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つまり養ってくれるってことですか?  作者: なおほゆよ
無人島編
27/52

海に潜む魔物、陸で蠢くニート

前回のあらすじ


ニートの旅は終わった。




人物紹介…はもういいか。

JK「…アザラシだ」


アパレル「アザラシね」


犯罪者「アザラシだな」


海辺を歩いていた3人の目の前には浜辺に打ち上げられたアザラシの姿があった。


JK「…可愛いね」


アパレル「可愛いわね」


犯罪者「食ったら美味いかな?」


JK「え?食べるの?」


アパレル「うーん…さすがにね…」


犯罪者「でも貴重なタンパク源だろ?」


JK「それもそうか…」


JKはそう呟き、アザラシを見つめた。


アザラシもその視線に気がついたのか、JKをじっと見つめた。


JK「あぁ、無理!。こんな可愛いアザラシ食べられない!」


しばらく見つめあったJKはアザラシに一目惚れしたようだ。


犯罪者「大丈夫大丈夫。肉になればみんな美味しいさ」


アパレル「とりあえず…みんなを呼んでくるわ」






ニート「…アザラシだ」


ビッチ「アザラシね」


ショタ「アザラシさんだ!!」


係長「アザラシだね」


イケメン「アゴヒゲアザラシだね」


小学生並みの感想を述べながら、一同は浜辺に集まった。


ショタ「凄いね、イケメンのお兄ちゃん。見ただけでそこまで分かるなんて…」


ビッチ「さすがイケメンさん!!」


ニート「アゴヒゲアザラシってなに?食えるの?」


イケメン「一昔前に日本の河川で発見されて有名になったタマちゃんとかと同じ種類さ。一応、食べられるよ」


ニート「よし、食おう」


JK「待った待った待った!!!」


ビッチ「河川敷のアイドルをいきなり食べるとか人間としてどうなの?」


ニート「お肉なんてそうそう食べられるものじゃないだろ。ここで食べなかったからタンパク源が足りずに餓死するとか俺は嫌だぞ。選り好みをせずに、なんでもありがたく食べた方が有意義だろ」


ビッチ「この穀潰しを焼いて食べた方が有意義じゃない?」


係長「カニバリズムはさすがに嫌だよ」


ショタ「アザラシさん、かわいそう」


イケメン「僕らは生き物を食べることでしか生きられない。いままで食べてきたものだって元を辿れば全部生き物さ。可哀想だけど、何かを失うことなく生きることは出来ないよ」


犯罪者「せめて美味しく食べてやるのが礼儀ってもんさ」


イケメン「それに、アザラシは脂肪も多くてね…その脂肪は燃やして照明用に使ったりとか、いろいろできるんだよ。皮も厚くて丈夫だし、なんにでも使えるよ」


ニート「ここまで余すとこなく使ってくれるなら、アザラシも喜んでくれるだろ」


係長「でも、さすがに気が引けるね」


JK「そうだよ、見てみてよ。あの潤んだ瞳!愛くるしいボディ!思わず触りたくなるお髭!。それでもみんなは食べるっていうの!?」


犯罪者「口の中に入れば後はもうみんな一緒さ」


アパレル「その口の中に入れるのが難しのよね…」


ニート「食べたくない奴は食べなきゃいいさ。でも俺は食うぞ」


犯罪者「そうだな。無理強いはしないさ」


それだけ言うとニートと犯罪者はアザラシに近づき、二人でアザラシを囲い込んだ。


ニート「アザラシさんよ、悪く思うなよ。所詮この世は弱肉強しょ…」


だが、その瞬間、突然動き出したアザラシの体当たりがニートの腹部にヒットした。


ニート「ブヒッ!!!」


ニートは情けない叫び声と共に地面に突き飛ばされ、気絶した。


犯罪者「ニート!?」


ビッチ「弱肉強食とか抜かしながら、アザラシに負けるとかほんと情けない…」


アパレル「同じデスゲームのプレイヤーとして恥ずかしい」


イケメン「…実際、アザラシみたいな体重が100キロ近くある動物に近づくのは危険だからね」


犯罪者「一度作戦会議が必要だな」


犯罪者は気絶したニートを回収し、アザラシから距離をとった。


犯罪者「なにか有効な武器は無かったっけ?」


イケメン「武器っていうとナイフくらいしか持ってないよ」


犯罪者「ナイフじゃ心許ないな」


イケメンと犯罪者が話し合っている傍らで、数名でニートに海水をぶっかけ、ニートを起こすことに成功した。


ニート「うっ…こ、ここは…」


JK「大丈夫?。意識ハッキリしてる?」


ニート「俺は…一体…」


ビッチ「アザラシに負けたのよ。体当たりされて『ブヒッ!!!』とか言って気絶したのよ」


ニート「この俺がアザラシに負けただと!?…信じられない」


犯罪者「起きたのか、ニート」


ニート「すまねぇ、俺としたことがみっともない姿を見せちまったぜ」


犯罪者「気にするな。お前のみっともなくない姿を見た記憶が無いし」


イケメン「ところで、なにかアザラシに有効な武器を持って無いかい?」


ニート「有効な武器?。…そういえば、おじいちゃんの形見の拳銃があったな」


そう言うとニートは懐から拳銃を取り出した。


アパレル「そんなものいつの間にもらったの?」


ニート「島に来た最初の方におじいちゃんから貰ったんだよ。もうちょい正確に言うと、第2話くらいに貰った」


犯罪者「ちょっとその拳銃、貸してみろ」


犯罪者はニートから拳銃を受け取った。


犯罪者「…ダメだなこりゃ。ところどころ錆び付いて使い物にならない」


ニート「水に落ちたりとかして、濡れたのを放置してたからな…そりゃあ錆びつきもするか」


イケメン「うーん…となると、ここは数で攻めるのが一番かな」


ショタ「みんなで取り囲むってこと?」


イケメン「そういうこと。でも、危ないからまずは僕と犯罪者と係長とニートでアザラシを取り囲む。でも、もし逃げられた時のために保険として女性陣も近くで待機していて欲しい」


ニート「おいおい、俺を主力として数えていいのか?」


アパレル「それは自分で言ってて悲しくならないの?」


イケメン「なんやかんやで頼りにしてるよ、ニート」


ニート「ふっ、せいぜい足を引っ張られないようにするんだな」


ビッチ「なんで自分の無能さをそんなに胸を張って言えるの?」


イケメン「それじゃあ、早速捕まえに行こう」


イケメンの作戦通り、男四人でアザラシを囲み、じりじりと近づいた。


アザラシも危険を察知したのか、警戒しているかのように辺りを見渡した。


イケメン「…3,2,1の合図で一斉に飛びかかろう」


犯罪者「OK」


係長「了解」


ニート「待ってくれ、1の『イ』で飛び込むのか、それとも『チ』で飛び込むのか、その辺をハッキリさせようじゃないか」


犯罪者「どっちでもいいだろ」


イケメン「『チ』で飛びこもう」


係長「了解」


ニート「待ってくれ、それは『チ』を言い始めた時に飛びかかるのか、言い終わった後に飛びかかるのか…」


犯罪者「だからどっちでもいいだろ!」


そんな話し合いをしていた4人の一瞬の油断をアザラシは見逃さなかった。


巨大な体からは想像できないほどの軽快な動きで4人の囲いから抜け出し、海に目がけて動き出したのだった。


しかし、そのアザラシにJK、ビッチ、アパレル、ショタが立ち塞がる。


だがアザラシの予想不可能なフットワークであっという間に4人はゴボウ抜きされた。


アパレル「アザラシのくせに、なんていうフットワークなの!?」


JK「足なんてないくせにね!!」


海の浅瀬にたどり着いたアザラシ…だが、今度は先ほど撒いたはずのイケメンが立ち塞がっていた。


イケメン「まだ僕がいるよ、アザラシ君」


ビッチ「キャー!!イケメンさん!!。ステキー!!」


突然のイケメンの出現に、アザラシは一瞬の動きを止めた。


そしてそこをすかさずアザラシの背後から犯罪者が飛びかかる。


だが、浅瀬とはいえど海にたどり着いたアザラシは水を得た魚のような推進力でそれをかわした。


しかし、イケメンという最終防衛ラインによって、いまだに沖に逃げれられないアザラシに今度は係長とアパレルが襲いかかる。


アザラシの不意をついたと思われたその攻撃に、誰もが勝利を確信した。


しかし、アザラシを捕らえるに至っても、体重が100キロ近くあるその凶暴な動物を抑えるには二人の力では足りなかった。


アザラシは二人の腕をぬるりと抜け出し、沖に向かって一直線に泳ぎだす。


もはやアザラシを止められるものは誰もいないと思われたその時、アザラシの進行方向に一人の男が立ち塞がる。


ニート「みんな良くやった。あとは俺に任せな」


そう、使えない男ナンバーワンのニートが立ち塞がったのである。


イケメン「ニート!?」


犯罪者「いつ間にあんなところに!?」


ニートは全力を持ってアザラシと対峙すべく、その場で構えた。


アザラシもそれに応えるかのように全力のスピードでニートに向かって一直線に泳いで行く。


ニート「決着をつけようじゃないか…俺とお前の因縁に…」


係長「無茶だ!!ニート君!!」


ビッチ「カッコつけてないで逃げなさい!!ニート!!」


恐ろしいほどの速さで距離を縮める二匹に危険を感じた他のプレイヤーは叫んだ。


ニート「さぁ、来い…アゴヒゲアザラシ!!」


ショタ「ダメだよ!!ニートのお兄ちゃん!!」


JK「逃げて!!お願いだから逃げて!!…レンジ!!!!」


JKの叫びのような声がこだまし、まさに二匹が衝突するその瞬間…。


ニート「…やっぱ無理!!」


ニートは体を反らしてアザラシの猛突進を回避した。


そして、邪魔するものがいなくなったアザラシは自由の海へと消えていった。


ニート「…いやぁ、アレは危ないところでしたね」


ニートがいなくなったアザラシの方を向いてそんなことを呟くと、背後から犯罪者が襲いかかってきた。


犯罪者「ニィィィトォォォォ!!。お前って奴はぁぁぁ」


大きな水しぶきと共にニートは犯罪者によって海に沈められた。


ビッチ「期待させるだけ期待させて、最終的に逃げ出すとか…ほんとこの男は…」


イケメン「まぁまぁ、今回は仕方なかったよ。むしろ怪我がなくてよかった」


JK「ほんと…ヒヤヒヤさせないでよ」


係長「…結局、成果は無しか」


アパレル「みんな服が濡れて終わっただけね」


アザラシを追って浅瀬とはいえど、海で攻防を繰り広げていた何人かは服が少し濡れていた。


JK「…よし!せっかくだから泳ごう!」


服がビショビショに濡れたJKはそう言うと開き直って一人で沖の方に駆け出し、海へと飛び込んだ。


ショタ「僕も僕も!!」


ショタも後に続いて海へと飛び込んだ。


アパレル「そういえば、せっかくこんな海が近くにあったのに、ちゃんと泳いだことなかったわね」


係長「みんなでこうやって遊ぶこともなかったね」


アパレルと係長も海へと飛び込む。


ビッチ「イケメンさんはどうするの?」


イケメン「あ…僕は見てるから、泳いで来なよ」


ビッチ「イケメンさんは泳がないの?」


イケメン「僕はみんなの着替えとかタオルとか用意して来るからさ、気にせず泳いでおいてよ」


ビッチ「じゃあ…お言葉に甘えようかな…」


ビッチも海へと飛び込んだ。


犯罪者「おい、ニート、お前はどうすんだ?」


ニート「海で泳ぐとかアウトドアな遊びは俺の身体には毒だからな…」


犯罪者「でも、これはお前が待望してた水着回って奴じゃないのか?」


ニート「水着ではないから水着回ではないな。これは着衣水泳回だろ」


犯罪者「服が濡れれば下着も透けて見えるだろ」


ニート「…着衣水泳回、最高やん」


次回、着衣水泳回…の予定。

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