持論:キャラ単独で魅力的になるわけないじゃない
キャラクター作成の言及する前に、そもそも「どうやって小説を作る?」という部分に触れておきます。物語作成の始点は、作り方はその作者ごと、同じ作者でも作品ごとに違ったりするので。
仮に小説を三つの要素で分けたとしましょう。
①ストーリー
②キャラクター
③シチュエーション
本来ならば密接に関わっていて、簡単に分割できないですが、わかりやすくするためにここでは仮に。
そしてたとえばオーソドックスに「魔法のある世界へ召喚された現代社会の主人公が勇者として、人間の国を侵攻する魔王を倒す物語」を作ろうとした時を考えましょう。
すると作者さんが「なぜその物語を作ろうと思い至ったか」という始点が、三種類考えられます。
①ストーリー:人間の国を侵攻する魔王を倒す物語
②キャラクター:現代社会の主人公が活躍する物語
③シチュエーション:魔法のある世界へ召喚された勇者が活躍する物語
かなり単純ですけど、こんな具合です。
②キャラクターが始点の場合は、このコラムで問題として定義することは、なにもないです。
普段はやる気ないけどやる時はやる高校二年生でも、社会の荒波に揉まれたブラック企業勤続五年目の社会人でも、趣味はゲートボール年金生活中ひっそり余生を暮らす御老体でも、台所をカサカサ移動中に奥様に見つかってスリッパで叩き潰される寸前のGでも、なにかの拍子で自我に目覚めてた三輪車でも、とにかく「こんなキャラで話を作ろう」と明確なキャラ像を持ってるでしょう。
すると大まかでも、キャラに「こういう場所でこんな活躍をさせたい」という指針があるはずですから、悩むこともないでしょう。
ただし、③シチュエーションを作ってキャラクターを作ったと勘違いしている場合があるので注意を。上記例ではGや三輪車がどんな性格かなんて考えてないのだから、どちらかと言えばシチュエーションの作成です。
だから問題なのは、作品を①ストーリー③シチュエーションから作り始めた場合です。
たとえばその物語の世界は、またもオーソドックスに中世欧風なのか。
たとえばその物語の世界は、魔法工学が発達した現代社会以上のSF世界なのか。
たとえばその物語は、剣と魔法を武器に血がしぶき骸が作られるハードファンタジーなのか。
たとえばその物語は、漫才を武器に笑わせるとなぜか爆発が起こるギャグファンタジーなのか。
たとえばその物語の勇者とは、伝説の強力な武器と魔法を使える人々のことを呼ぶのか。
たとえばその物語の勇者とは、自国の兵力を消費させないために召喚された剣奴なのか。
たとえばその物語に出る魔王とは、神話伝承に出てくる魔物を率いた魔神なのか。
たとえばその物語に出る魔王とは、惑星クラスの宇宙要塞で侵攻する宇宙人なのか。
そのログライン (一行あらすじ)だけでも、雰囲気が全く異なる亜種の話をいくつも作ることができます。
そして内容によって、相応しいキャラクターは全く変わってくるはずです。シリアスで重苦しい雰囲気の物語にギャグキャラを突っ込んでも、空気をブチ壊すだけで利点はないです。
だから基本的にキャラクターは、ストーリーや世界感と同時進行で作っていくものです。
物語で描かれる世界の中で、その人間関係の中で、そのシナリオの中でキャラクターが動いていくのですから。
……となると本来ならば、キャラクターの作り方だけを取り上げようとする、このコラムのあり方そのものが間違っている事になるのですが、そこはあえて強行します。