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つまり養ってくれるってことですか?  作者: なおほゆよ
無人島編
30/52

日常になりつつあるこの日々を…

前回のあらすじ


この世界は救われなかった。



東の空から朝日が昇る。


いつものように、この無人島にも今日という1日がやって来る。


日が昇りきり、やがて人のいないはずのこの島にも、何人かの人によって少しずつ賑やかになって行く。


ニート「…おはよう」


そんな島でニートは少し眠そうな顔で、目をこすりながら目を覚ました。


アパレル「おはよう。朝ご飯出来てるわよ、ニート」


ニート「今日の朝ご飯はなに?」


アパレル「焼き魚よ。もうみんな食べ始めてるわよ」


ニートがいつもみんなが食事をしている場所にたどり着くと、他のプレイヤー達もそこで食事をしていた。


イケメン「おはよう、ニート」


ニート「おはよう。今日も目障りなくらいイケメンだな」


イケメン「こんなに朝早くから褒めるなよ、照れるじゃないか」


JK「おはよう、レンジ。…寝癖すごい事になってるよ?」


ビッチ「そう言うJKも結構酷い寝癖だよ?」


ビッチの言う通り、JKもアホ毛が2、3本ほど生えていた。


JKは自分の髪を手探りで触りながら髪型を確かめた。



JK「…ほんとだ、触角みたいになってる」


ショタ「二人とも面白い髪型だね」


係長「ところで、今日はみんな何する予定なの?。暇な人がいたら、誰か一緒に釣りに行かない?」


犯罪者「俺とイケメンは高床式倉庫の修理に行く予定だ。最近ようやく修理の材料が揃ってきたからな」


ニート「あの高床式倉庫、結局使うんだな」


イケメン「最近はネズミの被害も少ないから大丈夫だけど、やっぱり長い目で見たらあったほうが便利だと思うし」


ビッチ「じゃあぁ…私もイケメンさんのお手伝いに行こうかなぁ…なんてぇ…」


イケメン「うん、助かるよ」


係長「他のみんなは?」


ショタ「じゃあ、僕は特に予定が無いから、一緒に釣りに行くよ」


係長「おぉ、ありがとう、ショタ君」


JK「私はどうしようかな…。私も特に予定無いんだよね…」


係長「じゃあ、一緒に釣りに行く?」


JK「うーん…昨日も釣りしてたからな…今日は別のことしたいかな。レンジはどうするの?」


ニート「トランプあるし、一人でソリティアでもしようかな」


ビッチ「働け、ニート」


犯罪者「働け」


係長「働こう」


ニート「そういえば、アパレルは今日はどうするの?」


イケメン「あっ、話題を変えて逃げた」


ちょうどその時、朝ご飯を作っていたアパレルが作業を終えて、みんなの元に来た。


アパレル「私は…そうね…係長達と一緒に釣りに行こうかしら」


係長「ウェルカムだよ」


ショタ「誰が一番釣れるか競争だね」


係長「競争か…。ショタ君は釣りうまいもんね、僕まだ一度も勝てたこと無いよ」


犯罪者「そうだな、ショタは釣りも上手いもんな」


ショタ「えへへ…」


ニート「流石は俺の弟子だ」


ビッチ「ショタ君の格下のお前がいつショタ君の師匠になったの?」


アパレル「ほんとね。ショタ君の爪の垢を煎じてニートに飲ませたいものね」


犯罪者「実際にやってみるか?。もしかしたら効果があるかもしれないし」


ニート「そんなんでニートが治ったら誰も苦労しないだろ!!いい加減にしろ!!」


イケメン「君がそんなに堂々と言うなよ」


係長「でも最近、ニートも早起きはするようになったよね」


アパレル「確かにね。島に来たばかりの頃は毎日毎日、昼過ぎぐらいまで寝てたもんね」


ニート「…言われてみれば、確かに規則正しい生活を送ってるな」


JK「それもこれも、みんな田中さんのおかげだね」


犯罪者「それもそうだな。もう田中さんに足を向けて眠れないな」


こうして、今日もみんなで朝の時間を迎えた。


そして、島での生活によって自身の生活習慣の変化に気が付いたニートはふと、こんなことを考えた。


『これが、日常になりつつある』と…。


でも…こんな日常も悪くない。











朝食を終えたニートは、近くの小川を訪れた。


理由はいろいろあるが、とりあえず寝癖を直すことが一番の理由であった。


ニート「…確かにひどい寝癖だ」


水面に反射する自分の顔に思わずそんな独り言を呟いていると、後ろから誰かが音もなく近づいて来た。


寝癖を直すことに手一杯だったニートは、その人物に気がつくことも出来ず、不覚にも無防備のまま真後ろを取られてしまった。


そして、ニートからポジションのアドバンテージをとったその人物は威圧感のある声でニートに告げた。


JK「動くな。動くと小川に突き落とすぞ」


ニート「…やめてくれ、携帯が水没する」


JK「…それもそうだな。やめておこう」


ニートの命乞い(?)によって、アッサリと身を引いたJKはニートの横に並び、水面に映る自分の顔を見て呟いた。


JK「うわぁ…確かにこの寝癖は酷いなぁ…」


ニート「JKも寝癖を直しに来たのか?」


JK「ん?『JK』?」


JKはなにか言いたげな顔でニートを睨んだ。


ニート「あ、あぁ…。カ、カグヤも寝癖を直しに来たのか?」


『二人の時は名前で呼ぶ』というカグヤとの約束を思い出したニートは小恥ずかしげに名前を呼んだ。


JK「うん、まぁ、そんなところだよ」


それからしばらくJKは水面に映る自分を見つめてから小さく呟いた。


JK「うーん…これはこれで触角みたいでアリだな」


ニート「アリなのか?」


JK「レンジ的にはダメ?」


ニート「うーん…微妙なところだな」


JK「じゃあやめとこ」


JKはそう言うと寝癖を直し始めた。


JK「そういえば、レンジって今日は特に予定が決まって無いんだよね?」


ニート「いや、トランプタワーを作る予定があるぞ」


JK「予定無いんだよね?」


ニート「あ、はい…ありません」


JK「じゃあ一緒に山菜狩りにでも行かない?。一人だとなにかと危ないし、付き合ってくれたら嬉しいんだけどさ」


ニート「まぁ、いいけど…」


JK「よし、じゃあ早速行こうか。私、アパレルからお弁当貰ってくるね」







ニートとJKが山菜デート(?)に出かけた後、係長、ショタ、アパレルのチーム釣り人は海岸に来ていた。


係長「今日は天気もいいし、絶好の釣り日和だな」


ショタ「うん!たくさん釣ろうね!」


アパレル「ショタ君に負けないように、私も頑張らなきゃね」


3人は並んで岩場に腰掛け、釣りを開始した。


係長「そういえば、ニートは結局一人でソリティアをやるのかな?」


アパレル「ううん。JKと一緒に山菜狩りに行くそうよ。さっき弁当渡した時に聞いたわ」


係長「あっ、ふーん…」


なにかを察した係長は少し顔がにやけていた。


ショタ「顔が笑ってるけど、どうかしたの?」


係長「うーん…そうだね…。ショタ君から見て、ニートとJKってどう見える?」


ショタ「お兄ちゃんとお姉ちゃんかな」


係長「そうじゃなくて…二人の相性とかどう思う?」


ショタ「相性?。うーん…」


係長「ははは、ショタ君にはまだ早かったかな」


アパレル「でも、実際あの二人ってどうなのかしらね…」


係長「かなり進展してると思うよ。最近、二人が名前で呼び合ってるのを見たことあるし」


アパレル「そうなんだ。もうそんな仲なんだ」


係長「もうあとは時間の問題じゃないかと僕は思ってるよ」


アパレル「付き合ったら赤飯でも炊いてあげようかしら」


ショタ「…でも、やっぱり僕にとって二人はお兄ちゃんとお姉ちゃんかな」


その時、ショタの釣竿に魚がかかり、ショタは一匹目を吊り上げた。








木漏れ日が、生い茂る木々を縫うように小さく散らばり、そよ風が森を揺らし、静かに自然の音を奏でる。


その森の中で、人の手が及んでいない自然特有の緑の匂いを胸いっぱいに吸い込んで、JKは一気に吐き出した。


JK「やっぱり自然は良いなぁ…」


ニート「そうだな。夏でも暑くないし」


JK「そうだね。島じゃなかったらこうはいかないもんね」


ニート「コンクリートジャングルだったらクーラー無しでは生きていけないもんな」


JK「っていうか、あんな汚れた人工物の塊をコンクリートジャングルなんて呼んだら、ジャングルに失礼だよ」


ニート「じゃあ、代わりになんて呼ぶんだ?」


JK「うーん…ジャイアントドミノとかどう?」


ニート「35点」


JK「手厳しいなぁ…。じゃあ、レンジならなんて呼ぶのさ?」


ニート「…ビッグ積み木」


JK「3点」


ニート「せめて7点くらいは欲しかった」


JK「ねぇ、そろそろいい時間だし、あの辺でお昼ご飯食べない?」


JKは風通しの良さそうな小高い丘を指差して提案した。


ニート「そうだな、お腹も空いてきたし、食べようか」


JK「よっしゃ!じゃあお先に失礼!」


JKは嬉しそうにそう言うとニートを置いて丘へと駆け出した。


丘の頂上へと登るとニートの方を振り返り、手を振りながら『早く早く』と催促した。


やがて、丘を登った二人を出迎えたのは、吹き抜けるように全身をなびく風と、遠くで海を構える島の景色だった。


JK「私、この島が大好きだ」


JKは目を細めて島を眺めながら語った。


JK「海が綺麗だし、自然は豊かだし、田中さんは優しいし…なによりみんなが…レンジがいるこの島が大好きだ。だから…日常になりつつあるこの日々を守りたい、大切にしたい。レンジはどう思う?」


ニート「…うん、俺も悪くないと思ってる」


JK「だよね、やっぱそうだよね。…さて、そろそろお昼食べようか」


JKはお弁当を広げ、おにぎりを取り出し口一杯に放り込み、むせた。


ニート「そんなに急いで食べなくてもいいだろ?」


JK「この島のご飯は美味しいから思わず食べちゃうのさ。あったかいし、やさしいし。なにより…塩辛くないからね」


今日も彼女は満面の笑みでご飯を食べるのであった。









一方、その頃、島に設置されていた高床式倉庫を修理していたビッチとイケメンと犯罪者は…。


ビッチ「やっぱり、JKとニートって付き合ってるよ」


イケメン「うーん…どうだろうね?。詳しいことはわからないけど、少なくともまだ付き合ってはいないと思うよ」


ビッチ「えぇ…絶対付き合ってると思うけどなぁ…」


犯罪者「最近仲良くなってるのは確かだ。それにニートにその気があるのも確かだからな。…でも、ニートはそうそう告白なんてしない…ヘタレだからな」


ビッチ「えぇ…でも、JKから告白すればいいんじゃない?」


犯罪者「問題はそこなんだよなぁ。JKにその気があるのかが、微妙に分からないからなぁ」


イケメン「そうそう。JKの本心はちょっと見えにくいからね…」


犯罪者「そうなんだよなぁ。あいつ…意外に闇が深いからなぁ…」


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