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クローバー:コード  作者: 坂津狂鬼
序章
2/68

s2

「一輝、これシーチキンじゃないツナマヨ」

1時間近く朝の街を散歩し、コンビニで立ち読みをして、計二時間近く外に出てた俺が最初に言えに入ってから30秒後に言われた一言だ。

「別にツナマヨもシーチキンも変わりないだろ」

「変わるよ。大きく変わる。産業革命レベルで変わる」

絶対に大袈裟に言ってやがる。

「つーか、そんなに文句言うなら食うな。代わりに俺が食うから」

「一輝に食われるくらいならゴミとして捨てられた方がマシってツナマヨが言ってる」

ツナマヨは喋りません。

俺は溜息を吐きながら先程から文句を言ってくる主の方を見る。

腰まで伸びきった銀色の髪、左右で瞳の色が違ういわゆるオッドアイ。右が青で、左が黄色……じゃなくて琥珀色だっけか。

ともかくそんな日本人と言う枠組みを超えている容姿をしている少女。

名前は濁川千秋(にじかわちあき)。戸籍上は俺の義理の妹ということになっている。

まあ、なんやかんやコイツとは付き合いが長いから義妹と言うよりかは幼馴染や親友とかの部類に入る気がする。

仕方が無く、俺の義妹である感じだ。仕方が無く。

そんな銀髪少女は散々文句を言っていたツナマヨおにぎりを一口で頬張り、口元にご飯粒を付けるという定番の絵面になっていた。

…………これを教えずに学校で恥をかく義妹の姿を見たいという悪意を持って何が悪い、いや悪くない。

「ん? 私の顔に何か付いてるの?」

あまりに俺が長い間千秋の顔を見ていた為、反射的にそんな事を訊いて来た。

「お前のその色違いの目はいつ見ても不思議さを感じるな、て思ってたんだ」

「他人が気にしている事をさらりと言う。一輝って本当にデリカシーが無いよね」

「生活力が無いよりかはマシだ」

大体、二日前までゴミ屋敷だったこの家を一般生活が出来るレベルまで掃除してやったのは誰だと思っていやがる?

俺だぞ、俺。

到着早々この家の惨状を目の当たりにした俺が、寝る間も惜しんで二日間!

カビやらゴキブリやら異臭やら何かよく分からないキノコやらを撃退して、やっと終わったと思ってソファに横になったらいつの間にか寝ていて、体の節々が痛く、それでも朝食をと思って冷蔵庫を開ければ中身が無く、仕方が無くコンビニへ行ってる途中にシーチキンおにぎり買って来いと言われた上に、買って来たらツナマヨだと文句を言われたこの俺の感情が分かるか!?

銀髪でオッドアイだからってお嬢様でも無いお前が料理、掃除、洗濯やらの家事全般が出来なくて良いわけにはならないだろうが!

そもそも何なんだよ! 掃除をしている時だって!

近所の方々は『あらカメラは何処なの?』って完全にテレビの特番とかで掃除していると勘違いしているし!

そのまま立ち話を続けてこっちの作業を遅らせるし! こっちの人員は独りなんだからわざわざ掃除してるときに邪魔すんなよ!

っていうか有名なゴミ屋敷にすんなァア!!

「……一輝、全部口から出てるよ」

「お前に聞こえるように言ってたんだよ!」

このダメ人間精神満点の銀髪女がっ。

俺の自分用に買ってきた鮭とシーチキンと昆布のおにぎりを数十秒で食い終わり―――、

「ちょっと待って! 今シーチキン有ったよね!?」

「黙れよ銀髪。一々細かい事にうるさいんだよ」

「細かいって言うか、わざわざシーチキンがあるのにちぃにツナマヨ与えたの!?」

「その自分のことをちぃって呼ぶ癖をいい加減直せって言ってんだろ。ガキじゃないんだから」

「ガキとかガキじゃないとかそういうの関係無いよ! ちぃのシーチキンを取りやがって、吐け!」

殴りかかろうとする千秋を片足で押さえつけながら優雅にお茶を飲む。

よし、朝食も取ったし、真面目な話でもするか。

「おい千秋。本当に居るんだよな?」

「……居るよ。間違いない。確認した」

両手をブンブンとアホのように振り回すのを止め、千秋が答える。

「三人だっけか?」

「二人に減ったよ。《否定定義》と《非観理論》が協力して《完全干渉》を倒したからね」

「それぞれの名前は?」

「《否定定義》は鋼凪梓美(こうなぎあずみ)。《非観理論》は虎杖(いたどり)紀亜(きあ)。その両名とも、今日から一輝が通う高校に居るよ」

「知ってるさ。だからわざわざ俺はそこ高校に転入するわけだしな」

もう一口お茶を含ませた後、俺は面倒臭そうに言う。

「……《完全干渉》はもう反応無しなのか?」

「案外そうじゃないんだよね。面白い事に」

「何が面白いんだよ」

ニヤニヤと不快な笑いを浮かべる千秋に俺は問いかける。

「まずは《非観理論》だけどね、使用者ユーザーが途中で変わってるんだよ」

「どうやって?」

「前使用者の日記帳……正確には記録帳を見たら、簡単に次の使用者になっちゃったの」

「それが《完全干渉》にも起こってると?」

「そんな感じかな? ちぃにも詳細はよく分かんないから」

「使えない女」

「酷ッ!」

「そんな事より、もうそろそろ準備しないと学校に遅れるぞ」

「あぁ、本当だ」

慌ててどこかに行った千秋。

俺はと言えば、そんな千秋の無鉄砲な行動を「バカだなぁ~」なんて思いながらゆっくりとお茶を飲んでいた。

…………って、何で俺はそんなに優雅に過ごしているんだよ!?

俺、今日が初日だからいつもより早く出なきゃいけないんじゃないのかよ!!

残っていたお茶を流し込み、バカにしていた千秋と同じ行動を取っていた俺がいた。

あらすじ書かなきゃいけないよなぁ…………

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