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クローバー:コード  作者: 坂津狂鬼
ゲームスタート
14/68

覗き

今、俺は無謀な挑戦をしようとしている。

それは《無影無綜》を最大利用した作戦……その名も、NOZOKI。

まあ簡単に言えば、変態行為をするだけなんだけどな。

「で、なんで僕まで呼ばれたんですか?」

「当然、当作戦には《非観理論》の協力が必要だからだよ虎杖君」

「いやですよ僕は。鋼凪や千秋先輩とかに殺されるのは」

「鋼凪は大丈夫だ。アイツはコードを無効化できるがコードが使用されてるかどうかまでは分からない」

「でも千秋先輩が」

「そう問題は千秋なんだよ」

千秋のコードは《異見互換》。

視界を共有できる、という厄介なルールがある。

このコードによるバレを防ぐ手段は二つ。《否定定義》による無効化と本人がコードを使用していない時しか思いつかない。

《否定定義》……鋼凪梓美の協力を借りれない今、千秋がコードを使用しないように祈るばかりだ。

「一応、今朝のうちにコードを使用するなとは千秋に言っておいたが……アイツが俺の言いつけを守るとは思えない。この前だって、勝手に覗かれてDVDを一つ失ったからな」

「そもそも、千秋先輩のコードがあれば覗き放題なんですけどね」

「んなもんは分かってるさ。しかし俺たちでやるしかないだろ?」

「すいません一輝先輩。勝手に僕を人数に含めないでください」

「なんだよ虎杖、ノリが悪いな? お前は女の半裸を見たいとは思わないのか?」

「いや、そんな事はないですけど」

「なら何故!?」

「……正直なことを言いますけど、着替える女子はそこまでエロくないですよ? 冬場だと特に、体育の授業でもジャージ着たりしますからなおさら」

「………………」

「そんじゃ僕、帰っていいですか?」

「いや、ちょっと待て! まだだ!」

「いやもう、さっき心の中で僕の言ったこと納得したでしょ?」

「ぐぅぅ…………」

「大体、コードの乱用するなって皆に言っておいて覗きのためにコード使ったことが知れたら。鋼凪に今まで以上に軽蔑されますよ」

「コードは私利私欲のために使うものだ」

「……一輝先輩って、そこまで変態でしたっけ?」

「んー……まあ、男はみな狼だからな」

「意味分かりませんよ」

仕方ない、それじゃネタバレするか。

「千秋には、そろそろ仕掛けるからコードを使うな、って言っておいたんだ」

「そろそろ仕掛けるって……ゲームの事ですか?」

「あぁ。まあだから《非観理論》と《無影無綜》を無駄に使用して、相手方を誘き出させて貰う」

「だとしても、何故に覗きなんですか?」

「ド派手な事件を起こすよりかはマシだろ?」

「まあ、そうですけど……覗きじゃなくたっていいじゃないですか」

「《無影無綜》と《非観理論》の共通点は、相手に見えないってことだ。そこで問題。男が姿を消せる力を持ったとして大半のド変態は力をどうしようする?」

「覗きってことですか…………でも僕、ド変態扱いされるのが非常にムカつくんですけど」

「まあド変態とかは置いといて、正直な所、相手に俺を《非観理論》の使用者だと思わせたいんだよ」

虎杖が怪訝そうな表情をしたので、追加で説明する。

「俺の《非観理論》の使用者だと勘違いしてくれれば、そのコード使用者は無駄足しか踏めない」

「《無影無綜》で命より大切な物を隠されてしまってるから?」

「そういうことだ。俺を殺そうとしてもそう簡単には殺されないからな。時間が稼げる」

「でも《非観理論》なら、どんな奴からでも簡単に逃げ出せると思うんですけど」

確かに《非観理論》は、全ての者に観測されないというルールもある。

しかしだが《非観理論》を捕まえる方法などいくらでもある。

「お前はあくまで観測されないだけで、その場から消え去ったわけじゃない」

「そうですけど、どちらにしろ認識されなきゃ捕まらないじゃないですか」

「それじゃ考えが甘いって言ってるんだよ。実際に証明してやる、ちょっと来い」

不服そうな顔をしながらも虎杖は俺の後に付いて来た。

――――――計画通りッ!



「いやまさか、一輝先輩の口車に乗せられて加担するとは思いませんでした」

「口先の魔術師になれるとは思わないか?」

「同じイニシャルだからってあまり調子に乗らないでください」

虎杖は無表情ではあるが声に怒りが含まれる。

まあまあ、保健室だから良いじゃないか。

しかし、まさか今日という日に検診があるとは。なんたる偶然。ご都合主義。

「あ、入ってきましたよ」

おうおう良い眺めじゃ良い眺めじゃ……ん?

ぞろぞろと保健室に入ってくる女子たちの中に、鋼凪と千秋を発見。

あ、やばい実験中止だ。バレる可能性が高いとかそういうのじゃない。死ぬ。

しかし、俺は《無影無綜》で姿を消している。虎杖に脱出の合図を送りたくとも送れない。

さて……どうする? 虎杖を置いて俺だけ脱出するか?

いや、そんな外道なことは…………。

「……一輝?」

千秋に名前を呼ばれた瞬間、背筋がゾクッとなった。

というか死亡フラグだ。回避不可能な死亡フラグだ。

「どうしたんですか濁川先輩?」

すぐさま鋼凪が千秋に問う。っていうか問うな! やめろ、俺をそこまで殺したいか!?

「ん~……何でも無い。気のせいだと思う」

まさかのフラグ回避!? いや、千秋のバカさ加減に感謝する日が来るなんて。

「はい、それじゃあ上脱いでね~」

保険女医がそんな指示を出す。俺は鼻を押さえる。

いや、ただ千秋の無駄に豊かに育った爆弾の対策だ。千秋ということを忘れれば意識と血液を持ってかれちまう。

タイトルからして、酷い。

いや俺酷い。凄く酷い。発想が酷い。全て酷い。人格が酷い。


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