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持論:書いてるのはフィクションの人間


 疑問:キャラなんて100文字あれば作れるだろ?



 ここからはようやくキャラ作成のポイントについて考えてみようと思います。


 初対面の人に面と向かって自己紹介する時、なにを話しますか?

 名前は当然として、あとは年齢/職業・所属/出身地/趣味などでしょうか?


 学生の方ならあまり馴染みないでしょうが、履歴書にはどんな項目が書かれているでしょうか?

 名前/生年月日/性別/住所/電話番号/学歴・職歴/資格・免許/自己PR/家族構成など。

 それと大事なのは、写真を貼る欄があること。


 さて。

 自己紹介でこれだけ話せば、相手にあなたという人物を理解してもらえるでしょうか?

 完璧な履歴書を出せば、会社やアルバイトに面接不要でしょうか?

 そんなワケはないです。


 そして小説のキャラクターの話になりますが。

 既に小説を書いてる作者さんは、どの程度の設定項目を定めているでしょうか?



●必須事項

 名前/性別/年齢/人種(国籍)/職業/特技/話し方/持ち物


 自己紹介や履歴書でも書く内容です。

 どんな作者さんでも、どんな物語でも、このくらいは定めて書いているでしょう。

 そして説明も不要でしょう。



●肉体的な特徴

 肌の色/髪の色/瞳の色/髪型/身長/体重/体格/スリーサイズ/顔立ち/服装/容姿の美醜 他、目立つ特徴など


 見た目にわかる特徴です。

 実際の自己紹介ならば、面と向かっているので説明するまでもなく、履歴書でも写真で補える部分です。

 見ることはできても、外見年齢と性別が実際と違う、なんてパターンもあります。

 他に、目に見えない特徴もあります。

 アルコールの強弱、視力ほか五感の鋭さ鈍さ、病気を持っている。

 更にキャラクターが現代社会の人間ではない場合、機械や魔法を使わなくても暗視能力や赤外線能力があったり、第六感的霊感や魔力を感じる力、再生能力や毒が効かないなんて特徴を持ってるかもしれません。


 絶対に必須ではありません。

 だけどキャラクター性を深めようと、そして情景描写を重視したいならば、設定した方がいいです。



●精神的な特徴】

 性格の長所・短所/趣味/癖/ポリシー/トラウマ など


 決めているようで意外と決めていない、軽視されがちな部分ですが、これが小説を書く上で一番重要です。

 特に性格は二つ以上、長所・短所を最低ひとつずつ決めるべきです。


 主人公は、どこにでもいそうな特記事項の特にないキャラクターを設定しがちです。

 しかし本当の意味で「普通の人」は存在しません。

 たとえば、道端で財布が落ちていたら? 警察に届ける? それともネコババする?

 たとえば、カラオケに行ったらどうする? 聞く専門? マイクを絶対に離さない?

 たとえば、テスト直前に遊びに誘われたら? 断って勉強する? それとも遊ぶ?

 「普通の人」でも思考回路や行動は全然違います。

 だからキャラクターの性格を定めていないと、物語でイベントが起こった時にどうするか、指針を持っていないということです。

 すると物語が進むごとに、その都度その都度でチグハグな行動をすることになりかねません。


 たとえば、ピンチに陥っているのが女の子なら助けて、次にも似たことがあったけど男だったから助けない。

 主人公がそんなエコヒイキをすれば、普通は総スカンを食らうでしょう。ピンチの度合いが違ったからとか、そんな理由づけをしても中途半端な行動をしている印象はぬぐえません。

 しかし主人公が女好きだと公言していたら? 清々しいほど男を助けない理由にもなりますし、読者に違和感を与えることもありません。



●社会的な特徴

 社会的地位/財産/家族構成・交友関係/履歴(過去の重要な体験) など


 必須事項に付随する部分が多いですが、そのもっと細かい部分です。

 社会的な身分があるのか、あるいは逆にないということもありえます。

 両親、親戚、兄弟姉妹、配偶者、恋人、子供、知り合いがいるのか。いるとすればどういう人物なのかも、物語に関わる可能性があります。


 特に大事なのは、履歴です。

 上記の精神的な特徴、そのキャラクターがそういう性格になった経緯などです。

 たとえば、幼い頃から転向を繰り返して親しい友人ができなくて、内気なったり逆に虚勢を張るようになったり。

 たとえば、獣に育てられたから対人恐怖症を持っていたり、動物の言葉がなんとなくわかったり。

 「なぜこんな風になったんだろう?」という、キャラを形作る過去はあった方がいいです。



 実際に生きる人間でも、最初に述べたように、自己紹介や履歴書だけでは語ることはできないわけです。

 架空の物語に生きる人間を作るつもりでなければ、生きたキャラクターになるはずがありません。

 キャラクターごとに詳細な履歴書を作るというマンガ家さんもいますし、ノート一冊使って登場人物を作る映画監督もいます。


 ただし、勘違いしてはならないのは、キャラクターを作るのが目的ではなく、物語を作るためにキャラクターを作っていること。

 完璧なキャラクターシートを作ろうとすると、作ることで満足してしまう場合も少なくありません。そもそも作る方が大変です。

 それに逆にあまりガチガチに決めると、遊びが全くなくなって後で困ることもあります。


 どのくらいが丁度いいのかは、その作者さん次第です。事前にキッチリ決めた方がいい人も、物語を作りながら経歴が充実していく人もいますから、色々試して合うやり方を見つけるしかないかと思います。

 ひとまず略歴でとどめるのか、詰めるのかはともかく、性格については可能な限り詳細にする意識は持っていないとマズイです。性格をなんとなくでしか決めていない作者さんは、特に。


 大事なのは、頭の中のぼんやりとしたイメージを、文章に書き出して明確にすること。

 そして現状からプラスワンする意識。

 それだけでも違うはずです。


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