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クローバー:コード  作者: 坂津狂鬼
ファイナルラウンド
59/68

最終戦

「……おい、カス。どうだった?」

待合室に戻ってきた俺に鋼凪は訊いて来た。

どうだった、と言われてもどう答えたものか……。

まあ《禁思用語》は結局、協力してくれると言ったわけだし上々だとでも答えておこう。

それよりも。

「虎杖、枯峰がいるところを探してくれ。もう討つ」

仕掛けはあと一つ。もう居場所を探って直接叩くだけだ。

「もう《絶対規律》に会うんですか?」

「あぁ、元から早めに会う予定だった」

「分かりました、ちょっと待っててください」

「鋼凪、ちょっと」

「何?」

虎杖が《非観理論》で調べ上げているうちに鋼凪を呼び出し、最後の仕掛けを済ませる。

これで完璧。《絶対規律》は確実に、倒せる。


「――――分かった」

「それじゃあ頼んだ。虎杖、調べ終わったか?」

「えぇ」

鋼凪に話終えた後、調べ終わった虎杖から枯峰の居場所を聞き出す。

「で、あの野郎はどこにいるんだ?」

「病院です。ほら、鋼凪が入院してたあの病院」

「また何で?」

「どうもそこで、心臓移植の手術を行ったからっぽいですけど……わざわざコードを使って病院内の人たちを排除することまでしてるみたいで」

「好都合だ。虎杖、ありがとう。今すぐ潰しに行ってくる」

そのまま診療所を出ようとしたが、その前にもう一度鋼凪に釘を刺しておく。

「鋼凪、本当に頼んだぞ?」

「分かってるって、カス」

笑顔で罵声を浴びせてきた鋼凪に若干ムカつきながら、それでも優先事項があるために診療所を出て、枯峰と千秋の元へ急ぐ。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


「待たせたな、枯峰」

日も暮れ始め、人気がまったくと言っていいほどない病院内はまるで廃墟のような雰囲気すら感じられる。

そんな院内をしばらく探索し、2階の大きく広い廊下にて俺は枯峰と対峙した。

40……いや、50代くらいの男。顔など一度も見た事はないがただ気配で勘付いた。

そもそも誰もいないはずの院内に居ていいのは、俺と千秋と枯峰だけだ。

「……どうやら、条件通りに独りで来たみたいだね」

「何が条件通りだ。コードで俺以外入れないようにしてあるんだろ?」

「そうだとしても最低限《干渉不可》は連れて来れたはずだろ?」

「どうせ、この病院内にアイツのアパートの大家でもいるんだろ?」

「よくご存知で。それも《非観理論》を使って調べさせたのか?」

「鋼凪にあの婆さんを病院まで運ばせた。どこという指定はしていない。だからどうせあのバカは自分が通ってた病院を一番に思いつくんだろうなぁと思ってな」

「そうか。《否定定義》がわざわざ手間を省いてくれたのか」

俺は服のポケットからしおりと写真を取り出し、枯峰に見せる。

「これ、なんだ?」

「条件とお前が言っていたボーナスというやつだな」

「これでお前から出された全条件は達成された」

そう言いながら、俺はしおりと写真を同時に破く。

これで《非観理論》《干渉不可》は敗退した。残りは、《虚実混交》《異見互換》《絶対規律》の三名だけ。

実質、俺と枯峰。どちらが勝つかの問題だけだ。

「まあだがしかし、何故お前は濁川千秋から会ったら殺されるという話を聞いておいて私の前に現れた?」

「あぁ、別にお前みたいなおっさんに殺される気なんてまったく無いからな」

「《禁思用語》を復活させた瞬間、一安心か」

「…………チッ」

知られていた。《禁思用語》が生き返った事を。

宇津木陽菜もバカじゃないから対策はしてあるが、宇津木を殺すことよりも言葉の何を封じられたか確かめたはずだ。

やり方は簡単。ただ言っていけばいい。俺に関することや千秋に関する事、自分に関する言葉を。

そして言えない物がコードで封じられた物。そこから逆算して俺の策を暴く事もできるだろう。

だから、《禁思用語》に封じて貰うのは二語だけにしてもらった。

どうせ大量に封じて、会ったらすぐ殺せるような状況を作ったとしても《絶対規律》でまた他の対策をされるだろうから。

「案外、俺の策はお前に全てバレてるのかもな。枯峰」

「全てでは無いだろう。お前は相当小賢しい少年だと思っているからな」

「大当たりな見解だよ、この野郎」

そう言ってもう一度、服のポケットに手を突っ込み、ペンダントのような物を取り出す。

「なぁ枯峰。俺のコードの性質は知ってるよな?」

「誰かに信じて貰わなければ発動すらしない。それがどうした?」

「だから信じてくれよ。これの(,,,)ペンダントが(,,,,,,)俺の(,,)大切な物(,,,,)()。こっちの方が分かり易くて壊しやすいだろ?」

「ふっ……せめてもの抵抗か。その真偽を私が測りかねない故に、それが偽物であれ本物であれ事実を塗り替えるわけか」

「true or false。どっちを選ぶんだ?」

「信じよう。その(..)ペンダントが(......)お前の(...)大切な物だ(.....)

「あ、やっぱり。放送の時に絶対規律って前につけてたのはブラフだったんだ」

「……それを探るためにわざわざ塗り替えたのか。ご苦労だな」

「そりゃまあ、無意味な事はしたくないんでね。今の行動は二重の意味を持ってんの」

さてまあだが、これで俺の大切な物はペンダントとなり枯峰の眼前に晒された。

枯峰の大切なものも、晒されてはいないがどこにあるかは明確となっている。

先に殺せるか、先に壊されるか。

ただそんな数十秒にも満たない賭けが、始まろうとしていた。

最終戦というサブタイなのに戦ってない。所謂これがタイトル詐欺というものか!

といわけで数十秒にも満たないってことは次回で決着ついちゃうっていうネタバレなんですけどね

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