3 :Parasitism
「・・・はははははは。いいぞ。気に入ったぞ。」
武之は俺の手を広げた。
指先が割れ、あの武之の紐が顔を覗かせていた。
「さ、卓哉に変わるか。」
武之は目を閉じた。
「・・・んっ・・。」
俺は目を開ける。
身体のいたる所が軋んでいる。
・・・ピキッ
俺の腕に亀裂が入った。
腕の皮が割れ大量の紐が出て来た。そして、紐は人型を作った。
あの、武之の顔を。
「どうした?そんな驚いた顔をして?」
「お前は誰なんだよ。」
「俺は人間じゃねぇよ。寄生虫だ。ははは。俺はな、生きる為に武之に寄生したのさ。お前と同じやり方でな。」
「・・・消えろ貴様!」
「案ずるな。俺は直に消えるさ。お前の精神と合体したらな。」
「・・・・ぐっ。」
「離れろったて、乗り移ったんじゃなく融合したんだから無理だぞ。」
「感じるだろ?お前の肉体が獲物を欲しがってるのを。俺が、お前の額に触手を刺すと完成なんだよ。お前の精神と俺の精神が合体してな。」
次の瞬間、触手を額に刺した。一気に武之、いや寄生虫の感情が流れてきた。
「うわぁぁああああ!!!」
俺はニヤリと笑った。
「・・・ボディレンタル契約完了・・・。」
小さく呟いた。
グラデーションが黒と赤になり、木が赤く染まる。
烏がカァカァ鳴いている。
山の丘には両手を腰に当て、
回りの景色を眺めながら妖しい微笑みをする卓哉の姿しかなかった。