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クローバー:コード  作者: 坂津狂鬼
セカンドステージ
45/68

部分観測

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


「……ベクシュンっ!!」

人生詰んだ。ワザとやってるとしか思えない。もしかして嵌められたんじゃないか?

嵌められてないんだとしても、僕にはあの不思議な容姿の先輩のお守は無理だったんだ。一輝先輩は本当、凄いな。

まず経過から言えば、僕らが移動し始めた時にはすでに検討した策通りに相手が動いていた。

廊下を出た途端に聞こえてきた足音に対して、一応は隣のクラスに移り、千秋先輩をロッカーに押し込んで息を潜めていた。

僕自身は《非観理論》で誰かに見つかる心配はないから一応外からロッカーを押さえつけていた。千秋先輩が何かやらかすような気がしたからだ。

そしてその予想も的中。静寂している教室や廊下によく響くクシャミをしてくれた。

それもテロリストだと思われるアサルトライフルのような物騒な物を持ってる二人組が丁度、僕たちが隠れた教室を詮索している時に。

絶対にワザとやってるとしか思えない。どちらにしろ詰んだ。

僕は見つからずにやり過ごせるが、千秋先輩は見つかってしまうだろう。

そしたら当然、殺される。殺されたら必然、僕は安全な逃走経路が分からない。

いやでも《非観理論》を常時使用して、常に誰にも観測されないような状態を作ればどうにか逃げ出せるんじゃないか?

……ダメだ。どちらにしろ相手のコードによって誘導される可能性がある。

そして相手に誘導されたとしても《異見互換》があれば最低限、人が待ち伏せしているような罠系統は回避できると。

今隠れれば後々自分が、今姿を現せばすぐにでも自分が、標的として銃弾を撃ち込まれる。随分と世界は僕の都合の悪い方へと転がっていってるわけか。

――――なら、試してみるか。一輝先輩の案。対観測制限の案を。

あれも一か八かではあるけど、どうせこのままだと僕死んじゃうし。これほど試す為に用意された状況はそうないだろう。

テロリスト二人組はそれぞれ片腕を動かし互いに合図を送って、ロッカーに近付いてきている。

チャンスは一度たりともない。失敗すれば死。成功しても状況を逆転できるとは限らない。

ただ、成功すれば一度ばかりかは死を回避できる。つまり死なない。

僕は少しばかりロッカーから距離を取り、二人組がちょうどそれぞれ待機場所に着いた時に。

ロッカーから少しばかり遠い位置にいた一人に向かって全力でタックルする。

僕の姿はコードによって誰にも見えない。何人たりとも僕を観測できない。

だからテロリストの一人はいきなり姿勢を崩され、一人分の体重が追加された状態で床に倒れ込むように後頭部を打つ。

このままもう一人へ追撃を行ってもいいが、それだといずれ銃を乱射でもされて流れ弾が僕に当たる可能性がある。

それじゃダメだ。しっかりと僕を狙って撃ってくれなければ。

床に倒れて唸っているテロリストの一人から蹴るように距離を取ると同時に、僕は姿を現す。まあ正確には見えるようにするだけど。

普通なら突然のことで多少は驚くはずなのに、もう一人のテロリストはそんな暇なくアサルトライフルっぽい銃を僕に向けてきた。

「床に跪け」

そう言いながらテロリストは銃口で促してくる。

何故、撃たない…………あ、そうか。僕を殺したところでゲームのルール上では僕は敗退にはならない。僕が大切にしている物を壊さない限り、敗退とはならない。

だから僕を誰かに殺させるわけにもいけない。ということは命令したのは捕縛。

そして僕が命令に背いた場合は、頭や胴体は狙わずに、脚や肩を狙うっていうわけか。

「いやだ」

そう返しながら、観測の準備へと入る。

一輝先輩の案は、部分観測、というものだ。

内容もそのまんま。一部分だけを観測する。それも観測した事象に干渉しない部分を。

一輝先輩の観測の捉え方は所謂、動画と静止画の関係だ。

僕が今までやってきた事象観測は動画で、今からやるのは静止画。

銃口がどこに向けられて引き金が引かれ銃弾が発射しその結果どうなるか、を観測するのではなく、引き金が引かれた時の銃口がどこに向けられているか、のみを観測する。

それのみなら《非観理論》の制限に阻害されない。そう一輝先輩は言っていた。

だが、その言葉には確証などなく成功するかどうかは一か八か。

まあ失敗してしまえば、もうそれでキッパリ諦めて死でも痛みでも何でも受け入れた方がいいだろう。

脳へ直接、情報が流れ込んでいく。その流れを途中で止める。

結果、得たいものは得られた。これから少し先のアサルトライフルの銃口の向き。

さて……もう観測してしまった。退路はない。この先にあるのは死か成功のみ。

「ッ!?」

そして、それだというのに僕の体は動かない。

この感触には覚えがある。行動、言動などの手段をもってし観測した事象に干渉させないための制限。その感触。

体のどこも動く事はない。その場に縫い付けられた感覚だ。

つまり…………失敗。

相手が観測通り、銃口を僕の右すね辺りに向ける。

どうでも良い事だが、どうもアサルトライフルというと連射のイメージが強い。もしかしたら僕の脚向かって弾丸を連射するって事はないよな。

そんな僕の心配をよそに、テロリストは引き金を引く。

どうやったら、文章って上手くなるんでしょうかね? やっぱ才能かな?

だとしたら才能がほぼ皆無の俺には絶望的な感じですよね。

はぁ…………。

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