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つまり養ってくれるってことですか?  作者: なおほゆよ
無人島編
17/52

『イッセーノーセ』で何本親指が立つかを予想するあのゲームの名前がわからない

前回のあらすじ


全然ギャグじゃなかったね。でも伏線ばら撒きたかったからしょうがないね








人物紹介


ゲームマスター側


Mr.X 殺し合いサバイバルゲームのゲームマスター、本名は田中。機械音痴。


助手 Mr.Xの助手。Mr.Xの部下だがときどきMr.Xを呼び捨てで呼ぶ。


ボス ボスはボスでボス以外の何者でもない


Q プレイヤー達の安否の偽造工作員。兄貴と接触を試みる。




プレイヤー


萩山レンジ (ニート)高校を中卒後、就職が決まらずそのままニートになった。家に帰っても居場所がないため家に帰りたがらない。行方不明と記憶喪失の経歴がある。


月宮カグヤ (JK) 女子高生。Mr.Xから支給された携帯を即行で無くしたドジっ子。レンジとは旧知の仲らしい


天城ショウタ (ショタ)7歳のショタ。虐待を受けて育って来たために家に帰りたがらない。


平間和也 (イケメン) 24歳のイケメン。島が気に入ったので家に帰りたがらない。


西谷マキ (アパレル) アパレルショップで働いていたが、親が残した借金が返せず、日々取り立てに追われていたので家に帰りたがらない。じつは農家の娘。


小坂慎太郎 (係長) 年頃の娘と妻を持つ係長。娘から一緒の洗濯機で下着洗いたくないと言われたのがショックだったのか、家に居場所がないと感じて家に帰りたがらない。娘の名前はモトコ。


黒崎サナエ (ビッチ) 大学生のクソビッチ。イケメンを好きになったために家に帰りたがらない。ビッチに効く足ツボを刺激されると身も心も美少女のヴィッチさんに転生する。


鬼塚ケイ (犯罪者) 犯罪を犯し、警察に追われていたところを拉致された。シャバにいるより島の方が安全と判断して家に帰りたがらない。


石川哲也 (おじいちゃん)89歳のおじいちゃん。昨年ひ孫の顔も見れたのでもう現世に思い残すこともなく、少なくとも人を殺してまで家に帰ろうとはしない。


エンジェル プレイヤー達の殺し合いを阻止すべく動く謎の人物





その他


タケシ 黒崎サナエ(ビッチ)の彼氏と思われる人物。頑張れ、タケシ。


兄貴 タケシが襲ったヤクザの舎弟頭的な存在のインテリヤクザ。鬼塚ケイを探し出し、殺すことを目的としている。


ヤクザ 兄貴の部下のヤクザ。主に兄貴の解説役。



この島に来てからどれだけの月日が経ったのだろうか。


いい加減聞き飽きたこの波の音に少しうんざりしてきた今日この頃、俺は少し退屈していた。


それもそのはずだ。


生きるために必要なこと以外でこの島でできることといったら、他の人と会話をするか、lineで会話をするか、しりとりをするか、あるいは『イッセーノーセ!!』のタイミングで親指を立てて、何本親指が立つかを言い当てるあの名前もわからないゲームをするとか、そんなことしかない。


要は娯楽に飢えていたのだ。


いや、欲しいのは娯楽というより…刺激というべきか…。


あの電話がかかってきたのは、なにか物足りないと思っていたその時であった。


退屈していた…刺激が欲しかった…だから、あんな愚かなことをしてしまったのだろう…。


Mr.X「ニートよ、最近、退屈していないか?」


ニート「まあね…遊び相手にでもなってくれるのか?。楽しい、仲良し、かわいそうな田中さん」

Mr.X「せめて普通に田中と呼べ」


ニート「それで、要件は?」


Mr.X「実はな…改めて考えて見たのだが、このデスゲームのルールはお前たちプレイヤーを生き残った一人だけ助けるというルールなのは覚えているな?」


ニート「………」


Mr.X「………」


ニート「…あぁ、うん、そういえばそうだったな」


Mr.X「え?なにいまの間は?。本気で忘れてたのか?」


ニート「わりとどうでもいい設定だし、誰も覚えてないって」


Mr.X「いや、これ最重要項目だろ!?」


ニート「それで、それがどうしたんだ?」


Mr.X「改めて考えて見るとな、さすがにこの条件は厳しいんじゃないかと思ってな…」


ニート「でも人はいずれ死ぬからいつかは最後は一人になるだろ」


Mr.X「そうだけどな、このまま行くと先に私の寿命が尽きるかもしれないから、ある追加の救済策を考えたんだ」


ニート「へえ…どんな?」


Mr.X「プレイヤーを誰か一人殺したら脱出できるというルールだ」


ニート「…へぇ」


Mr.X「ただし、このルールで脱出できるのは最初に誰かを殺した一人だけだ」


ニート「…なるほどね。確かにこれなら焦燥感にも駆られるし、田中さんにしてはいいルールじゃん」


Mr.X「ふっふっふ、そうだろう?」


ニート「けど、これでプレイヤーが動くとは思えないんだけどね」


Mr.X「こういうのは些細なきっかけで動き出すものだ。実際このルールを聞いて本気で脱出を考えるやつも出てきても不思議じゃない」


ニート「………」


Mr.X「お前はどうだ?ニート」


ニート「…まぁ、考えて見るよ」


Mr.X「ふっふっふ、楽しみにしてるぞ」


それだけを告げて通話は切れた。


ニートは通話が終わってもしばらく携帯を見つめたままボウッとしていた。


この島の生活が嫌なわけではない。


少なくとも元いた場所に戻るよりかはここの方がいくらかマシだ。


でも…それでも…退屈だったんだ…刺激が欲しかったんだ。


だから…


だから俺は…この話を…


ニート「っていうことを田中さんに言われてさ!みんなどう思うよ?」


話のネタにでもしようと思うんだ。


JK「あ、それ私もおなじこと言われた」


みんなで晩御飯を食べている最中、ニートは昼間に田中さんに言われたこと話のネタにしていた。


イケメン「あぁ、その話か…どうやらプレイヤーの全員に教えたようだよ」


犯罪者「多分、田中さんも結果が出なくて苦肉の策で言ったんだろうな」


係長「田中さんもいろいろ大変だな」


ビッチ「今日の晩御飯ってなに?」


アパレル「今日はナポリタンよ」


ビッチ「ナポリタン大好き!さすがオカン」


アパレル「誰がオカンやねん!」


ビッチ「っていうか、そもそも田中さんってなんでMr.Xなんてやってるの?。絶対人選ミスでしょ」


犯罪者「まぁ、向こうも向こうでいろいろあるんだろうな」


ショタ「田中のおじちゃんも大変なんだね」


ニート「そういえば、ショタにも新ルールを教えたんだよな。田中さん、ショタにどんな風に説明したんだろ?」


ショタ「なんかね…『ひとり殺せばショタ君は幸せになれるから、ニートをブチ殺せ』って言ってたよ」


ニート「なぜ俺を名指し!?」


ショタ「なんかね『シャカイテキにカチが無いから殺しても大丈夫』って言ってた」


ニート「よーし、その喧嘩買ったぞ、田中」


ショタ「でも…田中のおじちゃん、大丈夫かな?。最近なんだか元気が無いし…」


イケメン「確かに田中さんにしては大胆なことするよね」


ショタ「普段田中のおじちゃんにいっぱいお世話になってるから…なにか恩返ししたいな」


アパレル「恩返しね…」


ショタ「なにをやったら田中のおじちゃん喜んでくれるかな?」


ビッチ「ショタ君からの電話で充分喜んでると思うけど?」


ショタ「そんなんじゃなくて、もっとちゃんと喜んで欲しいんだ」


JK「多分、その気遣いだけで田中さんはお腹いっぱいだと思うけど」


ショタ「田中のおじちゃんを喜ばすにはどうしたらいいかな?」


ニート「簡単だよ。殺し合えばいい」


ショタ「えっ…」


JK「ちょ、ニート!?」


ニートのいきなりのぶっちゃけ発言に思わずJKも止めようとしたが、構わずニートは続けた。


ニート「田中さんの1番の望みはそれだ。手っ取り早く喜ばせたいなら2,3人殺すのがいい」


ショタ「田中のおじちゃんはそんなことで喜んでくれないよ!!」


ニート「田中さんは殺し合いをさせるために俺たちをここに呼んだんだぞ?。それなのに殺し合いをして喜んでくれないはずがないだろ?。いくらガキとは言えど、もっと現実を見ろ!!」


ショタ「でも…田中さんは…悪い人じゃないよ…」


ニート「良い人が悪い人かは知らないけど、俺が言ってることは事実だ」


ショタ「でも…でもぉ…」


ショタは今にも泣き出しそうな声をしていた。


アパレル「いい加減にしなさい!!ニート」


ニート「別に俺は悪いことしてるわけじゃないぜ。事実を言ってるだけだぞ?」


アパレル「それでも、子供に伝えるべきことではないわ!!」


ニート「もうショタに過保護になるのは止めようぜ。ショタだってそろそろ現実を受け入れることも必要だろ」


ビッチ「もう黙れよ!!クソニート」


ニート「あ?お前は関係無いだろ?。そんなにイケメンに良い子アピールしたいのか?」


ビッチ「そんなんじゃないわよ!!」


イケメン「はい!ケンカはストップ!!」


険悪なムードに成りそうなところでイケメンが間に入って止めた。


犯罪者「そうだそうだ、こんなところで喧嘩するんじゃねえ、飯が不味くなる」


係長「そうだよ。ニート君も取り敢えず食べようよ」


ニート「…なんだよ?まるで俺が悪いみたいなこの空気は?」


ビッチ「実際そうでしょ」


ニート「………わかったよ、俺が出て行けばいいんだろ?」


ニートはそう言うと食べかけのナポリタンを地面に置いてその場を去っていった。


JK「ちょ、ちょっとニート!!」


JKは急いで立ち上がり、ニートの方に振り返って声をかけた。


JK「このナポリタン、残すのなら私が食べていいかな!?」


犯罪者「それいま言うこと?」


だが、JKの呼びかけも虚しく、ニートは何も言わずにその場を去っていった。


JK「…私なりに空気を読んだ発言だったんだけどな」


係長「マジで?」


イケメン「まあまあ、気にしない気にしない。明日になればニート君も機嫌直すよ」


犯罪者「それもそうだな」


こんな感じでプレイヤー達はあまり気にしないようにしたが、なんとも後味の悪い夕食であった。


会話も途切れ途切れになり、だんだん静かになっていく中、ショタは小さく呟いた。


ショタ「田中のおじちゃんは喜んでくれないよ。…そんなことじゃあ喜んでくれないよ…本当の意味で…」

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