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クローバー:コード  作者: 坂津狂鬼
ゲームスタート
15/68

直前回避

引き続き、保健室にて。

出血はせず、どうにか二人とも生き残っている。

しかしそろそろ外に出なければ、鼻から出血されてしまう。

それにしても虎杖の奴、一切表情は変えずに鼻だけ押さえて……ムッツリか。

「ムッツリとかそういうのどうでもいいでしょ」

まあそうだけども、こういう覗きをしているのに表情を変えないのは不気味だぞ?

「覗きをしたくてしてるわけじゃないんで」

だったら部屋を出てけよ。このムッツリスケベ。

「一輝先輩、マジで一発殴らせてもらってもいいですか?」

…………なんて、何故か俺は一言も発せずに、虎杖との会話が成立してしまった。

それ程に、覗きという文化は男子にとっては共通語なのかもしれない!

しかしそれにしたって、千秋のが目にちらついて仕方が無い。

意識はしないようにしているんだが…………クソ、アイツいつからあんなに大きくなってたんだ?

「あ、次は千秋先輩の番ですね」

……ちょっとついて行くか。

「行くって……いきなりどうしたんですか?」

お前、少し女子の胸やら脚やらを見た瞬間は興奮したけど、もうそろそろ飽き始めただろ?

だから少し気晴らし程度に動こうじゃないか。

「……まあ、どんな理由であれ、ここから動けるのは幸いですね」

というわけで千秋のあとをテクテクとついて行く男子二名。

よくよく思ったら、ひっそり隠れることなく見ているんだよな俺たち。

コードというのは全くもって便利なものだ。

「……一輝先輩、あれって」

そして千秋の後について行った結果、俺たちが目撃したのは……検診で来た医師が、男だということ。

………………………。

このクッソ野郎がぁぁあああああああああああああああッ!!

俺たちのようにコードを使わずとも覗き放題だというのか! えぇ!?

こんな覗きの方法……おかしいだろうが…………ッ!

こんな方法…………卑怯だろうがぁ!

あの男医師、今すぐにブッ飛ばしてやる!!

「一輝先輩、落ち着いてくださーい」

冷ややかな声で虎杖から抑止される。

お前は……許せるというのか!? この男医師を!

俺たちのようにこそこそと覗き見るのではなく、堂々と女の半裸を見れるこの男を!

「いや僕たちも割と堂々と覗いてますよ? 普通なら犯罪ものを堂々とやってのけてますよ?」

んな事はどうでもいいんだよ! 感情論、気持ちの問題なんだよ!

「バカは黙って覗いておけばいいんですよ」

それでも俺はあの男医師が許せない…………ッ!!

しかし無駄に自分の姿を晒そうものならすぐに教育指導になってしまう現状なので、虎杖の言葉に従って俺は戻って女の半裸を舐め回すように観まくっていた。

しかし普通おかしいだろ。

こういう女子の検診の時は、大概女医がやるもんじゃないのか?

まあ俺は、女子じゃないから分からないが。普通に考えて男医師に診てもらうよりも女医に診てもらった方が同性として安全するんじゃないだろうか?

最近はちょっとしたことでセクハラになるような世の中だ。

こういうのも、ここにいる生徒の誰か一人が親に言って、そして親が学校側に文句を言う可能性だってある。

だからこういうのは普通、俺の考えだと、女医がやるというのにあの男医師は!

野郎……思い出しただけでムカついてきた。やっぱ一発ぶん殴ってやろうか?

大体、今日の検診だってなんでこんな冬場にやるのかって話だ。

そもそも何の検診なんだよ? 千秋がどこか不健康だっていう話は聞いたことがないぞ。

いいや、そもそも最近は俺がアイツの生活を管理してやってるから不健康かどうかは医者よりも俺の方が分かると思う。

そして俺の見立てじゃ、千秋はどこも不健康じゃないと思う。

なのになんで検診? 健康検査で一度引っ掛からないと検診にはならない。

確かに春頃に、少し体調を崩してて検診に引っ掛かったというのなら納得いくが。

何故、春に行われた検査の再診が、秋の暮れなんだ?

偶然? ご都合主義?

それは本当に、俺に合した都合だったのか? 俺に合した偶然だったのか?

いやそもそも誰かが何かに合わせたんじゃないのか?

例えば……そう。

鋼凪梓美と濁川千秋の両名はコード使用者でとあるゲームの参加者だ。

そのゲームが開始されたのはつい最近。

ゲームでは使用者の命と同じくらいに大事な物を壊し合うというものだ。

だからこそ使用者の両名は常にその大事な物を持ち歩いているはずだ。

そこで例えばこんな検診中。教室にその大事な物を置いておけるだろうか?

学校の治安とかは関係無しに、誰かに盗まれる可能性がある。さらには盗まれたりした時についうっかりとした事で壊されてしまう可能性も無くも無い。

だから、検診中であれ大事な物は持ち歩く。まあそれが普通だ。

そして次に、男医師についてだ。

俺の常識から言って、こういう女子の検診は男医師ではなく女医がやるものだ。

なのに男医師というのは少し学校側にとってもリスクを生じる部分がある。

だがしかし、世の中には学校側にそのリスクを忘れさせる方法がある。

いいや、その方法を使えば無理にあるはずのない検診をでっち上げる事も可能だ。

その方法の名を…………俺たちはコードと呼ぶ。

「ッ!!」

「きゃっ!?」

覗きによって心が通い合った虎杖が、千秋を無理矢理その場から突き飛ばす。

俺は姿を晒し、保健室のドアを《無影無綜》によって消し去る。

さぁて、こっちが仕掛ける前に相手方が接触してきやがった。壊し合い開始だ。

……あるぇ?

おかしいな、ついさっきまで覗きをしてたスケベな話だったのに。

何があったんだろう?

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