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……………!(赤面中)

 久しぶりのこっち投稿。


次もまたこれらい空くかなー、と思います。

 

 そういえば、朝家で父さんが言ってたことを思い出す。

 

 家を出て行こうとしていた父さんに、ふと気になって聞いてみたのだ。


「ねえ、前々から気になってたんだけどさ、父さんって、何の仕事してるの?」


 靴べらを駆使し(誇張表現)、革靴を履いていた父さんはわざわざこちらを振り向いて答えてくれた。


「ああ、桜は知らなかったか。父さんの仕事はな、宇宙飛行士だ」


 一瞬、否、数瞬、我が耳を疑った。


「えーっと、なんと仰いましたか、お父様」

「だからな、父さんは宇宙飛行士なんだ。JAXA、ってきいたことあるだろう?」

「ッ! ある!」

「父さんは、宇宙飛行士なんだ、分かったか?」

「うん!」


          ☆☆☆


 教室を見回して、一度大きく息を吸う。


 耳に血が集まり、赤くなっているのが分かるが、長い黒髪で隠す。便利便利。


「えーっと、彦根桜です。母さんは専業主婦、父さんは―――宇宙飛行士―――です」


 教室中が、静まり返る中、姉さんの笑い声が唯一聞こえる音。


 ????


 なにか、やらかした??


 ? と、首を捻っていると、いったん落ち着いたのか、姉ちゃんが言う。


「あのね、桜。父さんはね、宇宙飛行士じゃないよ。ゲームクリエイト中津っていうゲーム会社に勤める普通のサラリーマン。桜は、多分、騙されたんじゃない? 父さんに」

「ッ!?」


 僕は、激しく赤面した。


「それじゃ、さく、アヒッ、桜ちゃん、うはは、そ! そこの、あいてる、にゃはハハ、席があるから、、うふふ、早く、座っちゃいなさい。あはははははっはははは」

「ちょっと、笑いすぎじゃない!?」


 駄目だ、僕の心が折れそうだ……。


 羞恥に耳まで染まる。(二回目)


 とりあえず、指示されたとおり、空いている席に座る。


「いや、そこは今いないけど、鹿河さんの席だから。桜ちゃんの席はもう一つ後ろ」


 教室中が笑いの渦に包まれる。

 

 よく見れば机の横には手提げ袋、机の中には教科書が突っ込まれている。


 きゅ~。


 僕は、激しく赤面した(通算三回目……)。



          ☆☆☆


「あの、わたしは、鹿河遊莉(しかがわゆうり)っていいます。えーっと、よろしくお願いします」


 朝、登校中に僕を襲った女の子。


 彼女は、僕が間違って座った席の本来の持ち主であったようだ。


 今日の朝にいなかったのは、朝僕から逃げた(?)後走りすぎて道が分からなくなった、らしい。   

 朝、君さえちゃんといれば…ッ!


 内心ではそう思うものの、表面には出しません。


「えっと、僕は彦根桜。専業主婦の母さんと、意地の悪い父さんを持つ普通の高校生」

「なんか、大変なんですね…?」


 その優しさが今は身に染みます…。


 だめだ、涙が出てきた。


 しかし、それを悟られまい、と、若干うつむき気味になった姿勢から視線だけを上げる。


「うっ!? それはわざとですか! 狙ってるんですか? だとしたらテイクアウトOKですか? 持って帰っていいですか?」

「えーっと、何が? 僕、何かした? 言って、直すから」

「いえいえ、直さなくて良いです! むしろずっとそのままで! ずっとその涙目+上目遣いのままで! 私は今日死んでもいい……。ハッ!? いや、桜ちゃんに何かするまでは死にませんよ!」

 

 何をするっていうんですか……?


 でも、何故ここまでうろたえているか分かったので、とりあえず涙は拭い、顔を上げる。


 命(+それ以上の何か。……貞操?)の危機を感じた……。


 鹿河は、残念そうな表情を浮かべていた。


 僕の知ったことか!


 最近忘れてる気がするけど、僕は女が嫌いなんだ!


 もちろん男が好きってわけでもないけどね! むしろ男と比べるなら女の方がましだ!


 でも、僕の性別のことになると別、女は嫌だ! 絶対男に戻る!


「わたしのことは、普通に遊莉って呼んで下さい。わたしは、桜ちゃんって呼ばせてもらいますので」

「え、いや、あの」

「あ、遊莉が嫌なら、ユウでもユウちゃんでもなんでもいいですよ?」

「……えっと、ユウでお願いします」


 僕は、鹿河―――改めユウ―――には逆らえないのかもしれない。


 そう、思った。 


 それに、彼女は僕の知っている女とは違う生き物の気がする。


 僕は、ユウになら心を許しても良いかもしれない、とさえも思った。


          ☆☆☆


「桜ちゃんは家はどの辺りですか? わたしは桜ちゃんの家を通った方が近いので、一緒に帰りましょう?」


 待て待て待て。


 なんで僕の家を知らないのにそんな事が分かるの!?


「もし家が反対方向でもわたしは桜ちゃんと家に帰ったほうが精神的に近いです。さっき悟りました」


 凄いや! ユウが何を言っているか僕には全く分からないや!


 僕の家の方向を教える。


「良かった。それなら別に回り道しなくてもわたしの家に帰れそうです」

「ユウの家はどこなの?」

「桜ちゃんの家を真っ直ぐ行ってすぐくらいです。多分、毎日通ってます」


 なんだ、ご近所さんか?


「じゃあ、一緒に帰ろうか。―――話したいこともあるし」

「話したいこと!? まさか、愛の告白ですか!? わたしは全然おーけーです! むしろ今からでもおーけーです! 食べちゃえます!」


 僕の、貞操が危ないかもしれない……。


「違うよ! ……今朝のこと。当選者について、ユウの知っていることを教えてくれないかなー、と思って」

「なんだ……。残念です……。あ、でもでも、桜ちゃんがその気になったらすぐに言ってくださいね!? わたしはいつでもおーけーですので!」

「いや、そんなことより当選者の事なんだけど…?」

「ああ、ハイ、そっちもちゃんと話します! さあ、帰りましょう、桜ちゃん」


 そっち()、を筆頭に気になる所もあったが。


 ……なんか、もういいや。


 僕は、何故かユウに手を取られ、そのまま手をつないで帰った。


 不覚にも、ドキッとしてしまったのは、内緒。


 ユウも、見た目だけはとても可愛いのである。


 心は男のままの僕から見て、この評価である事を、念のために、付け加えておく。


 ……女ってのは、手をつないだりして帰るものなの?


 元男(しかし男に戻る事はあきらめていない)である僕には、分からなかった。


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