」


JK「結局、どうしましょうか?。アシンメトリーでいいですか?」


ニート「もうそれでいいや。…でもなるべくシンメトリーにしてね」


JK「かしこまりました」


そう言うとJKは慣れた手つきでハサミを扱い始めた。


ニート「…なんかやけに慣れた手つきで髪切ってるけど、普段から髪を切る機会でもあるの?」


JK「いや、髪切るのなんてこれが初めて。こういうのは雰囲気が大事だからさ」


ニート「一応、俺だって思春期の男子なんだから、変な髪型にだけはしないでくれよ」


JK「大丈夫大丈夫、私の手で髪型だけでもモテモテにしてあげるよ。…あっ」


ニート「…ねぇ、いまの『あっ』ってなに?。さりげなく『あっ』って言ったけどなに?」


JK「大丈夫大丈夫、まだ修正できる範囲内だからさ…多分」


ニート「まだ開始1,2分しか経ってないのに、幸先が不安なんですが?」


JK「ところでお客さん、この店に来るのは今日が初めて?」


ニート「話題を逸らそうとしないで。ちゃんと俺の頭と向き合って」


JK「お客さん、まだ若そうだけど、高校生かなにか?」


ニート「ニートだよ、ニート。そのくらい知ってるだろ?」


JK「やっぱりニートかぁ、そうかそうか、一目見たときからニートだと思ってたんだよね」


ニート「すげえ失礼なこと言ってるな、この美容師」


JK「中卒?高卒?」


ニート「中卒だよ。最近までは高校に通ってたけど、中退したんだよ」


JK「へぇ、なんで高校辞めちゃったのさ?」


ニート「この美容師、ぐいぐい来るなぁ…。ただ単に嫌になったんだよ、いろいろと」


JK「まぁ、そういうときもあるよね。ところでお客さん、彼女さんとかいらっしゃるの?」


ニート「え?。い、いや、いないけど…」


JKから突然、彼女の有無を聞かれたニートは一瞬ドキッとしたが、それを悟られないように淡々と答えた。


JK「じゃあ今は彼女募集中なんだ」


ニート「そ、そういうことになるかな…」


純粋に美容師に成り切って、たわいのない恋話を振って来ているのか…それともこの機会を利用して探りを入れて来ているのか…ニートにはそれが分からず、判断に困っていた。


JK「気になる子とかいないの?」


ニート「え、えーと…そ、それは…」


この質問はニートにとってJKから一番聞かれたくない質問であった。


YESと答えれば、JKに密かな想いを悟られるかもしれない。


かと言って、NOと答えれば、嘘をつくことになる。


しばらく悩んだ末に、ニートの出した答えは…。


ニート「ご、ご想像にお任せします」


質問の放棄であった。


JK「なるほど…『ご想像にお任せする』と…。私は今までいろんなお客さんにこの質問をして来たんですけどね…気になる人がいない人はだいたい皆さんハッキリと『いない』と答えるんですよ。逆に気になる人がいる人で『Yes』と答える人は少なくて、だいたい言葉を濁して答えるんですよね。つまり、『ご想像にお任せする』という答えは暗に『気になる人がいる』ということを示しているんです」


ニート「へ、へぇ…」


ニートは汗をダラダラ流しながら動揺していた。


JK「そして、『ご想像にお任せする』というような話を広げようがない回答は、もうこれ以上この話を掘り下げて欲しくないという思いの現れなのです。逆を言えば、気になる人はどうしても知られたくない人物ということになるんです。つまり、あなたの気になる人は、どうしても私に知られなくない人物。そしてそれはずばり…」


ニート「………」


JK「ずばり…相手は男ですね!?」


ニート「NOOOOOOoooooooo!!!!!!」


JK「あれ?違った?」


ニート「違うよ!!全然違うよ!!。心配して損したわ!」


JK「え?、違うの?。私はてっきり田中さん辺りかなと思ってたけど」


ニート「見当違いも甚だしいだろ!?」


JK「じゃあ、誰なの?」


ニート「いや、それは…えっと…ご想像にお任せします」


JK「私のご想像にお任せされた結果、相手は田中さんってことになったんだけど?」


ニート「少なくとも相手は男じゃねえよ」


JK「なるほど、結局、気になる相手はいるんだ」


ニート「ぐっ…」


巧妙(?)な誘導尋問によりで気になる相手がいることが気になる相手にバレてしまったニートは動揺を隠し切れなかった。


JK「でも、これ以上はレンジのためにも聞かないでおいてあげるよ。まだ散髪の途中だし、そろそろ続き始めようか」


そういうとJKはニートの散髪を再開した。


ニート「…というか、そういうカグヤは彼氏とかいないのかよ?」


やられてばかりでは癪なので、今度はニートから質問をした。


JK「いるよ」


ニート「え?」


JK「嘘だけどね」


ニート「な、なんだよ…」


めちゃくちゃ動揺してしまったニート。


先ほどから振り回されてばかりのニートはここぞとばかりに肝心な質問をする。


ニート「じゃ、じゃあ…気になる人は?」


JK「あっ…」


ニートが質問すると同時に、ジャキンという音と共に何かを大量に切り落としたJKからそんな言葉が溢れた。


JK「…ごめん、レンジ」


ニート「…ねぇ、そのごめんってなに?」


JK「ごめんっていうのは、ごめんなさいの略だよ」


ニート「だからなにがごめんなさいなの!?」


結局、肝心なことはなに一つ聞けなかったニートであった。






JK「よし、完成!」


ようやく散髪が終わったニートは水面を鏡代わりにして、自分の髪型を見て一言。


ニート「なんか…やけに短髪じゃない?」


JK「大丈夫大丈夫」


ニート「ならいいんだけど…」


JK「いやぁ…私のオッドハンドが発動しなくてよかったね」


ニート「やっぱりオッドハンドはバッドステータスだったんだな」


ニートはひとしきり自分の髪型を眺めた後、JKの方に向き合い、口を開いた。


ニート「髪、切ってくれてありがとな」


JK「べつにお礼なんていいよ、私が切りたかっただけだし」


ニート「そんなに俺の髪の毛を切りたかったのか?」


JK「昔さ、レンジの髪は薫お姉ちゃんがよく切ってたんだけどさ…薫お姉ちゃんも私に負けず劣らずのオッドハンドの持ち主でね」


ニート「受け継がれしオッドハンド…」


JK「薫お姉ちゃんがレンジの髪を切ってるのを私も見てて『私の方が上手く切れる』と思ってたんだけどさ、なかなか私に切らせてくれなかったから、いつかレンジの髪を切りたいと思ってたの」


ニート「へぇ…それで、実際に髪を切ってみてどうだった?」


JK「やっぱり、私の方が上手かったよ。いまの方がカッコいいよ、レンジ」


ニート「バ、バカ…か、カッコいいとか…」


JKのカッコいい発言に、本気で顔を赤くしたレンジ。


JK「でも、レンジのツンデレはキモいからやめた方がいいよ」


結局、終始振り回されっぱなしのレンジであった。


そんな2人のやりとりを近くて見ていた犯罪者が一言。


犯罪者「ごちそうさまでした」


今日も島は平和である。

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