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クローバー:コード  作者: 坂津狂鬼
ゲームスタート
20/68

撤退

《完全干渉》により《否定定義》が敗退。彼女がこのゲーム初の敗者になった。

…………想定通り、計画通り、全て俺の思惑通りに動いている。

これによって高リスクだった《否定定義》と《非観理論》の片方は敗退。それも敵によって。

それはつまりこれからも鋼凪の協力が得られるということ。

例え俺が鋼凪からしてみれば外道なことをやったとしても、アイツが俺を敗退させることはゲーム上叶わなくなった。

このまま虎杖も敗退させたいが、まあ、限度ってものは大事だよな。

ボーナスを狙うんだとしても優先順位は《完全干渉》だ。

アイツは虎杖を敗退させた後、俺たちも狙いにくるはずだ。それはとてもリスクが高い。

俺がこのゲームで残るためには優先的に潰さなきゃいけない相手だ。

さて、息巻いて勝手に戦いに行った二人組を救ってあげましょうか。

まずは散々悲鳴を上げたり、絶叫したりして泣き疲れて死んだ目をしている鋼凪から。

「―――――ッ!」

俺が指を弾くと、天井が消え、《完全干渉》の上に大量に色々な物が降ってくる。

まあ、《完全干渉》はさぞ驚くだろう。

自分を中心とした半径20メートルが干渉範囲ということは、つまりは天井のさらに上、次の階の床まで干渉できる。

それなのに、今の今まで無かったはずの物が大量に自分の元に落ちて来るんだから。

つまりそれは今まで処理してこなかったもの。

ほんの一瞬だけ、《完全干渉》は処理負荷によって反応が遅れるはずだ。

まあ処理負荷が掛からなくても、奇襲に対しては人間誰しも驚き反応が遅れてしまうものだ。

その一瞬の隙を狙って俺は姿を現し、鋼凪に触れる。

今までに一度でも鋼凪の体に触れた事があれば(救う気はないけど)一応救えたのだが、残念ながらこれが初タッチである。

これによって、鋼凪は《無影無綜》によって隠せる物の対象となった。

《無影無綜》によって姿を消し隠されたものには干渉できない。それも証明済みだ。

鋼凪と共にコードと共に姿を消し、俺はその場から逃げ出す。

順当な判断だ。鋼凪を今この場で回収するのはリスクが高いし、わざわざ鋼凪たちが《完全干渉》の相手をしているうちに罠を仕掛けたんだ。

そこまで誘導してやらないと、敗退した鋼凪も密かに努力した俺も報われない。

取り敢えず、一度虎杖と合流しておきたい。

まあ千秋に先程、俺のメールを転送してもらったから……まあ虎杖の精神が少しでも正気を保っていたら指定した場所に来るはずだ。

取り敢えずそこまでダッシュだ。ダッシュ、ダッシュ、ダッシュ!



「よう虎杖。気分はどうだ?」

「……あまり良くないです」

俺が集合場所、特別教室棟3階の一室に来た時にはもうすでに虎杖が居た。

「鋼凪は?」

「さっきの場所だ。俺のコードで隠してあるから《完全干渉》に何かされる恐れもない」

「…………何か策はあるんですか? 僕の予知は使えないし」

「使う必要なんかない。これ以上長引かせるつもりもない。一瞬だ。一瞬で《完全干渉》を片付ける」

「片付けるって……こっちはもう二人とも隠れる事しか出来ないんですよ」

「充分なんだよ。《完全干渉》ごとき、それだけで充分だ」

ごとき、は少し言い過ぎだが。

《非観理論》と《無影無綜》とさっきの奇襲と相手が人間であるっていう四つの条件が揃えば《完全干渉》は俺の策で討ち取れる。

「一応聞いておくが、お前は《完全干渉》の大切にしてる物を知ってるよな?」

「えぇ」

「それの材質は何だ? 金属類か? プラスチックか? 紙か?」

「紙ですよ」

「なら……これだ」

俺は虎杖に、ハサミとカッターを渡す。

「これでジョッキとやれ。そうすればあっちの負け、《完全干渉》は俺たちに手出しする事が叶わない」

「……これ、どこから?」

「盗むのは得意なコードなんだ」

特に深い説明をせずに、曖昧な回答で返す。

「これを持って、お前は待機場所へ行け」

「一輝先輩は?」

「俺はここで《完全干渉》を待ち受ける」

「…………分かりました」

「おいおい、反応悪いな。『そんなの危険過ぎます!』ぐらいは言ってくれてもいいんだぜ?」

「策の内なんでしょ? なら文句は言いません」

「あら、随分大人しい。鋼凪に見習わせたいくらいだわ」

苦笑いをしながら、虎杖は部屋を出る。

……まあ、ちょっと鋼凪のことでショックを受けてるんだろう。

《非観理論》は攻撃的なコードじゃない。助けたくても助けられなくて、当然なのだ。

だからあまり気にしないほうが良いんだが……まあ俺の策の問題にならないから放置だ。

しかしまあ、少しばかり苛立つな。《完全干渉》の奴。

鋼凪にコードを使わせないために痛みを与えたのは分かるが、あそこまで恐怖を植え付けるようなことをしなくたっていいだろうが。

…………ムカつく。ああいう壊し方が一番ムカつく。

思い出して、喉元噛み千切ってぶち殺したくなっちまう。

まあそんな苛立ちは、奴の驚く顔を見て、晴らすとしよう。

「ようこそ、《完全干渉》のコード使用者」

教室に入ってくる男医師の姿を見ながら、俺はそんな事を言ってみた。

さぁ、次で《完全干渉》戦は終了。

つまり序盤戦が終わるわけですよ、早いですねぇ~。

全然書いたような気がしないですよ。月日的に。

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