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つまり養ってくれるってことですか?  作者: なおほゆよ
無人島編
11/52

犠牲〜牙を向くデスゲーム〜

前回のあらすじ


たけし








人物紹介


ゲームマスター側


Mr.X 殺し合いサバイバルゲームのゲームマスター、本名は田中。機械音痴。


助手 Mr.Xの助手。Mr.Xの部下だがときどきMr.Xを呼び捨てで呼ぶ。


ボス ボスはボスでボス以外の何者でもない




プレイヤー


萩山レンジ (ニート)高校を中卒後、就職が決まらずそのままニートになった。家に帰っても居場所がないため家に帰りたがらない。行方不明と記憶喪失の経歴がある。


月宮カグヤ (JK) 女子高生。Mr.Xから支給された携帯を即行で無くしたドジっ子。レンジとは旧知の仲らしい


天城ショウタ (ショタ)7歳のショタ。虐待を受けて育って来たために家に帰りたがらない。


平間和也 (イケメン) 24歳のイケメン。島が気に入ったので家に帰りたがらない。


西谷マキ (アパレル) アパレルショップで働いていたが、親が残した借金が返せず、日々取り立てに追われていたので家に帰りたがらない。じつは農家の娘。


小坂慎太郎 (係長) 年頃の娘と妻を持つ係長。娘から一緒の洗濯機で下着洗いたくないと言われたのがショックだったのか、家に居場所がないと感じて家に帰りたがらない。娘の名前はモトコ。


黒崎サナエ (ビッチ) 大学生のクソビッチ。イケメンを好きになったために家に帰りたがらない。ビッチに効く足ツボを刺激されると身も心も美少女のヴィッチさんに転生する。


鬼塚ケイ (犯罪者) 犯罪を犯し、警察に追われていたところを拉致された。シャバにいるより島の方が安全と判断して家に帰りたがらない。


石川哲也 (おじいちゃん)89歳のおじいちゃん。昨年ひ孫の顔も見れたのでもう現世に思い残すこともなく、少なくとも人を殺してまで家に帰ろうとはしない。


エンジェル プレイヤー達の殺し合いを阻止すべく動く謎の人物





その他


タケシ 黒崎サナエ(ビッチ)の彼氏と思われる人物。頑張れ、タケシ。


兄貴 タケシが襲ったヤクザの舎弟頭的な存在のインテリヤクザ。鬼塚ケイを探し出し、殺すことを目的としている。


ボスから3週間以内に結果を出すように言われてからすでに2週間と少しが過ぎた。


残りの数日で結果を…犠牲者を出さなければいけない。


それなのに…。


助手が黒い携帯を開き、一通のメールを確認した。


そのメールはJKが無くしたはずの携帯から届いたものでエンジェルからのものだった。


メール『そろそろゲームが始まって3週間が経つけど、デスゲーム(笑)の様子はどうかな?。全然人死んでないけど、今どんな気持ち?ねぇ、今どんな気持ち?。デスゲーム(笑)にされていまどんな気持ち?ほらほら、早く私を捕まえてみろよ。そうしないと一生、デスゲーム(笑)のままだぞ?。ねぇ、今どんな気持ち?』


助手は怒りで携帯を握り潰しそうになるが、なんとか自分を落ち着かせた。


助手「一人でもいい…早く誰か殺してくれないと…」


このままでは…由紀が…。








一方島では…


ニート「この小説には色気が足りないと思わんか?」


事の発端はニートのこの何気無い一言だった。


夕食を済ませたあと、女性の三人は水浴びをするために川に行き、その帰りを待っていた6人で火を囲んでマッタリしている時にふとニートがそんなことを呟いたのだ。


犯罪者「急にどうしたんだ?」


ニート「みんなよく考えてみてくれ。この無人島で共に生きる者達という小さいが切っても切り離せなほど堅固なコミュニティーが俺らの間に形成されてるはずなんだ」


係長「確かに僕らは他人だが、共存しあう大切な仲間ではある。だけどそれがどうかしたのかい?」


ニート「こんな狭くて不自由な無人島生活を男女数人で暮らしていたら必ず嬉しいハプニングは起こるものだと思うのだ」


イケメン「嬉しいハプニング?」


ニート「そう、つまりはラッキースケベだ」


ショタ「ラッキースケベってなに?」


ニート「代表例として、風呂場で女の子に『キャー!の◯太さんのエッチ!!』と言われる状況になることが挙げられる」


ショタ「僕にはよくわからないよ」


ニート「とにかく、この小説にはそういうのがいままで一切無いんだ!!。せっかく女の子と無人島生活という素晴らしい設定の上に成り立っている話なのに…なぜそこを押していかないんだ!?」


イケメン「おぉ、メタいメタい」


係長「結局君はラッキースケベな目にあいたいということかな?」


ニート「い、いや、別に俺はどっちでもいいんだけどさ。こ、この小説のためにも、そういうのは必要なんじゃ無いかなと思っただけで…け、けっして淫らなことがしたいとかそういう下心がある訳じゃなくて…でもどうしてもっていうならラッキースケベな目にあってもいいと思ってるけどね。べ、別にこれは親切心で言ってるだけなんだからね!!」


イケメン「まぁ、君の言いたいことはわかったよ…」


ニート「とにかくそういうわけでラッキースケベが必要なんだと俺は作者に訴えたいね」


犯罪者「そんなこと愚痴っててもなにも始まらんぞ?」


ニート「それはわかってるけど…」


犯罪者「一つ、俺から良いことを教えてやろう。ラッキースケベって言うのはな、起きるものじゃ無い、起こすものだ、と…」


そういうと犯罪者は立ち上がり女性陣が水浴びをしている川の方を見つめた。


ニート「ま、まさか…お前…」


犯罪者「共に行こう、エデンの花園へ」


そういうと犯罪者はニートに右手を差し出した。


ニート「もちろんだとも!!」


ニートは犯罪者の右手を力強く握った。


おじいちゃん「ちょっと待たんか!!二人とも」


ニートと犯罪者が怪しげな同盟を結んだその時、おじいちゃんが声を荒げた。


ニート「止めても無駄だぜ、おじいちゃん」


おじいちゃん「いや、ワシも連れてって。若い子の裸見たい」


イケメン「ちょっ!おじいちゃん!?」


犯罪者「話が分かるじゃねえか!じいさんよ!!」


おじいちゃん「いずれ死にゆくワシの冥土の土産にその光景を焼き付けたくてな…」


こうして怪しげな同盟にまた一人、同士が加わった。


ニート「ほかに同盟を結ぶ者はおらんのか?」


犯罪者「係長、お前も来いよ」


係長「あのね、言っておくけど僕には妻もいるし、彼女らと年頃も近い娘もいるんだよ?」


係長はやれやれといった表情を浮かべてそう言った後に、真剣な眼差しで力強く言葉を付け加えた。


係長「そんな僕だが、好きなAVのジャンルは女子高校生モノだ」


そして堂々と怪しい同盟の輪に入って行った。


イケメン「係長さん!?」


係長「妻子がいても、見たいものは見たいのだ!!」


イケメン「えぇぇぇ………」


ニート「ショタよ、お前はどうしたいんだ?」


ショタ「ダメだよ!!。お姉ちゃん達が入ってるの覗くのは!!」


ニート「良いとかダメとか聞いてるんじゃないんだ、俺はお前がどうしたいのかを聞いているんだ」


ショタ「え、えっと…それは…」


ニート「お姉ちゃん達の裸が見たいかどうか聞いてるのだ!!」


ショタ「で、でも…」


ニート「返事はハイかイイエだ!!」


ショタ「…ハイ、見たいです…」


ショタは小さな声で恥ずかしそうにそう言った。


ニート「よく言った!!それでこそ男だ!!」


犯罪者「なにも恥ずかしがることじゃない、男なら当然のことだ」


おじいちゃん「エロいのに歳なんて関係ないんじゃよ」


ショタ「でも…」


係長「後ろめたいのかい?。確かに僕も妻も子供もいるから後ろめたい…だがその背徳感こそが至高なのだ!!」


イケメン「いや、それはさすがに引きますよ…」


ニート「さてと…イケメンよ、お前はどうするのだ?」


5人が一斉にイケメンの方を向いて無言の圧力をかけて来た。


その圧力に負けたのか、イケメンは仕方ないといった感じにため息を吐いて一言言った。


イケメン「こんな事もあろうかと、さっきビッチさんにビッチに効く足ツボを刺激しておいた」


ニート「あなたが神か!?」


説明しよう!!ビッチはビッチに効く足ツボを刺激されると身も心も美少女のヴィッチさんに転生するのだ!!。


イケメン「毒を食らわば皿までってやつかな」


ニート「よし、ここは士気を高めるためにも円陣を組もうじゃないか!!」


意思を一つに6人はガッチリと肩を組み合い、円を組んだ。


ニート「今ここに覗き同盟が結ばれた!!」


係長「この同盟の絆は家族の絆よりも堅く!!」


犯罪者「灼熱のマグマよりも暑き絆だ!!」


おじいちゃん「桃源郷を垣間見るため!!」


ショタ「みんなで危険を乗り越えて!!」


イケメン「神秘の秘宝を垣間見よう!!」


ニート「行くぞ!!」


全員「オオオオオオ!!!」


いま、覗きへの誘惑という強大な敵を前に初めて一つにまとまった漢達の戦いが始まろうとしていた!!。


一方その頃、川では…


アパレル「夏とはいえど、夜の川はやっぱり寒いわね…」


川で体を洗い流しながらアパレルはそんなことを言った。


ちなみに言い忘れていたが、いまの季節は夏である。いま決めた。


ヴィッチ「これからどんどん寒くなりますし…お風呂はどうしたらいいのでしょうか…」


イケメンに足ツボを刺激されたことにより美少女となったヴィッチは不安そうにそう呟いた。


アパレル「そうね…冬までにはお風呂も作らないとね。やることいっぱいだわ…」


ヴィッチ「ところで…JKさんはどちらに行かれたのでしょうか?」


ヴィッチが辺りを見渡すと滝に頭から打たれているJKの姿が目に入った。


JK「見て見て!!修行できるよ!!これ!!」


全裸で合掌しながら滝に打たれるJKはそんなことを言った。


アパレル「見っともないし意味もないからよしなさい」


JK「ちぇ、わかったよ、オカン」


アパレル「誰がオカンやねん!!」


ヴィッチ「ふふふ、二人とも楽しそうで羨ましいです」


ヴィッチは二人を見ながらおしとやかに笑って見せた。


アパレル「そういえば…二人は自分のあだ名に不服とかないの?」


JK「あだ名?」


アパレル「あなただったらJKだし、ヴィッチさんに限ってはビッチなのよ?。不満とかないの?」


JK「私はこのあだ名結構気に入ってますよ。JKってジョーカーの略みたいでかっこいいし」


アパレル「そ、そう…」


ヴィッチ「私は覚えやすくていいと思いますよ。ビッチってなんのことか分かりませんけど、シンプルで愛らしいニックネームだと思います」


アパレル「あ、ビッチの意味を知らないんだ…」


JK「でもよくこのあだ名も定着したよね」


ヴィッチ「確かニートさんが定着させたんでしたっけ?」


アパレル「名前覚えられないからとかそんな理由で無理やり定着させたのよね…」


JK「やっぱりレンジはバカだなあ」


アパレル「そういえば、JKとニートって元々知り合いだったんでしょ?。しかも幼馴染とか」


JK「昔の話ですよ。ここ何年間は全く会ってなかったですし」


ヴィッチ「昔は仲が良かったのですか?」


JK「まぁ、家族ぐるみの付き合いだったし…」


アパレル「ぶっちゃけ、付き合ってたとかないの?」


JK「いやいや、それはないですよ」


ヴィッチ「好きだったとかないんですか?」


JK「昔は…ちょっと好きだったけど…」


アパレル「いまは?」


JK「うーん…どうなんでしょう?」


ヴィッチ「否定しないってことは、脈アリなんですか!?」


恋話にテイションが上がってきたヴィッチは思わず声を荒げた。


そんな感じで女性陣が盛り上がってる中…同盟を結んだ覗き連合軍はというと…。


川の近くの崖の下で肩車をして、崖の下からその光景を覗いていた。


ニート「ど、どうだ?おじいちゃんよ。見えるか?」


肩車でおじいちゃんを背負ったニートはおじいちゃんに聞いた。


おじいちゃん「おお!!見える!!。…見える!?。見えてる?。見えてるような気がする。暗くてよく見えないけど多分見えてる?。老眼で視界もぼんやりしてるけど見えてるかもしれない。いや、見えてるってことにしよう!!」


ニート「それ、見えてないんじゃないか?」


おじいちゃん「見えてることにすればワシは幸せになれる!!」


ニート「それ絶対見えてないだろ」


おじいちゃん「よし!ワシはもう十分に堪能した。ニート君よ、交代しようじゃないか!」


ニート「交代って…無理すんなよ、おじいちゃん」


ニートから降りたおじいちゃんはニートをオンブしようとするが、ニートがそれを拒否する。


おじいちゃん「大丈夫大丈夫。ワシもまだまだ現役じゃ」


しかしおじいちゃんも負けじと無理やりオンブしようとする。


ニート「いやいや、老体を労わってやれよ」


おじいちゃん「そこまで言うなら、まず少し乗ってみろ。それで無理かどうか判断するから」


ニート「でもな…」


おじいちゃん「ワシらは覗きの絆で繋がった仲間だ!。それなのにワシだけが背負われるだけではワシの顔が立たんじゃろ!!」


ニート「そこまで言うならわかったよ。まず少しだけ体重をかけるぞ」


ニートがおじいちゃんに根負けして、おじいちゃんの腰に少し、ほんの少し体重をかけたそのとき、ボキッ!!という音と共におじいちゃんが豪快に転倒した。


ショタ「おじいちゃん!?」


おじいちゃん「こ、腰が…」


おじいちゃんはプルプルと震えながら倒れていた。


ニート「しっかりしろ!!ジジイ!!」


イケメン「こんなところで倒れてどうするんだ!?」


おじいちゃん「わ、ワシはもうダメだ!お前たちだけでも先に行くんだ!」


犯罪者「バカヤロー!!仲間を見捨てて先に行けるわけがねぇだろ!!」


係長「そうだよ!!僕たちは運命共同体なんだ!!」


ショタ「みんなで行くって決めたんだ!!」


おじいちゃん「…ふっふっふ。こんな仲間に囲まれて死ねるなんて…ワシはなんて幸せ者なんだ…」


ニート「ダメだ!!やっとみんな一つになれたのに…目標まであと少しだっていうのに…こんなところで終わるなんて、俺が許さねえ!!」


おじいちゃん「すまんな…あとは…頼ん…だ…ぞ…。ワシは…さっき脳内補完した…若い子の裸の光景を…目に焼き付けて…いく…」


ショタ「おじいちゃああああああああん!!!!」






翌朝


おじいちゃんの墓標を目の前にプレイヤー達は黙祷を捧げていた。


JK「どうして…どうして死んでしまったのおじいちゃん!?。もっと一緒に遊びたかったのに!!もっと一緒に生きたかったのに…どうして!!」


ニート「おじいちゃんの最後は立派だった」


犯罪者「うむ、彼こそ男の中の男だった」


係長「尊敬すべき人だった」


アパレル「そう…立派な最後だったのね…」


ニート「あ、ああ…」


ニート 犯罪者 係長(覗きに失敗して頭打って死んだなんて言えん…)


こうして、このデスゲームで初めての犠牲者が出てしまった。


石川哲也、享年89歳。


死因、覗き。







薄暗いビルの最上階の一室で椅子に腰かけたその男が口を開いた。


ボス「報告書、読ませていただきましたよ。初めての犠牲者、おめでとうございます。ようやくデスゲームも動き始めたようですね」


助手「…はい」


ボス「しかし…この犠牲者の死の詳細が書かれていないのはなんでしょうか?」


助手「そ、それはその…」


覗きに失敗して頭打って死んだなんて言えねえ…。


ボス「まぁ、いいでしょう。この調子で頑張ってください」


助手「は、はい、失礼します」


いそいそと部屋を出て行く助手を見届けたあと、一人になったボスがポツリと口を開いた。


ボス「…こんなにもあっさり死んでしまったのだな、石川よ」


その声は少し、寂しそうに響いた。

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