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第二話 未来世界の野蛮なアイツ

俺の名前は、快楽寺太郎。

目覚めた場所は未来世界の日本。


ああ、近代的な街に降る黄金の雨。

久しぶりの立ち小便は、例えるならば風呂上がりのサイダー、またはサウナの後に飛び込む水風呂のような爽やかさだ。


しかし、キレイな街だが…


「…という事で、11人のブレイン達が、この日本を清潔かつ平和で健康的な世界規範となるべき未来都市に導いたのです」


なんか足りないというか… いや、足りないどころか生活感がまったくない。


「ところが、この近代的な社会を良しとしない連中がいまして…」

未来ルックとやらを着た姉ちゃんが先程から何か言ってる…。

そんなことより…。


「なあ、姉ちゃん」


一瞬スズメが輪ゴム鉄砲をくらったような顔をする女性。


「腹減らないか?」


たぶん、この女性(では何なので、未来ミラ子と名付ける)は、「ははーん、よくぞ聞いてくれました。未来社会が誇る最先端技術を見なさい!」といった感じで未来ルックに縫い込まれたウェアラブルコンピュータのスイッチを押す。


空中にスクリーンが浮かび、文字が流れ出す。


「なになに、天丼風合成食、ステーキ風合成食… すごいじゃないか!なんでも合成できるのか!」


へへんと言った声が聞こえそうな表情で、

胸を張るミラ子。


いや、おまえがすごいわけじゃないだろ。


とりあえず牛丼風というのを頼んで、ア然となった。


「さあ、召し上がれ☆」

3Dプリンターで生成されたのは、オレンジ色のカプセル。


水無しで口に含むと、カプセルの表面から潤滑ゼリーが染み出す。

気持ち悪さに耐えながら、一気に飲み込むと、うっすらと焼肉のタレ味が舌に残った。


「なんだこれは?」


怒りをこめてミラ子を見る。


「何って牛丼ですけど…」


あ、このまずいカプセルを牛丼と呼ぶか…。

「この牛丼は、人体に限りなく優しい成分なのです。過剰な塩分の摂取は…」


食べた気がしない…。

「ちょっと貸してみろ」

ミラ子の腕部分の端末に触れてみた。

操作方法は俺の中にいるあいつが知っている。

オーダーは、牛丼大盛、つゆだくだく


「そんな合成は、システムが受け付けませんよ…って…え!」


特別遺伝子コード確認。

牛丼を合成します。


数秒で禁制の品が立体化した。


「まあ、食べてみなよ。本当の牛丼を…」


「だ、だって、栄養バランスが… あ、ああ、でも… じゅる…」


ミラ子は牛丼を一口食べると、その後は加速度がついたトロッコのように牛丼にパクついた。


たぶん、すごくはしたない姿なのだろう。

でも、もう戻れない。

「身体には多少悪いかもしれない、でも私は知ってしまったんだ…。理屈に反する事の気持ち良さを…」


先程までの太郎からは感じられなかった知性がにじみでる。


ミラ子は唇にご飯つぶを付けたまま、太郎を見つめた。


11人のこの国を納めるブレイン、彼らは本来は12人の集まりであった。

それぞれにテレパシーでネットワークを構築し活動していたが、こともあろうか実はそのコアであるマスターブレインを失っていたのだ。


彼らの基本である中枢、マスターブレインは、しばらくその姿を隠していたが、なんとその反応が、野蛮行為により逮捕、拘束された男の中にあったということがわかったのは、ごく最近の事であった。

その男の名前は快楽寺太郎…。


「そう、私はあの日、この男をジャックしたのだ… しかし…」


次回予告

俺とアイツが出会ったあの日。

そこから未来世界ははじまった。


次回、「タコと二人の未来世界」にレッツフューチャワイルド!

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