持論:何事もバランスが大事ってよく言うだろう?
疑問:えー? キャラに欠点いるの? いらないでしょ?
前項で軽く触れた『共感』と『憧れ』について、もう少し深く考えてみたいと思います。
現実には完全無欠な人間は存在しません。一見完璧に見えても、誰だって欠点を持っています。
だからせめて小説の中での空想くらい、完璧なキャラクターであってほしい?
しかし完璧なキャラが完璧に振舞うのは当然のことで、最初は面白くても、やがて書く方も読む方も飽きが来やすいです。しかも書いている作者は欠点も当たり前に持っている普通の人間なので、完璧ではない言動をキャラクターに取らせて批判をくらう危険性も高いです。
しかし欠点ばかりなのも問題です。現実にどこへでもいそうなキャラで現実によくある事ばかりさせても、物語としては面白くないです。興味のない誰かの日記を見てるのと同じです。
だからキャラクターには長所と短所が必要です。ここで言っているのは性格のことだけではありません。
長所は現実にはなかなか持てない、作者や多くの人たちが持つ憧れを形にしたもの。
抜群の運動神経だったり、とある才能だったりと、他者が見ても驚くなにかに対する強みです。
短所はごく当たり前の、下手すれば平均以下の部分。
それが当人はごく普通のもの、あるいは他人は下賎なものとして扱うかもしれません。
欠点を作ることを嫌がる作者さんもいるでしょうが、だからこそ読者の共感を生むのではないでしょうか。
こうするとキャラクターのタイプは、大きく二つに分類されるかと思います。
凡人に要素をプラスする。
超人に要素をマイナスする。
この二つがキャラクターの『共感』と『憧れ』、一人のキャラの中に『読者と同じ部分』と『違う部分』を同居させた形と言っていいでしょう。
●凡人プラス型
『憧れ』よりも『共感』を重視した、主だった部分が多くの読者と同じかそれ以下で、読者と違う部分を長所として持つタイプです。
どこかにいそうな平凡(あるいはそれ以下)な人間、しかし特定の分野においては絶大な才能を持っていたり、とてつもない秘密を持っていたり、幸運な目(あるいは不運)に遭ったりする。
成績は悪いし運動はダメで青猫ロボットに泣きつくばかりだけど、あやとりと射撃に関しては天才的なナマケモノ少年とか。
叔母の家では不遇の目に遭ってて本人はそのことを知らなかったけど、魔法界では英雄視されて魔法学校に通うことになる少年とか。
数多くの作品群を見てみれば、こちらのタイプが多い気がします。
●超人マイナス型
『共感』よりも『憧れ』を重視した、主だった部分が多くの読者以上の人間、しかし読者が共感を持てる部分を欠点として持つタイプです。それも些細なものではなく、弱点と言ってもいいほどの致命的なレベルで。
よく頭脳明晰・運動抜群・性格良好・容姿端麗の完璧美少女が、料理は産業廃棄物レベルにマズイものしか作れないなんてパターンがありますが、あれに近いです。(こういうキャラって性格は凡人寄りなので『近い』で)
男キャラの場合だと、女好きというパターンが多いような。
それから神話に出てくる英雄や、アメリカンコミックのヒーローは、こっちのタイプが多い気がします。能力的な欠点だけでなく、性格的な欠点についても。
これはどちらが優れているとか、そういう問題ではありません。
好みや物語の雰囲気によって合う・合わないがありますから、その都度作者さんが選択することです。
ただ、なんとなくの感じですが、凡人プラス型は対象読者年齢が低く、超人マイナス型は対象読者年齢が高い作品に多い傾向を感じます。




