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あ、今、僕女じゃん。(現実逃避)

 次回もまた遅れます。


 結局、ユウが知っていたことは僕とどっこいどっこいだった。


 ただ、分かった事がいくつか。


 ユウが持つ異能は一般で言う『超能力(サイコキネシス)』で、物を自在に操ることができる。ただ、操れるのは固形物のみで、水や空気なんかは操る事ができない。


 あと、ユウの目も僕みたいに目立たないけど青い。


 鼻がくっつくくらいによく見てみると、確かに青かった。


 深い深い青。群青色である。僕は明るい水色なので、いいな、とも思う。明るい水色の目なんて変だよ普通に。


 そして次の日。


 一体どこからうわさが広まったのか、黒髪で碧眼で、美少女(苦笑)である僕を、見に来る同級生、上級生。


 一人の上級生が入ってきて人前で堂々と僕に告白したときは驚いた。


「あなたの事がずーっと前から好きです! 付き合ってください!」

「あの、今日が初対面だと思うんですけど……」

「ずーっと、ていうのは一分前の事です!」

「いや、でもあの、僕男と付き合うとか、そういう趣味はないんでちょっと……」

「そうです! 桜ちゃんは私のものです! 桜ちゃんは女の子、ひいては私にしか興味がないんです!」

「話をややこしくしないで!? 僕が男と付き合う気がないのは事実だけど、―――」

「ほら、男の子と付き合う気がないって言ったじゃないですか!」

「いや、僕女ともちょっとな、と」


 と、そこで僕のクラスの委員長の女子が口を開く。おお! 言ってやって! 僕に百合趣味はないって!


 あ! 僕女である事に順応してきちゃってる!?


「昨日の話ですが」


 うんうん。昨日何?


「私はそこの二人―――鹿河さんと彦根さんが手をつないで帰ったのを見ました」

「話をややこしくする悪魔がここにもう一匹―――!?」

「そうか。男に興味がないなら仕方がない、か。なら、俺は引くことにしよう。末永くお幸せにな、お嬢様方」


 無駄に格好良く背中を向けた状態で左手を振りながら退場。


 残されたのは委員長と、満面の笑顔のユウ。


 僕に明日は無いかもしれない。


          ☆☆☆


 そして事態が収拾されたのは彦根先生(僕の姉さんのことね)がやってきたときで、僕の胃に丁度穴が空きかけた時だった。


「桜! お姉ちゃんを捨てて違う女に走るのね!? 昨日あんな事やこんなことやそんな事やどんな事もしたじゃない!」

「また話がややこしくなるからもう喋らないで―――!! あ、別に何もしてないから! ほ、本当だからね!?」


 クラスメートの好奇の視線が突き刺さってきたので、慌てて弁解する。


 ちょっと詰まったせいで余計にあやしくなったことはやむをえない……。


          ☆☆☆


 放課後。


 もう、僕が百合少女である事は周知の事実となってしまった。


 もちろん違うんだよ!?


 違うったら違うんだからね!!!!!?


 昇降口の下駄箱で靴を履き替えようと自分の下駄箱をあける。


 すると、手紙が入っていた。


 なんとまあ古風な。


『話があるので、放課後に一年棟の屋上に来てください』


 手紙には、こう書かれていた。


 ついに来たか。憂鬱な気持ちを引きずりながら、律義に階段をのぼり屋上に行った。



 屋上のドアを開けて真ん中くらいまで行ってみるが、誰もいなかった。


 キョロキョロと辺りを見回す。


 すると、ドアがしまった。


 勝手にしまったわけではない。


 屋上のドアがあるところのドアの上から飛び降りた男子生徒達が手で押さえてしめているのだ。


「なあ、おまえ、転校早々結構目立ってるらしいジャン? よし、お前、俺の女になれ」


 複数の男子生徒グループ。


 皆、頭の悪そうな顔をしている。


 その中の一人の男が声をかけてきた。


 答えはもちろん。


「すいません無理です」

「アァ!? この学校で宇津木さんの言う事を聞かなかったらどうなるか、分かっちゃいないようだな!?」


 うわ、言葉に知性が無い…。


 家が恋しい。


 というか、何でこんな時に限って、いないんだ、ユウ!!


 陸上部なんかぶっちぎってこようよ!


「まあ、待てよお前ら。桜ちゃんはなァ? 転校したてで俺のことをよく知らないのサ」

「なら、俺達が教えてやりますよ!」

「いんヤ、俺が直接教えるからいいヨ」


 宇津木、だったか、そいつはおもむろに僕のほうを向いて歩いてきた。


 後ろに後ずさるも、すぐに柵にぶち当たった。


「さァ? 逃げないでおくれよォ?」

「い、いや!」


 まるで女みたいな悲鳴が出た。


 あ、今、僕女じゃん。(現実逃避)


「さァ! おとなしくしてもらおうジャン!」

「ヒィ!」


 ガシャン!


 僕の両手を取って、僕の頭と同じくらいの高さまであげて柵に押し付けてくる。痛いよ!


「お前、綺麗な目してるジャン?」


 ゾワッ!


 全身に鳥肌が立ち背中をつめたい汗が流れた。


 瞳を強く瞑る。


 もう、目を開けていたくなかった。


 涙が流れたのを頬の皮膚が伝えてくる。


 でも、目を閉じたままにしていると何をされるか分かったもんじゃないので、恐る恐る目を開く。


 すると、宇津木の顔が、主に唇が、僕の唇と重なろうとしていて――――


 嫌だ! 嫌嫌嫌々嫌嫌嫌々厭々厭厭嫌嫌嫌嫌嫌! 嫌ーッ!


 嫌

  嫌嫌嫌

        嫌嫌嫌嫌嫌嫌

      嫌嫌嫌嫌         嫌嫌嫌嫌  


           嫌だ!

               嫌嫌嫌嫌嫌嫌


                            嫌嫌嫌嫌嫌嫌

                     嫌ーーーーーーーッ!!!








 ふいに。


 屋上を吹く風ですくい上げられた僕の髪が淡いピンク色をしているのを、視界の端にとらえる。


 そして、宇津木が燃えているのも。 


 更に、取り巻き連中も燃えている。


 いや、屋上全部が燃えている中、綺麗に僕を中心に半径一メートルは燃えていない。


 そして、炎が赤く紅く瞬き、ついには宇津木たちが解け始めた。


 そして、蒸発する。


 僕の炎は燃やすものを灰の状態でもこの世に残ることを許さないようだ。


 僕の炎が消えた時、屋上には何も残らなかった。


 燃えた形跡も、宇津木たちも。


 かろうじて残ったのが、ごっそりとえぐれ、溶け、捻じ曲がった屋上と、そして、無傷の僕。


 どうやって、ここからおりたら良いんだろう。


 僕の周囲半径一メートルだけ燃えていない無傷の場所で、僕は、そんな事を思った。


 宇津木たちのことを考える余裕は、無かった。





 えーっと、この続きどうするかは、ね? ちゃんと考えてますって!


 一応!

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