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町の丘の上に、その教会はひっそりと佇んでいる。木造作りの質素な建物は、天音が知っている教会とは違ってかなり重苦しい。どっしりと構えるその姿は、まるで美しい廃墟だ。
教会へと続く石畳の道の横には背丈の低い白い花が咲き誇っている。お辞儀をするように垂れ下がる花々に導かれるように、天音は扉の前に立った。
重厚だが温かみのある木造の扉。ドアノブに手をかけ、彼女は大きく息を吸った。
吐く息と同時に扉をぐっと押す。全く動かない扉に首を傾げてもう一度押す。鍵がかかっているのか? そう思いながら一度扉から手を離すと、横からすっと何かが伸びてきた。
生っ白い、透き通った手だった。
「逆ですよ」
薄氷を割ったような、霜柱を踏んだような、澄んだ声がした。驚いて隣を見ると、惹き込まれるような水色と目が合う。男はにこりと笑うとドアノブを引いた。
ぶわり、と。
溜まった空気が抜け出して、天音の肩を凪いで行く。
「ようこそ、御心教会へ。 本日は見学でしょうか」
全身真っ白のその男は、笑みを湛えてそう言った。




