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つまり養ってくれるってことですか?  作者: なおほゆよ
無人島編
25/52

エンジェルへの足掛かり

前回のあらすじ


雨、止んだね。







人物紹介


ゲームマスター側


田中 殺し合いサバイバルゲームのゲームマスター。妻と娘が二人いるらしい。…Mr.X?誰のことだ?。


助手 田中の助手。デスゲームの行方は彼の手にかかっていると言っても過言ではない。


ボス ボスはボスでボス以外の何者でもない。なんか偉い人と繋がりがあるらしい。


Q プレイヤー達の安否の偽造工作員。兄貴と接触を試みる。




プレイヤー


萩山レンジ (ニート) 行方不明と記憶喪失の経歴がある。前回のデスゲームの勝者。


月宮カグヤ (JK) 女子高生。レンジとは幼馴染。意外と闇が深い。


天城ショウタ (ショタ)7歳のショタ。虐待を受けて育って来たために家に帰りたがらない。


平間和也 (イケメン) 24歳のイケメン。島が気に入ったので家に帰りたがらない。


西谷マキ (アパレル) アパレルショップで働いていたが、親が残した借金が返せず、日々取り立てに追われていたので家に帰りたがらない。じつは農家の娘。最近、オカンと呼ばれるようになった。


小坂慎太郎 (係長) 年頃の娘と妻を持つ係長。娘から一緒の洗濯機で下着洗いたくないと言われたのがショックだったのか、家に居場所がないと感じて家に帰りたがらない。娘の名前はモトコ。


黒崎サナエ (ビッチ) 大学生のクソビッチ。イケメンを好きになったために家に帰りたがらない。ビッチに効く足ツボを刺激されると身も心も美少女のヴィッチさんに転生する。


鬼塚ケイ (犯罪者) 犯罪を犯し、警察に追われていたところを拉致された。シャバにいるより島の方が安全と判断して家に帰りたがらない。


石川哲也 (おじいちゃん)89歳のおじいちゃん。昨年ひ孫の顔も見れたのでもう現世に思い残すこともなく、少なくとも人を殺してまで家に帰ろうとはしない。覗きに失敗してこの世を去っていった。


エンジェル プレイヤー達の殺し合いを阻止すべく動く謎の人物。





その他


タケシ 黒崎サナエ(ビッチ)の彼氏と思われる人物。頑張れ、タケシ。


兄貴 タケシが襲ったヤクザの舎弟頭的な存在のインテリヤクザ。鬼塚ケイを探し出し、殺すことを目的としている。


ヤクザ 兄貴の部下のヤクザ。主に兄貴の解説役。



ニート達が冷たい雨の夜を固まってやり過ごしていた頃、彼らを監視するモニタールームは慌ただしかった。


それというのも、あのニートと呼ばれていた萩山レンジは実は前回のデスゲームの勝者で、今回は2回目のデスゲームの参加者ということがわかったからである。


田中「だが…ニートが2回目のプレイヤーだとしても、なにか問題があるのか?」


助手「いえ、それ自体に大きな問題は無いんです。ですが、そこにエンジェルへと繋がる大きなヒントがあったんです」


田中「エンジェルにつながる大きなヒント?。それは一体なんなんだ?」


助手「それはこの前回のデスゲームそのものなんです」


田中「…どういうことだ?」


助手「ここに前回のデスゲームについてまとめられた記録があります。いまからそれを掻い摘んで説明します。まずはそこからです」


田中「ふむ、まずは話を聞こう」


助手「前回のデスゲームが始まったのは、ちょうど今から8年前ほどです。初めの半年近くはいまのデスゲームみたいにまともなデスゲームにはならなかったんです。いまのデスゲームみたいに、プレイヤー同士も仲が良いし、さらにはゲームマスターも田中さんみたいなポンコツな人だったらしくて、ろくに殺し合いなんて始まらなかったんです」


田中「ふむ、前回も今みたいなほのぼの無人島日常系になっていたんだな。…っていうか、さらっとワシのこと遠回りにポンコツって言わなかった?」


助手「…話を続けますね」


田中「言ったよね?ポンコツって言ったよね?」


助手「デスゲームが始まるきっかけとなったのは、デスゲームが始まってから2ヶ月ほど過ぎたころです」


田中「ポンコツは無視するんだね」


助手「きっかけはおそらくはただの事故でした。ちょっとしたいざこざでもめた男女の二人組がいて、男の方が誤って女性を崖から突き落としてしまったんです。女性はそのまま海に落ちてしまい、他のプレイヤーで探索をしましたが、結局見つかることはありませんでした」


田中「なるほど…そんな事故が起きたんだな」


助手「それから数ヶ月、落とした男は彼女を殺した罪悪感に襲われながらも、他のプレイヤー達の計らいでなんとか今まで通り、みんなで過ごすことが出来たのです。…しかし、すでに亀裂は出来ていた。プレイヤーの内の一人が落とした男を殺人鬼呼ばわりし、この島から出て行くように文句を言い始めたのです。殺人鬼呼ばわりされた男は余程の罪悪感を抱えていたようで、それを言われて自暴自棄になって逃げ出しちゃったんです。他のプレイヤーの一人が慌てて追いかけて行ったのですが…それが第二の悲劇となってしまったんです。自暴自棄になって冷静な判断が出来なくなってしまったその男は、思わずその追いかけてきたプレイヤーを殺してしまったんです。そして、その出来事が引き金となり、男は他のプレイヤーを全て殺し、このゲームの勝者になることを決意したんです」


田中「二人も手にかけてしまったからな…もう後戻りは出来ないと思ったんだろうな」


助手「おそらくはそんなところでしょう。それから半年近く、男と他のプレイヤー達による長い殺し合いが始まりました。人数では劣っていた男は隙を見て、一人、また一人とプレイヤーを手にかけていきました。そして、とうとう残ったプレイヤーは当時8歳くらいだった萩山レンジだけとなったんです。当時の萩山レンジはいまのショタみたいな存在で、萩山レンジと男は特に仲が良かったんです」


田中「ん?。ニートがショタ君みたいな存在?」


助手「まぁ、当時8歳ですからね。誰にだって可愛いと思う時期はありますよ」


田中「うん、それは分かる。でも納得はいかない」


助手「でもこの記録によるとそうなってるんで…」


田中「記録に残ってるなら仕方が無いか。…いや、でもその記録が間違っているのかもしれん」


助手「ここは別に重要なところじゃ無いので、あんまり気にしないでくださいよ」


田中「確かに、そんなこと気にしてても仕方が無いな」


助手「話を続けますね。萩山レンジと仲が良かったその男はですね…」


田中「いや、でもあのニートがショタ君みたいだったなんて…」


助手「いいから黙って聞け!!このポンコツ!!」


田中「…はい」


助手「それで、男は萩山レンジを殺すのを躊躇ったんです。さすがに当時はまだ幼かったレンジを殺すのは心苦しかったんでしょうね。それからさらに数ヶ月、二人で冬の無人島でサバイバルをしていたんです。…でも、あるとき、とうとう男が我慢の限界に達したんのでしょうね。ナイフを取り出して、萩山レンジを殺そうとしたんです」


田中「…それで?」


助手「萩山レンジに向かってナイフを振り下ろそうとしたその瞬間、男の心臓にナイフが刺さったのです。萩山レンジの危機一髪に駆けつけ、ナイフを突き刺し、その男を殺したのは、最初に崖から落ちていなくなったはずの女性でした」


田中「…え?なにその急展開?」


助手「その女性は萩山レンジの実の姉で、結婚して萩山という苗字は変わってしまいましたが名を如月薫といいます」


田中「え?ニートの姉?」


助手「はい。たまたまそのデスゲームは一緒になってたんです。…で、彼女は行方不明になってからずっと他のプレイヤーからも、ゲームマスターのモニターにも姿を現わすことなく、このピンチに駆けつけたそうです」


田中「島に設置していた監視カメラにも映らなかったのか?」


助手「はい。プレイヤー達はカメラのバッテリーの交換をゲームマスターから引き受けたことがあるので、カメラの位置は把握していたんです。だから、カメラに一切姿を見せることなく過ごすことも可能だったのでしょう」


田中「ふむ、なるほど。…ところでニートがショタ君みたいな存在だったっていう話だが…」


助手「どれだけ掘り返せば気がすむんですか!?」


田中「いや、だってさ…」


助手「今度その話題に触れたら、田中さんの耳にコーヒー注ぎますね」


田中「うわ、なんかそういう拷問ありそう」


助手「で、デスゲームの方なんですけど…最初に5年続いたって言いましたよね?」


田中「ああ、そう聞いたが?」


助手「でも、ここに至るまでまだ1年くらいしか経ってないんです」


田中「でもプレイヤーは萩山レンジとその姉の如月薫だけになったんだろ?」


助手「ええ。…でも姉弟で争うのは出来なかったんでしょうね。当時の萩山レンジは相当のシスコンだったようで、姉の方も萩山レンジを大切にしていましたからね。そこから4年間、二人で島で暮らしていたんです」


田中「4年か…随分と長いサバイバルだな」


助手「でも、ある日、このデスゲームに決着がついたんです。如月薫がナイフで自分の心臓を刺して自殺したんです。最後に立っていたのは全身が血で染まった萩山レンジだったんです」


田中「………」


助手「デスゲームに勝利した萩山レンジは大きなジュラルミンケースを抱えて、ゲームの勝者を迎えに行ったヘリに乗り込みました。記録によると、ジュラルミンケースの中には真っ赤に染まった麻袋が入っていて、その入り口からは如月薫の生首が見えたそうです」


田中「生首?。…姉の死体を持って帰ったということか?」


助手「そういうことなんでしょうね。…まぁ、でもそこは重要じゃないんです。ここまでの話を聞いて何か思いませんでしたか?」


田中「そうだな…ニートにそんな過去があったんて…ってことぐらいかな」


助手「無い知恵を振り絞って考えてください。前回のデスゲームの展開、なにかに似ていませんか?」


田中「なにかって…あっ!。この前、ワシの誕生日にやったドッキリの展開にそっくりだ」


助手「そうです。事故で崖から落とされるところも、それから自暴自棄になった男によってデスゲームが始まったところも、崖から落ちた女性が生きていたところも、最後は自殺で終わったところも、全部そっくりなんです」


田中「うむ、確かにそっくりだ。まるでそれを意図したかのようにそっくりだ」


助手「そこで手がかりになるのが、この前エンジェルから送られてきたメールです。あのメールにはあのドッキリはエンジェルによって仕組まれたものだと明記してました。つまり…エンジェルは前回のデスゲームを知っていた」


田中「要するに、エンジェルは何かしらの形で前回のデスゲームに携わっていた者、というわけか…」


助手「必ずしもそうとは限りませんが、エンジェルは前回のデスゲームに携わっていた者と見て間違い無いでしょう」


田中「ふむ、となると…エンジェルは前回のデスゲームを勝利したニート、ということか?」


助手「それはどうでしょうかね。デスゲームの勝者には、このデスゲームが外部に漏れないようにするために、記憶を消去する処置が取られます。だからニートには前回のデスゲームの記憶が無いはずなんです」


田中「ニートが記憶喪失だったのはそういう理由があったのか。それでは他に前回のデスゲームを知る者など…」


助手「いますよ、もう一人。エンジェルと思しき人物が…」


田中「一体誰が?」


助手「この前回のデスゲームをまとめた記録は、前回のデスゲームのゲームマスターが製作した者なんですが…。前回のゲームマスター、名を石川哲也というそうです」


田中「石川哲也?。それって…まさか…」


助手「はい、そうです。石川哲也…つまりはあのおじいちゃんが前回のゲームマスターだったのです」


田中「ところでニートがショタ君みたいな存在って話だけどさ…」


助手「耳にゴミ詰まってるみたいなんでコーヒー淹れましょうか?」

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