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つまり養ってくれるってことですか?  作者: なおほゆよ
無人島編
18/52

悲劇の結末は…

前回のあらすじ


なんか空気悪くね?換気しない?








人物紹介


ゲームマスター側


Mr.X 殺し合いサバイバルゲームのゲームマスター、本名は田中。機械音痴。


助手 Mr.Xの助手。Mr.Xの部下だがときどきMr.Xを呼び捨てで呼ぶ。


ボス ボスはボスでボス以外の何者でもない


Q プレイヤー達の安否の偽造工作員。兄貴と接触を試みる。




プレイヤー


萩山レンジ (ニート)高校を中卒後、就職が決まらずそのままニートになった。家に帰っても居場所がないため家に帰りたがらない。行方不明と記憶喪失の経歴がある。


月宮カグヤ (JK) 女子高生。Mr.Xから支給された携帯を即行で無くしたドジっ子。レンジとは旧知の仲らしい


天城ショウタ (ショタ)7歳のショタ。虐待を受けて育って来たために家に帰りたがらない。


平間和也 (イケメン) 24歳のイケメン。島が気に入ったので家に帰りたがらない。


西谷マキ (アパレル) アパレルショップで働いていたが、親が残した借金が返せず、日々取り立てに追われていたので家に帰りたがらない。じつは農家の娘。


小坂慎太郎 (係長) 年頃の娘と妻を持つ係長。娘から一緒の洗濯機で下着洗いたくないと言われたのがショックだったのか、家に居場所がないと感じて家に帰りたがらない。娘の名前はモトコ。


黒崎サナエ (ビッチ) 大学生のクソビッチ。イケメンを好きになったために家に帰りたがらない。ビッチに効く足ツボを刺激されると身も心も美少女のヴィッチさんに転生する。


鬼塚ケイ (犯罪者) 犯罪を犯し、警察に追われていたところを拉致された。シャバにいるより島の方が安全と判断して家に帰りたがらない。


石川哲也 (おじいちゃん)89歳のおじいちゃん。昨年ひ孫の顔も見れたのでもう現世に思い残すこともなく、少なくとも人を殺してまで家に帰ろうとはしない。


エンジェル プレイヤー達の殺し合いを阻止すべく動く謎の人物





その他


タケシ 黒崎サナエ(ビッチ)の彼氏と思われる人物。頑張れ、タケシ。


兄貴 タケシが襲ったヤクザの舎弟頭的な存在のインテリヤクザ。鬼塚ケイを探し出し、殺すことを目的としている。


ヤクザ 兄貴の部下のヤクザ。主に兄貴の解説役。


助手「Mr.X、コーヒー入れましたよ」


Mr.X「あぁ、ありがとう」


Mr.Xはいつもとは違い、真面目な目つきでプレイヤー達を監視するモニターに向き合っていた。


まぁ、あんなことがあれば当然のことか…。


同じく真剣な眼差しでモニターを監視する助手はそんなことを考えていた。


Mr.Xの策略のおかげかどうかは定かではないが、島ではいままでに見られなかった不穏な空気が流れていた。


もしこのまま亀裂が大きくなれば…。


助手はそんなことを期待していた。







一方、島では…


ニート「………」


ニートはやけに高い崖に腰掛け、海を眺めていた。


先日の夕食の出来事から、ニートは他のプレイヤーとは距離を置いていた。


JK「ヤッホー、レンジ。なにしてるの?」


そんなニートの後ろからJKが陽気に話しかけて来た。


ニート「………」


JK「っていうか、高!?。この崖、腰掛けるには高くない!?。いくら下は海とはいえど、落ちたら死ぬよ?これ」


JKの言う通り、ニートが腰掛けていた崖は自殺願望者くらいしか近づかないと思うほど高かった。


JK「…もしかして、飛び降りとか考えてる?」


ニート「…別にそういうわけじゃない」


JK「よかったぁ。わたしレンジに死なれたらショックだもん」


ニート「…あっそ、俺なんか死んでも本当はどうでもいいなんて思ってるんじゃないのか?」


JK「そんなことないよ!。だってレンジ、優しいもん!」


ニート「優しい?俺が?」


JK「うん、だってショタ君にあんなこと言ったのも、ショタ君のためを思ってでしょ?。現状が分からなかったショタ君がかわいそうだったからでしょ?。だからあえて厳しいことを言うんでしょ?」


ニート「いや、…別にショタのためとか…思ってないし…」


JK「レンジは優しいんだよ、わたしが保証する!」


ニート「………」


JKに面と向かってそんなことを言われたせいか、レンジは照れてなにも言えなくなった。


JK「…でもね、ショタ君を擁護しようとするアパレルさん達の気持ちも分かって欲しいの」


ニート「アパレルさん達の気持ち?」


JK「仮にもさ、私達は残酷無慈悲な殺し合いのデスゲームのプレイヤーなんだよ。だからいつ平和な現状が崩れて殺し合いを始めるか分からない。ほんの些細な、ちょっとしたきっかけでそうなってしまう可能性があるデリケートな平和なんだよ。そんな中でね、全てを純粋に受け止めるショタ君の存在はみんなに安心感を与えてくれるの。だから…ショタ君にはあのままでいて欲しいの…」


ニート「だからと言って、ショタに現実を教えないっていうのはあまりに自分勝手じゃないか?」


JK「でも現実を伝えることがショタ君にとって幸せとは限らないじゃない!」


ニート「ショタはあれでも賢いやつだ、現実を受け入れても上手くやっていける!」


JK「でも私だっていまのショタ君に支えられてるところはあるんだよ!?。お願いだからそれを壊さないで欲しい!!」


ニート「結局お前も自分のためかよ?。…もうウンザリだ」


ニートはその場を去ろうと立ち上がり、背を向けた。


JK「待ってよ!レンジ」


JKも慌てて立ち上がりニートを引き止めようと腕を掴んだ。


ニート「放せよ!!」


ニートがJKを引き離そうと振りかざした腕は、おそらく『それ』を意図したものでは無いのだろう。


だから原因は少し力の加減を間違えてしまったことと、そして少し場所が悪かったこと。


ただそれだけなのだろう。


レンジが最後に見た月宮カグヤの顔は、あまりに唐突な出来事に頭が真っ白になり、なにも考えられなかった顔。


崩した体勢を立て直そうと力を込めた足は宙を蹴り…


そして…


月宮カグヤは崖から落ちてあっという間にレンジの視界から消え失せた…


やけに耳障りな断末魔だけを残して。


ニート「………」


なにも考えられなかったのはニートも同じだった。


あまりに唐突で、突拍子も無い出来事に頭が真っ白になった。


そして、ニートの背後から誰かが転けたような音がした。


振り返るとそこには腰を抜かして尻もちをついたビッチが青ざめた顔で座り込んでいた。


やがて断末魔を聞きつけた他のプレイヤー達が集まり始めた。


イケメン「どうした!?。いったいなにがあったんだ!?」


ビッチ「JKが…JKが…」


ビッチが震えた声を振り絞り、叫んだ。


ビッチ「JKが、ニートに殺された!!」


ビッチの証言に、思わず全員ニートの方を見る。


ニート「ち、ちが!…俺じゃない!!。あれはただの事故!!」


ビッチ「嘘よ!!あなたが落としたんじゃない!!」


犯罪者「とにかく、まずはJKの安否の確認だ!!」


その後、崖から落ちたJKの捜索が夜まで行われた。


しかし、彼女を見つけることはできなかった。


係長「もう日が沈む…これ以上の捜索は危険だ」


犯罪者「二次被害がでる可能性もあるしな…残念だが…ここまでか」


誰もが彼女の生存を諦め、場が静まった中、ビッチがボソリと呟いた。


ビッチ「…あんたが殺したのよ」


ニート「………」


ビッチ「あんたが彼女を殺したのよ!!」


ニート「…ははっ」


ビッチ「…なに笑ってんのよ?」


ニート「ハハハハハハハ!!!!」


アパレル「ニート!落ち着いて!」


ニート「そうだよ、俺が殺したんだよ、悪いか?」


イケメン「なにを言ってるんだ?君は」


ニート「これは法律やルールなんてないデスゲームなんだぜ?。殺してなにが悪いんだ?。むしろ俺は勝ち組だろ?。最初に誰かを殺したヤツは脱出出来るんだからさ!!」


係長「ニート君…」


ニート「お前らも良かったじゃねえか、俺みたいな殺人鬼にご退場願えてさ!!。おい、Mr.X!!。聞こえてるんだろ!?約束通り俺をここから出せ!!」


そしてニートの声に応えるかのように、黒い携帯電話が鳴り出した。


ニート「…もしもし?」


Mr.X「くくくっ…まずはおめでとう、と言おうか。あまりの唐突な出来事に私も驚いたよ」


いつもとは違い、Mr.Xの声に余裕が感じ取れた。


ニート「最初に誰かを殺したヤツは脱出できる約束だろ?早く俺をここから出せ」


Mr.X「あぁ、そうだったな、そんな話もしたっけな。すまないな、ニート…」


ニート「なんだよ?」


Mr.X「あれは嘘だ」


ニート「えっ」


ニートは思わ携帯を砂浜に落としてしまった。


そして落とした携帯を拾おうともせず、その場で惚けていた。


砂浜に埋もれた携帯からはMr.Xの高笑いがひたすらに響いていた。


犯罪者「…ニート」


犯罪者がニートに向かって声をかけ、肩に手を置いた。


ニート「触るな!!」


ニートは手を振り払い、そして夜の森に向かって全力で駆け出した。


犯罪者「ま、待て!!」


犯罪者もニートを追いかけるべく、夜の森に入って行った。


砂浜に残されたプレイヤーはただただ現状を受け入れられず、惚けていた。


そして、誰かが『もう終わりだ』と呟いた。






Mr.X「…とうとう始まったか。…いや、始まってしまったか」


Mr.Xは静かにそう呟いた。


Mr.X「…果たして、これで本当に良かったのだろうか?」


助手「良いか悪いかは分かりません。ただ、どんな結末になっても、最後まで見届けるのが我々の義務です」


Mr.X「…そうだな、見届けよう。どんな残酷な結末であろうとも…」






ニート「来るなあ!!」


夜の森を逃げ回っていたが、とうとう逃げ場を失ったニートは犯罪者に向かって声を荒げていた。


犯罪者「落ち着くんだ!ニート。なにも取って食おうとしてるわけじゃない!」


ニート「嘘だ!!。俺を殺す気なんだろ!?そりゃそうだよ!なんせ俺は殺人鬼だもんな!!」


犯罪者「あれは事故なんだろ!?話し合えば分かってもらえるさ」


ニート「無理だよ!もう話し合いなんて無理に決まってる!!」


犯罪者「話し合うだけ話し合おう。俺は味方してやるから!!」


犯罪者は説得を続けながらニートに近づいて行った。


ニート「来るな!!」


ニートは落ちていた木の枝を振り回して威嚇した。


犯罪者「まずは話し合いを…」


ニート「来るなああああああ!!!!」


ニートが犯罪者に思わず木の棒で突き刺したのは偶然にも左胸であった。


そして飛び出て来たのは大量の真っ赤な液体。


全身を真っ赤に染められたニートが見たものは動かなくなった犯罪者の体。


ニート「あっ…あっ…あああああああ!!!!」


また、殺してしまった。


二人も殺してしまった。


もう言い訳は出来ない。


もう誰に殺されてもおかしくない。


だったら…


ニート「もう…やるしかない…」









夜も更け、プレイヤー達も明日の捜索ために就寝につき始めた頃、イケメンは火の番をしながら犯罪者とニートの帰りを待っていた。


そこに歩み寄る一つの影…。


イケメン「誰かいるのか?」


人の気配を感じたイケメンは暗闇に声をかける。


ニート「お、俺だ…ニートだ」


イケメンの呼びかけにニートはおどろおどろ返事をかえす。


イケメン「なんだ、ニート君か。戻って来たんだね」


暗闇に紛れてニートの姿がよく見えないイケメンは平然と返事を返す。


イケメン「犯罪者はどうしたんだい?」


ニート「あ、あぁ…ちょっと休憩してから戻るって…」


イケメン「そっか、早く君もこっちに来なよ。夏とはいえど、夜は冷えるだろう。…そうだ、晩御飯まだ食べてないだろう?なにか食べるかい?」


そういうとイケメンはニートに背を向けて食材を漁り始めた。


だから気がつかなかったのだろう…全身を真っ赤に染めたニートの姿に。


ニートはそのまま近づいて、近くにあったナイフを手に取り、そして…ためらいもなく背後から心臓めがけてナイフを突き刺した。


イケメンはなにか反応を示すことなく、赤い液体をたれ流しながらアッサリと倒れてしまった。


動かないことを確認すると、今度は男性プレイヤーが寝ている寝床の方に歩き出した。


寝床では係長とショタが眠っていた。


ニートは物音を立てないように係長に近付き、そして思いっきりナイフを突き刺した。


ナイフを左胸を突き刺さり、係長は2,3回痙攣して動かなくなった。


ニートがナイフを抜き差して、ショタの方を振り返るとショタが寝ぼけた顔でこちらを見ていた。


現場を見られたニートの心臓が激しく脈をうつ。


そして口止めのため、ナイフを振り上げたその時…


ショタ「あっ、ニートの兄ちゃん帰ってきたんだ。おかえり!!」


暗くて状況があまり見えてないのか、寝ぼけているせいか分からないが、ショタはニートの犯行に気が付いていなかった。


ニート「あ…あぁ、ただいま。でももう遅いから早く寝な」


ニートは咄嗟にナイフを隠し、ショタに寝るように促した。


ショタ「うん、おやすみ」


再びショタは横になり、目を閉じた。


ニートは安堵の息を吐くと、ショタは小さな声で話しかけてきた。


ショタ「ねぇ、JKのお姉ちゃん、明日には帰ってくるかな?」


ニート「…あ、あぁ…帰ってくるさ」


ショタ「そうだよね。そしたらまたみんなで一緒ご飯食べられるね」


ニート「…そう…だな」


ショタ「そっか…それなら…よかった」


ショタは眠気に耐えられなくなったのか、そんなことをごもりながら眠ってしまった。


ニート「………」


嘘をついたのは…その場を誤魔化したかったからなのか…。


それとも…罪悪感のせいなのか…。


ただ、いまさらになってJKの言っていたことが分かってしまった気がする。


いまさらになって…。


ショタはいつでも片付けることができる。


それよりも先に残った他のやつを始末する方が先決だ。


そんな言い訳という名の理由を付けて、その場を後にしたかったんだ。







ビッチ「な、なんでよ…どうして…」


アパレルの胸にナイフを突き刺すニートを見てビッチは震えながら呟いた。


ニート「理由?。なんでだろうね?。そんなのどうでも良くなってきたんだ」


ニートはナイフを引き抜くと腰を抜かしているビッチに向かって歩み寄る。


ビッチ「私達がなにかしたっていうの!?。なんにもしてないよね!?。それなのに…なんで…」


ニート「うん、わかってる。悪いのは全部俺だ。でももうそんなことどうだっていいんだ」


ニートはナイフを振り上げ、そして躊躇いもなく…。


ビッチ「いや…いや…イヤアアアアアアアアアアア!!!!!」







ニート「…終わったな」


ニートは月を見上げながら呟いた。


ニート「これで…全部…」


その時、ニートの背後から一つの影が忍び寄る。


ショタ「ねえ…さっきの悲鳴はなに?。どうしてみんな倒れてるの?」


ショタはいまにも泣き出しそうな声でニートに問いかける。


ニート「気にしなくていいよ。みんな寝てるだけさ」


ショタ「ほ、ホントに?。ほんとにみんな寝てるだけなの?」


ニート「うん。だから…ショタももうおやすみ」


ニートはナイフを振り上げ、そして…辺りには真っ赤な飛沫が舞う。


ドサリと音を立て、倒れたのはニートだった。


ショタ「JKの…お姉ちゃん?」


ニートがショタにナイフを突き刺す直前に、突如現れた行方不明だったはずのJKがニートを後ろからナイフで突き刺したのである。


JK「大丈夫?ショタ君?」


JKはいつもの笑顔でショタに呼びかける。


ショタ「僕は大丈夫だよ。でも、ニートのお兄ちゃんが…」


JK「…ねぇ、ショタ君にどうしても伝えなきゃいけないことがあるの」


ショタ「なに?」


JK「私ね、どうしてもこのデスゲームを終わらせる必要ができたの」


ショタ「…どうして?」


JK「どうしても守りたいモノが出来たから…」


ショタ「守りたいモノ?」


JK「うん。でもね…私じゃもう…守れないの…。こんな汚れた両手じゃ、もう守る資格なんてないの…」


JKは赤く汚れた両手を見つめて、震えながらそう言った。


ショタ「…お姉ちゃん?」


JK「だからね…ショタ君。私の代わりに守って欲しいの、私の…」


そしてJKはナイフを拾い上げ…


JK「…ごめんね」


自らの左胸に差し込んだ。


ショタ「お姉…ちゃん…」


降り注ぐ赤い飛沫を…力尽きて倒れるJKを…ショタは虚ろな目で見つめた。


言葉も、涙も、表情も、なにもかも消え失せ、しばらくショタはその場で立ちすくんだ。


そして…黒い携帯が鳴り出す。


ショタは無意識のうちに携帯を取り出し、耳に当てた。


Mr.X「…おめでとう、ショタ君」


通話相手はMr.Xであった。


Mr.X「喜べ、君は生き残ったのだ」


心なしか、Mr.Xの声にも元気はなかった。


Mr.X「終わってみると…意外にもあっけないものなのだな…」


ショタ「………」


ショタはMr.Xの声にも反応を示さなかった。


Mr.X「喜べ、ショタ君。お願いだから、笑ってくれ…君は笑ってくれ…。私が代わりに…泣いてやるから…」


通話越しでもMr.Xが泣いているのがわかった。


いずれはこうなることは分かっていた。


そう、分かっていたんだ。


だがこの展開はあまりにも唐突で、想像よりも悲劇的で、誰も報われない…。


涙を流すMr.Xの肩に助手は優しく手を置き、そして…


助手「よかったんです、これでよかったんです。仕方なかったんです」


慰めるように呟いた。


それと同時にMr.Xは声を荒げて泣き出した。


大人げなく、惜しみなく、止めどない涙を流した。


そして、止まることも、戻ることもない残酷な時計の針が12時を指した。


するといままでなにも言わなかったショタが…


ショタ「ハッピバースデイ、トゥーユー…ハッピバースデイ、トゥーユー」


突然歌い出したのだ。


ニート JK「ハッピバースデー、ディア、田中さーん…」


そこに死んだはずのニートとJKが加わり…


犯罪者 イケメン ビッチ アパレル 係長「ハッピバースデー、トゥーユー!!」


残りの死んだはずのプレイヤーがバースデーケーキと共に現れたのだ。


Mr.X「…ふぁ!?」


あまりに唐突な出来事に思わず、変な言葉が出てきた田中さん。


ニート「ドッキリ…」


プレイヤー全員「大!成!功!」


そして、『ドッキリ大成功』と書かれた看板までモニターに映し出された。


Mr.X「…え?」


ニート「いやあ…見事に上手くいったな!」


係長「みんな演技うまかったね」


ニート「係長こそ凄かったな。演技で痙攣までできるんだもん」


係長「過労でよく痙攣するから慣れてるんだよ」


イケメン「いや、それは慣れてはいけないことですよ」


Mr.X「…これはいったい?」


ショタ「田中のおじちゃん、今日誕生日でしょ?」


ビッチ「みんなで田中さんをビックリさせるためのサプライズを用意したのよ」


Mr.X「サプライズ?…でもJKとか崖から落ちたし…」


JK「あれはカメラからは見えなかっただろうけど、落ちてすぐのとこに足場がある崖だったの。だからその足場に落ちて、あとはカメラの死角を通って移動したんだよ」


ニート「カメラの位置はこの前のバッテリー交換させられた時に把握していたからな」


Mr.X「でも、血とか出てただろ?」


アパレル「あれはケチャップよ。前回の晩御飯のナポリタンに使ったやつの余りよ」


ニート「と、いうわけで、これは全部田中さんを驚かすためのサプライズだったのさ」


Mr.X「そうか…サプライズだったのか…」


ショタ「喜んでくれたかな?」


Mr.X「うん。ありがとう…最高の喜びを…ありがとう」


田中さんは涙ながらにそう語った。


今夜は、笑い声と嬉し涙が絶えない素敵な夜だったとさ。


めでたしめでたし。






助手「………」


ありがとう…最高のぬか喜びを…ありがとう。


ただ一人、怒りに持っていたペンを握りつぶす助手がいたとさ。

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