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つまり養ってくれるってことですか?  作者: なおほゆよ
無人島編
1/52

つまり養ってくれるってことですか?

ここは…どこだ?


目覚めた僕を迎えたのは一面に広がる青い海だった。


確か僕は職もないニートだったので、平日の昼間からやることもなく、なにかを買い出しに行こうとコンビニに出かけてる途中で、見知らぬ黒ずくめの男たちに襲われて…それで…。


朦朧とする意識の中で、目覚める前の最後の記憶をたどっていた僕の傍で黒い携帯の着信音が鳴り響く。


見覚えのないその黒い携帯は着信相手の名前にMr.Xと表示されていた。


僕は状況は飲み込めていないが、とりあえず黒い携帯に手を伸ばし、電話に出ることにした。


「…もしもし?」


「ようやくお目覚めかね?。萩山レンジ君」


電話の相手は変声機で声を変えているからなのか、ヘリウムガスを吸ったようなハスキーな声で僕の名前を呼んだ。


「なぜ僕の名前を?」


「ふふっ。知っているよ、君のことならなんでも。とりあえず私のことはMr.Xとでも呼んでくれたまえ」


「ここはどこなんだ?。なぜ僕がこんなところに?」


「君がいるところは無人島でね、君の他にも8名ほどの参加者がいる。そしてこの島の周りは潮の動きが複雑で激しくて脱出するならヘリでも使わないと無理だ。だが安心したまえ、君たちが存分にこのゲームを楽しめるようにするため定期的に食料を送らせてもらおう」


「ゲーム?」


「君たちの所持品は携帯電話を含めて全て回収させてもらったから自力で助けを呼ぶこともできない。ちなみにこの携帯は私と同じ参加者としか繋がらない仕様になってる。だけど僕は優しいからね、君たち9人のうち生き残った一人だけなら助けてあげよう」


「まさか…」


脱出もできなく、行く当てもない無人島。現代社会と切り離された特殊な空間。定期的に送られてくる食料。


それらの断片的な情報を一つにつなぎ合わせた時、レンジの頭にこの状況に対する一つの結論が浮かんだ。


「それってつまり…」


「ふっふっ、ようやく気がついたかね?。そう、君たちはここで殺し合いを…」


「つまり養ってくれるってことですか?」


「………は?」







数日後


私の名前はMr.X。


このデスゲームの責任者だ。


9人のプレイヤーを無人島に閉じ込め、殺し合わせ、生き残った一人だけが助かることができる死のゲーム。


殺意、罵倒、叱咤、裏切、憤怒、憎悪、そんな人の歪んだ感情がむき出しになるこの死のゲーム



そのはずだったのだが…


Mr.X「様子はどうだ?」


Mr.Xはプレイヤーを監視しているモニターを眺めていた助手に様子を尋ねた。


助手「見てもらったほうが早いです」


助手はモニターの画面をMr.Xの方に向けた。


モニターの中ではプレイヤーたちが火を囲み、仲睦まじく、ダンスを踊っていた。


Mr.X「…なにやってんの?これ」


助手「プレイヤー全員でキャンプファイヤーですね。いまオクラホマミキサー歌ってます」


Mr.X「殺し合いは!?」


助手「全然ですね。こいつら無人島生活めちゃくちゃ謳歌してますよ。昨日はみんなで肝試ししてましたし」


Mr.X「小学校の林間学校か!!」


死のゲームが始まって幾日か過ぎたが、プレイヤー達は殺しあうような素振りはまるでなく、むしろ仲良くなっていた。


助手「このままじゃ、殺し合いなんて絶対しませんよ。どうするんですか?田中さん」


Mr.X「田中(本名)って呼ぶな、Mr.Xと呼べと言っただろ」


助手「いまどきMr.Xってどうなんですかね?」


Mr.X「大事なのは雰囲気作りだろ、形だけでもそれっぽくしないと」


助手「それで、どうするんですか?Mr.X(笑)」


Mr.X「(笑)とかつけるな。安心しろ、ちゃんと解決策は用意した」


助手「どんなのですか?」


Mr.X「問題解決にあたってまず私はこうなった原因について考えてみた。そのために私は古本屋に行って、こういう殺し合い系のバトルロワイアル漫画を読み漁ってきた」


助手「発想が貧相ですね」


Mr.X「漫画を読んでいて私は足りないものに気がついた。それはプレイヤー達の動機だ」


助手「動機?」


Mr.X「そう、人を殺してでも元の場所に帰りたいという動機だ」


助手「つまりプレイヤー達には帰りたいっていう気持ちが足りてないってわけですね?」


Mr.X「その通りだ」


助手「でもそれって我々に解決できる問題ですか?」


Mr.X「解決せねばならんのだ。それが我々の仕事なのだ」


助手「そうですね、仕事ですもんね。それで、具体的にどうするんですか?」


Mr.X「プレイヤー全員に私とプレイヤーにしか繋がらない携帯電話を渡しただろう?。それに電話して相手に帰らせたいって思わせるように説得する」


助手「説得で人殺しまで発展させられるんですか?」


Mr.X「やってみないとわからん。携帯どこやったっけ?」


助手「それなら私が持ってますよ」


助手は黒いガラケーをMr.Xに手渡した。


助手「それで、まず誰に電話をかけますか?」


Mr.X「そうだな、萩山レンジからかけてみようか」


助手「萩山レンジ…確か我々の調査だと今年、高校を中退したけど、就職もせずに現在実家生活で無職だった人ですね」


Mr.X「そうそう。それで…この携帯ってどうやって電話かけるの?」


助手「前に教えたんですからいい加減覚えてくださいよ」


Mr.X「機械の扱いはどうも不器用で…」


助手「いくら機械音痴でも携帯くらい使えるようになってください」


Mr.X「すみません」


助手「ここをこうやって以前に私が登録した番号にかければいいだけですよ」


助手は携帯を操作を口で説明しつつMr.Xに扱い方を教えた。


助手「ほら、後はこのボタンを押せば通話ができますよ」


Mr.X「最近の機械の機能は素晴らしいな」


助手「最近のって…いまどきガラケーはないですよ。なんでスマホにしなかったんですか?」


Mr.X「スマホは高くて経費が落ちなかった」


助手「貧乏部署ですもんね、うちって」


Mr.X「あ、電話かける前に声変えないと…」


そう言うとMr.Xは机の上に置いてあったヘリウムガスに手を伸ばし、鼻に噴射した。


助手「変声機くらい買ったらどうですか?」


Mr.X「ワシ機械の扱いは不器用で…」


助手「…ほんとよくこの平成の世を生きて来れましたね」


Mr.Xはそのままボタンを押して元ニートの萩山レンジに電話をかけた。


しばらく着信音が鳴った後に、萩山レンジの声が聞こえてきた。


レンジ「もしもし?」


Mr.X「私だ。Mr.Xだ」


レンジ「あ、Mr.Xさん。お久しぶりです、おかげさまで楽しく暮らせてます」


助手「…感謝されとるがな」


Mr.X「どうかね?無人島生活は?。そろそろお家に帰りたくなったんじゃないか?」


レンジ「いやぁ、それが就活に失敗して職がないので家に帰っても穀潰しにしか思われなくて家に居場所がないんですよね。でもここなら仕事しなくても暮らせるのでこっちの方がいいです」


助手「寄生する気満々だぞ、こいつ」


Mr.X「でも友達とかいなくなったお前のこと心配してるんじゃないか?」


レンジ「トモダチって何ですか?。…あぁ、お昼休みに焼きそばパン買って来いって言ってくるやつらのことですか?しかも自腹で買って来いって言ってくるやつらのことですか?」


Mr.X「じゃ、じゃあ心配してくれる恋人はおらんのか?」


Mr.Xも帰りを心配してくれる人がいないこの不憫なニートに動揺しているのか、少し声に焦りが見えた。


レンジ「恋人はいませんが…嫁ならいますよ。レイラっていう少し恥ずかしがり屋な子なんですけど」


Mr.X「おお!マジで!?。よかった」


Mr.Xはこの不憫なニートでも心配してくれる人がいてくれたことに安堵したためか、ついつい本音が溢れてしまった。


レンジ「恥ずかしがって画面から出て来ないくらいの恥ずかしがり屋なんですよね」


助手「やはり二次元嫁であったか…」


Mr.X「…どうしよう。こいつが不憫すぎて説得できる気がしない」


助手「こいつを説得するのは諦めましょう」


Mr.X「それもそうだな」


Mr.Xは携帯の通話を終了ボタンを押した。


助手「萩山レンジはサバイバル系の漫画だと割と序盤に殺されるモブキャラ的立ち位置でしょうね」


Mr.X「残りのやつらも全員あんなのだったらどうしよう」


助手「次に説得するやつはこいつなんてどうでしょうか?」


助手はMr.Xに小坂慎太郎と書かれた資料を手渡した。


Mr.X「こいつは確か妻子持ちのやつだったよな?」


助手「年頃の娘を抱えたパパですからね、それにサラリーマンで役職も係長と順風満帆な生活を送ってますから、先ほどのような不憫な展開にはならないかと。あとプレイヤー達から係長と呼ばれてます」


Mr.X「よし、じゃあ今度はそいつに電話をかけてみよう」


Mr.Xは携帯を操作しようとしたが、途中で手が止まった。


Mr.X「…電話ってどうやってかけるんだっけ?」


助手「さっき説明したばっかだろ!?」


結局助手が携帯を操作して係長小坂に電話をかけた。


Mr.X「もしもし、私だ。Mr.Xだ」


係長「あ、…どうも」


係長はあまり生気の無い声で返事を返した。


Mr.X「ふっふっふ、どうかね?島での生活は」


係長「息抜きにはいいかな、と…」


Mr.X「そろそろお家に帰りたくなってきたんじゃないか?」


係長「最近思うんですがね、こういう社会のしがらみから外れた生活もいいんじゃないかって思うんです」


Mr.X「だがいつまでもこうしてるわけにはいかんだろう?。家では可愛い娘が待っているのだぞ?」


係長「私のことなんて心配してませんよ。家ではまるで汚物を見るような目で私を見てくるんですから。同じ洗濯機でお父さんの下着洗わないでとか言われるし…」


Mr.X「いやいや、そんなもんだって。年頃の娘なんてそんなもんだって」


係長「他にもお父さんのあとにお風呂入りたくないとか、お父さんのあとにトイレ使いたくないとか…。もう家に私の居場所はないんだ」


Mr.X「だ、大丈夫大丈夫、そういう娘に限って結婚式とかで『お父さん、いままでありがとう』って泣きながら言ってくれんだって」


係長「はぁ…家に帰りたくない」


助手「こいつも寄生する気ですね」


Mr.X「次をあたろう、次を」


Mr.Xは通話を終了させた。


助手「次はこの人なんてどうでしょうか?。西谷マキ、アパレルショップ店員です。プレイヤー達からはアパレルさんと呼ばれてます」


Mr.X「じゃあ、そいつにしよう」


Mr.Xは再びガラケーをおぼつかない手で操作して電話をかけた。


Mr.X「もしもし、私だ。Mr.Xだ」


アパレル「あ、はい…」


Mr.X「そろそろ家に帰りたくなったんじゃないか?」


アパレル「い、いや!!帰りたくない!!絶対帰らない!!。ここにずっといたいの!!お願い!!」


Mr.X「え、えぇぇ…」


Mr.Xはアパレルの必死の帰りたくない宣言に思わず困惑の声をあげた。


アパレル「私の親が多額の借金を残して死んでしまって…毎日その借金の取り立てに追われてるの。もうあんな生活に戻りたくない!!。ここでずっと生きていたいの!!。お願い!!私を家に返さないで、なんでもするから!!」


Mr.X「………」


Mr.Xはそっと携帯の通話を切った。


Mr.X「…どうしよう、なんか説得できる自信なくしてきたわ」


助手「頑張りましょう、これも仕事ですから」


Mr.X「これ説得まだ続けなきゃダメかな?」


助手「全員お願いします。この説得はプレイヤーの紹介も兼ねてますから」


Mr.X「紹介って、誰に?」


助手「誰でもいいでしょう。次は鬼塚ケイ、プレイヤー達からは犯罪者と呼ばれてます」


Mr.X「犯罪者?。顔が強面なのか?」


助手「電話すれば分かるんじゃないですか?」


Mr.Xは助手に促されるまま電話をかけた。


犯罪者「もしもし?」


Mr.X「私だ、Mr.Xだ」


犯罪者「あぁ、どうも、Xさん」


Mr.X「そろそろ家に帰りたくなってきたんじゃないかね?」


犯罪者「それがですね、私はシャバでいろいろやらかして、ポリ公に追われてる身なんですよ。そういうわけでいまシャバに戻っても豚箱ぶち込まれるだけだし、しばらくここで世話になることしました」


Mr.X「犯罪者って、本物の犯罪者かよ!?」


犯罪者「ちょっと人を2,3人ほど…」


Mr.X「2,3人ほどなにしたの!?」


犯罪者「まぁ、そういうわけでしばらくよろしく」


Mr.X「え、しばらくってどのくらい?」


犯罪者「時効になるまで」


Mr.X「15年も世話になるつもり!?」


助手「こいつの説得は無理そうですね、次の人いきましょう。次は天城ショウタ、7歳。あだ名はショタです」


Mr.X「そんな子供も混じっていたんだな」


助手「なんでもプレイヤーはランダムに選出されたそうですから」


Mr.X「ランダムに選出って具体的にどうやって?」


助手「日本地図にダーツを投げて、当たった場所の地区に住んでる第一村人だそうです」


Mr.X「なんて物騒なダーツの旅!!」


結局、ショタに電話するMr.X。


ショタ「もしもし?」


Mr.X「私だ、Mr.Xだ」


ショタ「こんにちは」


Mr.X「あ、うん、こんにちは。…ショウタ君いい子だな」


ショタ「どうしたの?おじさん」


Mr.X「そろそろお家に帰りたくなってきたんじゃないかな?」


ショタ「やだ、僕お家帰りたくない。お父さんに殴られるもん」


Mr.X「殴られる?」


ショタ「でも殴られて泣いたりしたらご飯抜きになるし、家の掃除も洗濯物も少しでも汚れが残ってたら火のついたタバコを押し付けられるし、酒に酔った勢いでお風呂に頭突っ込ませて溺れさせようとしてくるし…」


Mr.X「………」


ショタ「ほかにもね、いっぱいいっぱい酷いことしてくるの。でもここのお兄ちゃんお姉ちゃんはみんな優しいんだ。いっぱいお話ししてくれるし、いっぱい楽しませてくれるの。だからお家に帰りたくない」


Mr.X「………」


ショタ「でもね、おじさんがどうしても帰れっていうなら、おじさんに迷惑かけたくないから僕帰るよ。いままでたくさん楽しいことしてくれてありがとうね」


Mr.X「ショウタくううううううううううううん!!!!!」


ショタ「僕、この島の暮らしがいままでで一番楽しかった」


Mr.X「君はまだこの島にいなさい。ここで幸せになりなさい」


助手「おい、田中(Mr.Xの本名)。お前本来の目的分かってんのか?」


Mr.X「だって可哀想だろ!?。ワシだってあのくらいの歳の子供いるからなおさら可哀想だろ!?。ショウタはわしが育てる!!」


助手「ヘリウムガスを吸ったハスキーボイスで大声出すなよ」







なんやかんやで次の説得




助手「次は平間和也、24歳。あだ名はイケメンです」


Mr.X「イケメン?」


助手「イケメンなのでイケメンと呼ばれてます」


Mr.X「ふーん、ワシ特に理由はないけどイケメン嫌いなんだよね」


助手「気が合いますね。私も嫌いです」


Mr.Xは渋々電話をかけた。


イケメン「もしもし?」


Mr.X「私だ、Mr.Xだ」


イケメン「おぉ、Xか、どうしたんだ?」


Mr.X「え、いや、そろそろ帰りたくなって来たんじゃないかな、と思って…」


フランクに話してくるイケメンにMr.Xは思わずたじろいでしまった。


イケメン「いや、全然帰る気しないよ。僕はこの島気に入ったよ。静かだし、綺麗だし、なによりここで暮らしてると生きてるっていうのが感じられるし」


Mr.X「いや、でも…」


イケメン「Xもこの島に来なよ。楽しいよ?」


Mr.X「え、遠慮しとくわ。よ、用事があるから電話切るわ」


イケメン「残念だな。じゃあまた今度な」


イケメンとの通話が切れた後、Mr.Xはぼそりと呟いた。


Mr.X「ワシ、コミュ力の高いイケメンって嫌いなんだよね」


助手「私も嫌いです」


Mr.X「次のプレイヤー行こうか」


助手「次は月宮カグヤ、16歳のJKです。あだ名もJKです」


Mr.X「よし、電話してみよう」


Mr.XがJKに電話をかけるが、しばらくしても応答はなく、代わりに留守番電話サービスの音声が流れた。


Mr.X「…出ないな、どうしたんだろ?」


助手「後回しにして次に行きましょう」


Mr.X「そうだな」


助手「次は黒崎サナエ、大学生です。彼女は現在、交際相手のタケシという名前の彼氏がいるとの情報です」


Mr.X「おぉ、彼氏持ちなら説得できそうだ」


Mr.Xは意気揚々とサナエに電話をかけた。


サナエ「…もしもし?」


サナエは無機質な声で応答をした。


Mr.X「私だ、Mr.Xだ」


サナエ「………」


Mr.X「そろそろ家に帰りたくなってきたんじゃないかね?」


サナエ「………」


サナエはなにも返答しなかった。


Mr.X「確か君は彼氏、タケシ君がいたはずだろう?彼に会いたくないかね?彼に会うために一人生き残ってみないかね?」


Mr.Xはヘリウムガスによってハスキーになった声で説得を試みる。


声には現れてないが、ようやく見つけた説得できそうな人物に興奮して思わず質問攻めをしてしまった。


サナエ「…タケシ…」


サナエはボソッとつぶやき、そして…


サナエ「あいつは遊びだからどうでもいいんだよね」


助手「言い忘れてましたが、彼女のあだ名はビッチです」


Mr.X「oh…」


ビッチ「それに、いまはイケメンさんがいるこの島の方が楽しいし」


Mr.X「ファック!!くそビッチ!!」


助手「これじゃあ説得も無理そうですね。そういえば、さっき電話が繋がらなかったJKがどうしてるか聞いてみたらどうですか?」


Mr.X「それもそうだな。おい、クソビッチ。近くに月宮カグヤ、お前達がJKと呼んでるやつはいないか?」


ビッチ「ん?いるけど?」


Mr.X「ちょっと代わってくれ」


ビッチ「ん、いいよ。ねぇ!JK!!。なんかXさんが代わって欲しいって」


しばらくしたあと、別の女子の声が聞こえて来た。


JK「どーも、電話代わりました、みんな大好き女子高生のJKです」


Mr.X「さっき電話かけたのだが、どうして出なかった?」


JK「それなんですけどね、あの携帯無くしちゃいました、テヘペロ」


Mr.X「テ☆ヘ☆ペ☆ロ☆じゃねーよ!!」









助手「どうするんですか?。まるで説得出来てないですよ?」


Mr.X「プレイヤーは9人だろ?。あと一人残ってるだろ」


助手「あんまり期待しない方がいいですよ。最後の一人は石川哲也、89歳です」


Mr.X「89歳…だいぶおじいちゃんだな」


助手「ちなみにあだ名もおじいちゃんです。昨年ひ孫が生まれて『もう思い残すことはない』的なことを言ってました」


Mr.X「説得できる気がしない」


助手「じゃあどうするんですか?。このままだと殺し合いのサバイバルゲームどころじゃないですよ?」


Mr.X「そうだな。しかし、こうも上手くいかないものなのか…。これだとまるで誰かが殺し合いになることを阻止しようと動いてるみたいに感じられる」


そのとき、Mr.Xの黒電話から着信音が流れた。


Mr.X「なんだ?。メールを受信したのか?。…メールってどうやってみるの?」


助手「ほんとそのくらい自分でやってくださいよ」


助手は渋々Mr.Xから黒い携帯を受け取り、操作した。


助手「メールを受信したようですね。差出人は…月宮カグヤ」


Mr.X「月宮カグヤ?。月宮カグヤってJKのやつだろ?。携帯を無くしたんじゃ…」


助手「件名は『エンジェルより』ですね」


Mr.X「エンジェル?」


助手「中身は…見てもらった方が早いですね」


助手は携帯の画面をMr.Xに見せた。


メール『私がココにいる限り、お前達の好きなようにはさせない、もう誰も死なせないし殺させない。お前の望みを叶えたいのならば、私を見つけて始末してみろ。さあ、ゲームを始めよう、Mr.X』


Mr.X「…え?。これって試されてるのって俺たちなの?」


助手「どうやらそのようですね」


こうして、Mr.Xとプレイヤーたち、そしてエンジェルと名乗る謎の人物による戦いが始まった。


果たしてプレイヤーたちを待ち受けるのは帰省か、それとも寄生なのか…。


いま、Mr.Xの戦いが始まる。

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